天井にのぼる湯気を眺めながら、風呂場で湯につかり、一人でボーっと考えていた。  
今更ながら、どうして家の人はこうも皆してハチャメチャなのだろうか……。  
ミク姉とメイコ姉ちゃんは、いつまでたってもボクの事を子供扱いする。  
特にメイコ姉ちゃんは、顔を見るたびに寄って来てはベッタリひっついて離れてくれない。  
もうボクだって子供じゃないんだ。いい加減恥ずかしいから、大人として見てくれないかな。  
カイト兄は青いしアイスだし。  
 
と、そんな事を考えていると、突然おかしな鼻歌が脱衣所から聞こえてきた。  
「ふんふ~ん~♪ ねぎねぎ~♪」  
おそらく……って言うか、間違いなくミク姉だ。  
洗濯物でもしに来たのかな? でも皆、これからお風呂に入るのに……??  
 
――――がらっ。  
 
脱衣所の方を見ていたボクの目に飛び込んできたのは、裸のミク姉の姿。  
ばっちり目が合ってしまった。  
「あっ、なな……っ…………」  
「あれ? レンちゃん入ってたの?」  
「入ってたの? ……じゃ無いよ! 入ってるんだから早くドア閉めてよ!」  
「あぁ、ごめんね~♪」  
そう言ってミク姉はすぐにドアを閉めてくれた。  
まったくビックリしたなぁ…………  
 
「……って、何でミク姉まで中に入ってるの?!」  
「何でって言われても……お風呂に入るため?」  
お風呂に入る為?……じゃないよ! ボクが入ってるんだから、女の子のミク姉は出て行ってよ!  
って言おうと思ったんだけど、恥ずかしくてうまく話せない。  
だってミク姉は裸だし、ボクだって裸なんだ……恥ずかしくて顔を見る事も出来ないよ。  
 
なのにミク姉ときたら、お構いなしに湯船の中にまで入ってきた。  
家のお風呂はそんなに大きくないんだ。こうして二人で入っちゃったら、狭くって……  
「ミ、……ミク姉。そんなにひっつかないでよ」  
「そんな事言ったって仕方無いよ、お風呂が小さいんだもん」  
「そ、それならミク姉出てよ。ボクが先に入ってたのに」  
「まぁまぁ、ケチケチしないでさぁ……ん? ん~?」  
 
あれ程離れてって言ったのに、何故かミク姉はニヤニヤしながらこっちに顔を近づけてきて、  
上手く言えないけど、なんだかよくない事を考えている様な気がする。  
「レンちゃん、もしかして私が裸だから照れてるのー?」  
 
ほらきた。ミク姉がああ言う顔をしている時は、大概こんな事を言うんだ。  
「別に、ミク姉の裸なんて、見たって何ともないもんね」  
ここで照れてる顔なんかしてみろ、それこそミク姉の思うつぼだ。  
だからボクはキッパリとそう言ってやった。  
 
「えぇー! 私、最近成長著しいのになぁ。……たとえばぁ……胸とか!」  
ミク姉はそう言いながら、胸を寄せてこっちへ迫ってきた。  
そりゃ……確かに最長著しいけど……それでもココは嘘をついてでも言いきらないと。  
 
「そ、そんなんじゃ全然ダメだよ。 やっぱり女の人は、メイコ姉ちゃんくらい大きくないと」  
「うにゃー? レンちゃんいつもめーちゃんに寄られると、迷惑そうにしてるのに?」  
うぅ、さすがミク姉。こう言う事は変に鋭いんだよなぁ。でも……  
「あれは嫌じゃなくて恥ずかしいだけで、ボク本当はメイコ姉ちゃんみたいなのが好きなんだ」  
コレだけ言えばミク姉だって落ち着いてくれるよね。……嘘をついて少し胸が痛むけど。  
 
――――がらっ!  
 
再び入口が開く音に、背筋が凍るような悪感が走り、そっと目をやる。  
「あるぇ~? そこにいるのは、ミク&愛しのレンきゅんじゃない♪」  
そこには素っ裸で顔を少し赤くした、ほろ酔いメイコ姉ちゃんの姿が。  
偶然を装ってるけど、あの顔はボクが入ってるのを知ってて入って来たんだ。  
でも一応言っておこう……。  
 
「あのっ、メイコ姉ちゃん。お風呂はボクが入ってるんだけど」  
「うん、知ってる! この辺りから愛しのレンきゅんの匂いがしてたから♪」  
どんな匂いだよ……それ以前に、やっぱり知ってたんだ。だったら自重してよ。  
でも、そんな事言ったって、出て行ってくれないのは百も承知。  
仕方ない。面倒な事になる前にボクが出よう。さよなら、ボクに安息を与えてくれる筈だった愛しの空間。  
 
「あれ? レンきゅん、もう出ちゃうの? お姉さんとしっぽりお風呂に入ろうよ」  
「しっぽりって何? ……とにかく遠慮しとくよ。ボクもうのぼせそ……」  
「あー、分かった! めーちゃんが来たから、レンちゃん恥ずかしいんだ~♪」  
またミク姉は何の脈絡もない事を……  
「なになに? どう言う事?」  
ほら、そんな事言ったから、メイコ姉ちゃんがはしゃぎ出しちゃったじゃないか。  
もうボクは知らないから。  
 
「レンちゃんね、めーちゃんの事が大好きなんだって! 特におっぱいが大きいのとかっ!」  
そんな口から出まかせ、誰が信じるもんか。  
だいたいいつボクがそんな事……そんな事………………あっ、言った様な気がする。たった今……  
慌てて弁解しようと振り返ると、そこには既に、大きなにくまんが二つ迫っている。  
「うぷっ! ……んー! んんーーー!! ……ぷはぁっ!」  
何とか柔らかい二つのにくまんから顔を出すと、メイコ姉ちゃんが目をキラキラさせてこちらを見ていた。  
 
「レンきゅん……ついに私の魅力に気づいてくれたのね!」  
どうしよう……ボクはどうなってしまうんだろう……。  
 
「メイコ姉ちゃん、お……落ち着いて」  
「レンきゅんの好きなだけ、私のおっぱい揉んでもしゃぶっても……好きにして良いんだよ?」  
ダメだ、全然聞いてもらえてないよ。……もうこうなったら無理やりにでも出るしかない!  
「メイコ姉ちゃん、放して! ……じゃないとボク、メイコ姉ちゃんの事嫌いになっちゃうよ!」  
ごめんねメイコ姉ちゃん。嫌いになんてならないけど、これが一番効果的なんだ。  
今回も効果はてき面。だんだん抱きしめる力が弱くなってき……  
 
「あのねっ、レンちゃんがめーちゃんの事嫌がるのは、恥ずかしいだけで本当は好きなんだって!」  
ミク姉はまた余計な事を……それを聞いたメイコ姉の抱きしめる力は、みるみる強くなって体を締め付ける。  
このままでは、うでの力で骨の一本でも折られちゃいそうだ。  
「苦しい……メイコ姉ちゃん、そんなにキツクしたら……ボク、壊れちゃうよ……っ」  
「こ……壊れちゃうって……ッ!! ミク! レンきゅんが、壊れちゃうって言った……!!」  
あれ? なんでメイコ姉ちゃんハァハァ言ってるんだ? また変なスイッチ押しちゃったのかな?  
 
この前も同じような事があった。確かその時は、服を買ってあげるから着いてくる?……って言われて、  
「いくいくッ! メイコ姉ちゃんと一緒にイキたい!」  
って言ったら、すごいハァハァ言ってて、ちょっと怖かった。  
 
それにしても、こんなにひっつかれたら、さすがにボクだって……  
「あーっ! レンちゃんのおちんちん大きくなってるー!」  
ミク姉酷いよ、そんな事言ったら、この人が放っておく訳ないじゃないか。  
「レ……レンきゅん! いけませんよ! そんなっ、仮にも家族同然の私に欲情なんて、そんな! そそ、そんなっ!!」  
『そんなそんな』言いながらも、しっかり握ってるじゃないか。  
 
「ちょっと、やめて……離してよ!」  
「ダメよ、私に欲情したレンきゅんを放ってなんて置けないわ! ミク、手伝って!」  
「あいあいさぁ~♪」  
 
ミク姉は元気に返事をすると、湯船から出てボクを後ろから捕まえて動けなくした。  
背中にミク姉の胸が当たる。恥ずかしい……。  
それをきに、メイコ姉ちゃんはおちんちんを擦り始めて、だんだんとボクもおかしな気分になってくる……。  
「ねぇ、気持ち良い? レンきゅん、お姉さんに感想聞かせて?」  
気持ちいなんて言っちゃダメだ。言ったら最後、止めてくれなくなるのは必至。  
気持ちを押し殺してでも嘘を言わなきゃ……  
 
「そんなの全然……んっ、き……気持ち良くなんて……ぁ……んっ、ないもんっ」  
言った。ちゃんと気持ち良くないって。  
なのにどうして? メイコ姉ちゃんは止めるどころか、嬉しそうに更に手を早く動かし始めた。  
 
「ヤメっ……やっ、やだ……こんなの気持ち良く無……んぁっ! ダメだってば……ぁ、……んっ!」  
「先っぽからこんなにえっちな汁出して……もーっと気持ち良くさせてあげる♪」  
メイコ姉ちゃんはそう言うと、いったん手を離して、その手に自分の唾を垂らし始めた。  
そしてその手でまたボクのおちんちんを握って擦り始める。  
ヌルヌルと変な感じがして、さっきまでと全然違う。  
だんだんと頭の中が白くなって、訳が分からなくなってきた。  
 
――――ぐちゅっ、ぐちゅっ……  
 
「め……めーちゃん、これ何?! 気持ちいいよっ! ダメだよ、こんなのされたらボクっ……」  
「あっ! 今、レンきゅんが初めて私の事『めーちゃん』って言った! また一歩二人の仲が前進したね♪」  
え? ボクそんな事言ったっけ……? もう何が何だか分かんなくて……足に力が…………  
 
「わわっ、レンちゃん。そんなに寄りかかられたら支えきれないよー!」  
そんな事言われったって、力が入らないんだもん。  
ボクはどうしようもなくて、そのままミク姉に体を預ける様に寄りかかっていた。  
 
「ミク、もうレンきゅん動けないと思うから、ココに寝かせて良いよ」  
その声でボクは仰向けに寝かされる。  
もう今更逃げ出そうとも思えない。今はメイコ姉ちゃんに、さっきの続きをして欲し気持ちでいっぱい。  
寝かされてからも、メイコ姉ちゃんは同じ事を繰り返えし、  
お風呂場にいっぱいえっちな音が響いて、さらに気持ちがおかしくなっていく。  
 
「あっ、あっ……んんっ! ぁんっ、ヤ……ふぁ……」  
「ミク、レンきゅんの口からイヤラシイ声が出てるから、ミクのお口でふさいであげて♪」  
「はいは~ぃ♪ ……んー…………」  
「んっ……んんー!……んっ、んっ……」  
ミク姉が唇を押しつけて、口を塞ぐ。  
それでもダメだ、えっちな声が口から出て止まらないよ……。こんな所リンに見られたりしたら……  
 
――――がらりっ  
 
なんでリンまで入ってきちゃうんだよ……ミラクルなタイミング過ぎるよ。  
「なッッッ! ふ、二人とも! レンに何してるの?!!」  
リンは怒った口調で二人を一括。ミク姉は慌てて口を離す。  
「あのね、これは……その、レンちゃんが…………」  
「レンはこんな事してなんて言いません!!」  
ああ、これほどリンを頼もしく思えた事が今までにあったかな……  
さすがのメイコ姉ちゃんも、珍しく諦めた様子で手を離した。  
 
あれ? なんだろうこの気持ち。やっと解放されたのにスッキリしないって言うか……  
「大丈夫だった? ……レン? 聞いてる?」  
なんだ、なんだ……心臓がドキドキしたまま納まらなくて、それに、  
「…………んっ……」  
メイコ姉ちゃんの方を見ると、ニコッと笑い、今度は直接ソコへ目掛けて唾を垂らす。  
先っぽにかかった唾は、ゆっくりと垂れて根元へ流れ、その感覚がたまらなく気持ち良い。  
手で擦ってほしい……もうちょっとで何か……気持ち良い何かがきそうなんだ。  
 
「メイコ姉ちゃん……おちんちん擦って欲しい…………」  
気がつくと口から出ていた。リンがすぐそばにいるって言うのに。  
リンは驚いた顔でこちらを見ている。  
「レン?! あんた何言ってんの?! ちょっと、しっかりしなさいよ!」  
まったくもってリンの言う通りだ。でも、体が……心が言う事を聞いてくれない。  
「メイコ姉ちゃん、お願い……」  
 
しかしメイコ姉ちゃんは続きをしてくれなかった。  
「う~ん、リンに怒られちゃうからなぁ~」  
その言葉を聞いて、思わずリンを恨めしい目で見てしまう。  
「ちょっ、ちょっと、そんな目で見ないでよ…………もぉー、分かったわよ! メイコ姐! 一回だけだからね!」  
良かった。無事リンの了解も得て、再開……と思いきや、  
それでもメイコ姉ちゃんは手を動かしてはくれなかった。  
 
「メイコ姉ちゃん……?」  
「うーん、リンに命令されてするって言うのもねぇ~……あっ、そうだ! リンがしてあげれば?」  
そりゃボクは全然構わないけど……でも、  
でもリンがそんな事する訳……  
「いいよ、メイコ姐に出来るんだから、あたしにだって出来るもん!」  
……リン、なんか変な意地張ってる?  
リンはそう言うと、メイコ姉ちゃんに変わりボクのソレを手で握った。  
 
手が小さくてぎこちないけど、これはこれで気持ち良い。  
「ど、……どうなの?」  
「うん、気持ち良いよ」  
「そう……」  
リンは小さくそう呟くと、手の動きを徐々に早めて行った。  
 
すると、それと同時にリンに異変が起こり始める。  
「きゃっ! あんっ、だめぇ……」  
なんでしてる方のリンが喘いでるんだろう?   
気になってみて見ると、リンのお尻の近くの穴に、メイコ姉ちゃんの指が入っていた。  
 
――――ちゅぷっ……ぐちゅっ、ぐちゅっ!   
 
メイコ姉ちゃんの指が入ってるリンの穴から、えっちな音が聞こえる。  
「リンー? あんた本当はずっと見てたんでしょ? 私、知ってたんだよ?」  
「そんなっ、ひゃ……あんっ! あたし、そんな事してないもんっ!」  
「じゃあなんでこんなにビショビショなのかなぁ? もしかして見ながらオナニーしてたんじゃないの?」  
「あたしは……はぅっ……オナニーなんて、やり方…………しらないもんっ……ぁ、んんっ!  
 
二人のやり取りの意味が分からない。おなにぃ? びしょびしょ??  
でも今はそんな事考えてる余裕は無い。  
リンが変な声出して擦るから、ボク……もうホントに……  
「リン、ボク……なんかきそうなんだ、もう……おしっこが出そうって言うか……」  
「あんっ! いいよ、出して! ハァ……ッ、せーしいっぱいリンにかけてっ!」  
せーし? なんだか分からないけど……  
 
「あっ、んんっ……んあぁぁぁ!!」  
「あたしも、あたしも……もう、だめっ……だめなの……ふあぁぁぁん!!!!」  
 
その後はしばらく記憶が飛んでしまっていた。  
気がつくと、メイコ姉ちゃんとミク姉の姿は無く、ボクの体の上で倒れこむリンの姿だけがあった。  
だんだんと記憶が蘇ってくる。そうだ、あの後確か二人は、  
「先に上がってるね~♪」  
とか言って出て行ったんだった。  
正気に戻った事で沸々と湧いてくる怒り。……ん? でも気持ち良かったんだから怒りじゃないのかな?  
そんな事を考えていると、体じゅうベトベトになったリンがスクッと起き上がった。  
 
「あれ? ……あたし、いったい…………」  
「リン、大丈夫か?」  
「えっと……確かメイコ姐に襲われて……それで力が抜けて……おしっこを漏ら……あーーー!!!!」  
突如大声をあげてシャワーで辺り一帯を流し始めるリン。  
そしてその後、体を流して立ちあがり、二人で顔を見合わせる。  
 
「リン!」  
「言わなくても分かってるよ。私たち、鏡音リン・レンにこんな事して……お姉ちゃん達、ただで済むと思って無いよね」  
「うん、今度はボク達の番……」  
 
『やられたらやり返す! それも10倍返しで!! それが鏡音一家のやり方だ!!!』  
 
ボクとリンは、夜遅くに二人の部屋に忍び込む作戦を立てる。  
「ミク姉はネギでいいよねー」  
「じゃあメイコ姉ちゃんは、お酒のおつまみにきゅうりでも」  
「レン、トゲトゲは取らないとダメだよ? 食べるのは下のお口なんだから♪」  
 
 
 
――――コンコンッ。  
 
部屋に響くノック音。はたして最初のターゲットはミクかメイコか……。  
 
皆さんも鏡音リン・レンの扱いにはお気をつけてください。  
 
 

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