「ひっどいよね」
「うん」
私は酒の勢いに任せて、TVで一曲もソロ曲が取り上げられなかった事をマスターに愚痴っていた。
つまみが散らばり、カップ酒を片手に据わった目で愚痴る私はさぞやブスだろう。
「大体さ、日本て変態だよ。ミクやリンが良いなんて」
「かもね」
不思議なもので、相づちを打ってもらえるだけで、少し心のトゲトゲが治まる。
「絶対そうよ。ロリコン。全人口の80%が変態」
そのうち60%はロリなのよ。根拠はないけど。
「俺はメイコが一番好きだよ」
マスターはうつむいた私の顔を覗きこみ、微笑んでくれた。
ワンカップ片手に愚痴をたれるブスな私に。
「…ありがと」
私、慰められてる。それに気付いて、なんだかほっとしたような、嫌じゃない気分に包まれた。
お酒で既に赤いから、照れているのは気付かれないだろう…と思いたい。
「あ、メイコが照れた」
バレたか。変なところで鋭いから困る。
マスターは微笑みを本格的な笑顔に強め、ハハハと笑った。