「ん? 幻のアイス10本セット?」
それは、ある日突然届いた荷物。何かの懸賞でも当たったのかな?
カイトの奴が好きそうだからって、出した気がしなくもないけど……んー、どうだっけ?
そんな事を考えながら荷物を眺めていると、何やら青い物体が急速に近づいてくる。
「めーーちゃーーーーん!!!」
あっ、カイトだ。そう思った時にはもう、カイトは私の目の前まで来ていた。
「どうしたの? そんなに慌てて」
「はぁっ、はぁっ……あのね、なんかこっちの方からレア・アイスレーダーに反応がっ!」
恐ろしい。もう嗅ぎつけたって言うの?そもそもレア・アイスレーダーってなに?
そんな私にはお構いなしに、カイトは部屋を物色し始め、あっという間にアイスの箱を発見、
勢いよく開封しようとする。
――――ドシュッ!
とりあえず右斜め上45度からチョップをお見舞い。
「こらこら、勝手に人の荷物を開けない」
まったく、アイスの事になると見境なくなるんだから。
だいたい、その情熱を少しでも私に向けてくれればいいのに……
少しため息交じりに、期待に胸ふくらませるカイトの前で箱を開封。
中には確かにアイスが10個入っていた。
「めーちゃん、食べよっ! 食べよっ!!」
「ん? んー……どうしよっかなぁ」
まぁ、最初からカイトに全部あげるつもりなんだけど、ただあげるだけじゃつまらないし、
すこしカイトで遊んでみる事にした。
「じゃあねぇー、私の言う事ちゃんと全部出来たらアイスあげる」
「するする! 何でもするよ!」
フフッ……コレは面白いおもちゃを手に入れたわ。とりあえず最初はソフトに……
「お手」
「わんっ!」
はやっ! 何?このアイスへの執着心。……そんなに美味しいのかなこれ?
10本あるんだから、1本くらい食べて見てもいいよね?私のだし。
おもむろに箱から一つアイスを取り出し、袋を開ける。
突き刺さるようなキラキラした視線を感じつつ、一口…………うん、普通。
はたしてコレの何がカイトをここまで熱くするのか。
むしろ私は、アイスの味よりも、カイトの視線が気になっていた。
カイトがこんな目で私の事見つめるなんて…………まぁ、見てるのはアイスだけだろうけど。
カイトの様子をうかがいながら、もう一口。
私が口を開くと同時にカイトも口を開き、アイスを飲み込むと同時にカイトも唾を飲み込む。
なんだろう……すっごく楽しい。私の行動は徐々にエスカレートして、
口に入れたアイスをカイトに見せてみたり、目の前で食べてみたり……
その度にカイトは面白いリアクションを見せていた。
「あははっ、ほらほら、欲しかったら取ってごらん」
私はつい調子に乗って、口にアイスを入れてカイトにそう言った。
どうせ大した事は出来ない……そう思っていたから。
―――ギュッ!!
両肩を強く掴まれ、カイトの唇が近づいてくる。
「ちょっと、カ……カイ…………んっ……」
あっという間に口の中のアイスは奪われ、とけたクリームまで舐めとる様に、カイトの舌が私の口の中で動き回り、
最後の一滴まで吸い取る様に、私の舌をカイトは自分の口の中へ引き込んだ。
激し過ぎるキスに思わず体が固まってしまい、カイトが離れた後も体が動かない。
「あっ、めーちゃん。大変!」
「……へ?」
私の胸元を見て大きな声をあげるカイト。そう言えば、さっきから胸の辺りが気持ち悪い。
気になって目をやると、固まっている間にアイスが溶けて、胸の谷間を汚していた。
「うわっ……ベトベト…………って、カイト? あれ? おーぃ……」
カイトの目は完全に私の胸をロックオンしている。
「カ、カイト、……ストップ! ちょっと、待って……」
「大丈夫、ちゃんと綺麗にするから!」
「だから、それが大丈夫じゃないんだってー!!……あっ! こらっ!」
カイトは私の服を下からめくり上げ、胸をペロペロと舐めはじめ、
やがてその舌先は、胸でもっとも敏感な所へ運ばれた。
「ひゃ……んっ、ダメ……そんなにしたら……んんっ」
いつもはすぐ言う事聞くくせに……全然言う事を聞かない。
カイトはただひたすら胸を愛撫し続ける。
「カイト、だめっ!だめだってばっ!!……ふぁ……んっ、あっ!!」
大好きなカイトにこんな事されたら……私……私…………っ!!
「…………くッ……イクっ、イっちゃう! もう私、我慢できな……あっ、ん……イクっ……んあぁぁぁ!!!」
頭の中が真っ白になる始めての感覚。それは癖になりそうな程気持ち良くて、体がもっとカイトを求める。
そばには残ったアイスが9本。私はそれを前に出してカイトに言った。
「……私に……私に『イク』って言わせるたびに、一本づつご褒美あげる」
「ホントに?! でもどうしたらいいの?」
「それはカイトが自分で考えるの! ……あっ、あと、カイトがイクって言ったら1本没収ね♪」
こうしてアイスをかけた熱い戦いが、切って落とされた。