お話はカイト、ミク、リンが仕事に行っている間、留守番の二人を中心に回り始める。
「ボクは、あなたが、好きです」
──言ってしまった!
緊張と告白の興奮で震える舌を不器用に動かし、少年は年上の女性に思いを伝えた。
女性のきょとんとした表情は、告白の意味を解すると共に困惑の色を強める。
「あー、えっと…あたし、カイトと付き合ってるんだけど…レンも知ってるでしょう?」
「わかってます。けど、どうしても…伝えたくて。ダメ、ですか?」
「うーん、好きって言われて嫌な気はしないけど…」
遠回しのNO。それを聞き、少年は笑顔をつくった。
落胆を押し隠す、泣き出しそうな笑顔を。
「…そうですよね、ごめんなさい。こんな困らせるような事言ってしまって…忘れてください」
「…」
メイコがなんとも言えず次の言葉を思案しているうちに、レンは自室に引っ込んでしまった。
「レン…」
──ごめんね。
コンコン。
レンの部屋に響くノックの音。
まだ他の者が帰るまでには時間がある。メイコだろう。
「レ〜ン。入るわよ」
と、酒の匂い。メイコはめちゃくちゃ飲んでいるようだ。
「…なんですか」
──少し、一人にしておいて欲しいです。
泣き腫らした赤い目を見られたくなくて、レンはドアに背を向けて座り直した。
「うふふ、なに落ち込んでんのよ」
レンの背中にのし掛かるメイコ。
背中に感じるメイコの胸の感触に、ちょっと慌てるレン。
しかしフった男の部屋の中に泥酔状態で侵入して来たメイコに、レンは少し苛立った。
「ついさっき、フられましたから」
「んふ〜、青いわね。青春だわ〜」
「何なんですか!ボクを笑いに」来たんですか。
首を回し肩越し怒鳴った言葉は、最後まで言い切らぬ前にメイコの酒くさい口に塞がれた。
メイコの舌が侵入して来て、お酒の匂いが鼻に抜ける。
一瞬の硬直。キスに酔ったのか、吐息のアルコールにあてられたの、芯から溶けるように力が抜ける。
ちゅっ、と音を立てて、唇が離れた。
「…慰めてるんじゃないのよ。これはお酒の勢いで、ついやっちゃったのよ」
言いながら、メイコの手はレンの下腹部をズボン越しにさする。
「あ、あの、ちょっとメイコ」さん。
また塞がれる口。
メイコの舌がレンの口を犯す。
もうレンになす術は無い。されるがままだ。
離した唇には酒臭い涎が糸を引いた。
抵抗しなくなったレンを後ろから抱いたまま、メイコはレンのチャックを開けた。
苦しがっていたレンの先端が天井を仰ぐ。
メイコがそれを激しく擦ると、レンは小さく呻いた。
「イってもいいのよ」
メイコは右手でレンの先端を刺激しながら、左手でレンの上着をたくしあげ、乳首を強く抓った。
「ああ、あっ、あああ!」
背中に感じるメイコの体温、胸、絡み付くメイコの手、胸に感じる鋭い痛み。
全てが快感になって、レンは絶頂を迎えた。
激しく、何度も、強く射精する。
「メイコさん」
レンは、部屋の片付けを終え、出ていこうとするメイコに声をかけた。
「ボク、やっぱり諦められそうにありません。まだ、想っていてもいいですか?」
「ん〜?ふふふ…どうだかね」
ニヤリと笑いながら、メイコは部屋から出ていった。
─後日─
メイコはバーに来ていた。
飲むのも目的の一つではあるが、本当の目的は、ウエイターとして働いている親友、ハクに相談したいことがあるのだった。
「つまり未成年に浮気しちゃったわけ?犯罪じゃ〜ん」
どこか楽しそうにハクは茶化した。
「違うっつの!でも、なんていうか…修羅場フラグはたてちゃったのかも」
いたって真剣な相談だと気付いて、ハクも茶化すのをやめた。
「ま、あれじゃない?いくらガキだからって、カイトにバレたらヤバいことくらい察してるでしょ」
「うーん…だといいけど」
「大丈夫だって。相談ってそれだけ?」
「まだある。実はマスターにも告白されちゃって」
「…メイコ、あんた恥情のもつれで殺されるタイプね」