「ねぇレン、飴あげる」  
リンはにこにこしながら、僕に飴玉を差し出した。  
丸くてピンクの…一見普通の飴玉に見える。  
「何企んでるの?落としたのコレ。実はすっごく辛いとか?」  
「リンは落とした飴、レンにあげたりしないよ!?」  
しかし僕がソレを手にとると、リンの目は輝きだした。  
どう見たって怪しいだろ。  
まぁ今日は二人きり、部屋でのんびり過ごしてた。  
少し騙されてやってもいいかと飴玉を口にほおりこむ。  
「……っ」  
リンが息を飲むのがわかった。  
…が。別段変な味はしない。僕は拍子抜けしてリンをみた。  
 
「ね、どう?なんか変わった?」  
「何が?苦くも甘くもないよこれ」  
「え〜 やっぱだまされたのかなぁ」  
「お前俺に何舐めさせたわけ」  
怪訝な顔をしてリンを見つめると、  
リンは勝手にふてくされたような顔をして  
飴のパッケージを僕に見せた。  
 
「これ」  
差し出した飴のパッケージに書いてあったのは  
『恋が実る飴』  
………。  
あほだ。  
「これを舐めると、相手がトキメキますぅ?  
 なんだその曖昧かつバカらし…」  
ハッと気づく。  
リンが俺にコレをくれたって事はまさか…  
「レンが食べて効果が出たら、ミクお姉ちゃんや  
 メイコお姉ちゃんにあげるつもりだったんだけどなぁ」  
俺は実験台か。  
「お前、それで俺がリンに恋したらどうするつもりだったんだよ?」  
リンはえへー、とはにかんだ。  
ななな何何突然実は俺誘われてたの  
「レンがリンに恋したら…  
 おやつ全部くれたり、なんでも言うこと聞いてくれるかな♪」  
ピシッ  
俺はリンにデコピンした。  
「いっったぁぁぁぁぁ何すんのよ!!」  
「お前、これ以上我が侭に振る舞う気かよ!!」  
レンのバカー!と叫ぶリンを背に、  
ばっかばかしーとその場に寝ころんだ。  
 
それから暫く。  
舌の上の飴玉が消失しかけた頃、  
ふと、股間に変化を感じた。  
 
まさか。  
リンが放り投げたままの飴玉の袋を拾い、ベッドに腰かける。  
『恋が実る飴』  
☆この飴を気になるあの子にプレゼント  
☆みるみる相手がトキメキます  
☆たくさん舐めると、副作用でドキドキしすぎちゃうかも!  
 
これか…。どうやらこの飴には  
ほんの少しだけ興奮させる作用があるらしい。  
それをトキメキ、と言い換えてるわけだ。  
VOCALOIDにも効果あるんだなぁなんて考えてると、  
リンが足の間に入ってきた。  
「なになに?効果あったの?」  
俺の両足に腕を乗せ下から顔を覗き込んでいる。  
リンの顔があるのはちょうど、股間のあたり。  
その場所は不味い…!!  
「ちょ、どけ、離れてっ」  
思わず後退してベッドの上に逃げると、  
リンはすかさずベッドにあがり覆い被さってくる。  
「なになになに?恋しちゃった?!」  
体を横にして逃げる俺に絡みつき、嬉しそうににやにやしてる。  
バカリン…!!  
 
こたえなさいよ〜なんて、抱きついて!  
絡みつく細い腕、ささやかに主張する膨らみ、  
そんなに身体をこすりつけて、こいつ俺が男だってわかってんのか。  
 
わからせてやる。  
俺は無理矢理起き上がると、リンを自分の前に座らせた。  
「効果はあった。」  
リンは嬉しそうに僕を見る。  
「ただし!」  
これだただの興奮剤、と釘を刺した。  
「…へぇ?」  
意味不明、と言った感じのリンに  
つまり、恋するんじゃなくてこうなっちゃうの。  
リンの手を掴み、堅くなったモノを  
…握らせる勇気はなく、指先をちょん、と触れさせた。  
 
瞬間、リンは一気に理解したようで  
みるみるうちに真っ赤になり俯いた。  
「ご、ごめんなさい…っ  
 リンの飴のせいで、こんなんなっちゃったの?」  
「…そうだよ」  
本当は飴玉の効果なんてたいした事ない。  
主な原因はさっき足の間に入ってきたり  
抱きついたりされたからで、  
ついでに言えば今触れられた事で  
硬化120%になっちゃったんだけどさ。  
 
軽く睨むとリンは本当に申し訳なさそうに言った。  
「ほ、ほんとに知らなかったんだよ  
 ちょっとしたいたずらみたいな、楽しい飴だと思って」  
「…まぁ、今回の事はもういいから。」  
う。つい、言ってしまった。  
責任とってよ?なんて言ってみるつもりだったのに。  
だけど、こんな顔を真っ赤にさせながら  
しょげてるリンにこれ以上何も言えない…。  
 
「ちょ、リン?!」  
「…責任もって、リンがなんとかする…っ」  
手を伸ばし、かちゃかちゃとベルトをはずし  
一気にチャックを下げるリン。  
「な何やってるかわかってるのリン?!」  
「だって、男の人ってこうなっちゃったら大変なんでしょ?!  
 溜まって苦しくなっちゃうって、聞いたもんっ」  
なんか色々間違ってる気がするけどというか誰に  
聞いたんだこいつ絶対わかってないよ駄目だ  
止めてやらないとああでもこんなチャンス二度と無い  
ぐるぐる思考が回るけど、とにかく身体は正直で  
指のひとつも動かせやしない。  
されるがままに、ぽろりと露出した。  
 
リンの手が止まった。  
目の前のブツに目が釘付けになってる。  
…そりゃそうだ。  
リンはこんなになってる僕を知らない。  
僕はリンに反応してしまうようになってから  
お風呂も着替えも別々にしたんだから。  
 
もういいよ、とリンの肩に触れると  
リンはぎゅうっと目を瞑り  
ちゅっ  
熱く硬くなったソレに唇で触れた。  
ちゅっ ちゅっ ちゅっ  
ふにふにと柔らかそうな唇が  
剥き出しの僕に触れるたびいやらしく歪む−…  
 
「…レン、わかんないから…教えて…」  
潤んだ瞳で、じっと僕を見る。  
なんて目で見るんだよ、なんて事言うんだよ  
もう止められない。  
 
「く、くわえて…」  
言われたとおり口に含む。  
ああ…今まで感じた事のない暖かさ。  
「もっと、奥まで…そのまま動いて…」  
僕はリンの頭をなでながら導く。  
小さい口で一生懸命頬張ってる。  
溢れ出てしまった唾液は飲み込もうと、舌で舐めあげたり  
吸ったりしてそれがぐちゅぐちゅと音を立てる。  
「リン…えろい。」  
「ん、んーんぅ!んんーん」  
「あっ」  
えろくないもん、と言いたかったのか  
リンが左右に首を振ると、舌が裏筋を刺激する。  
駄目だ何もかも気持ちが良い…!!  
呼吸が乱れる、痺れてくる  
微かに漏れるリンの声が加速させる。  
 
 
部屋に響く二人の声と卑猥な音。  
「れん、好きだよぉ…んっんっ」  
「あ ああっ も、だめ、  
 リン、リン、出そうだよ、出すよ、出すよ…!!」  
「ふ、んぅ?!」  
もう我慢できないっ  
強烈な射精感に、リンの返事を待たず  
そのまま口腔内に勢いよく精液をぶちまけた  
 
…………  
「リン、もう大丈夫だよ…」  
「………んっ」  
僕が声を掛けると、リンはようやく口を離した。  
白濁した液体がリンの口角からこぼれてる。  
リンはそれをうっとりした目で指ですくい  
口に戻すと、ごくんと飲み込んだ。  
「ちょっと、リン、出していいよ?!」  
「んーん、レンのだもん…全部欲しいよ…」  
そう言って頬を紅潮させながら、ぺろりと唇を舐める。  
「ふふ、レン…治ったね!よかった」  
ああ、このまま押し倒してしまいたいけど。  
もうすぐみんなが帰ってくる時間。  
「ん…なんだかニオイが凄いね」  
ですよねー。  
僕はぐっと堪えてリンの背中を押した。  
「リン、風呂入ってきなよ」  
「はーい」  
素直に返事をして、部屋の入り口まで駆けてく。  
そして  
「……実はね、リンも飴玉食べたの」  
そう言い残して部屋から出て行った。  
 
ちょ どういう意味ですか  
 
-end-  
 

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