「ああ!スゴいぃ…!奥、に、グリグリきてるぅ…あっ、んああ!」
俺の意識はどこだかわからない植え込みのなかで見知らぬ女性に愚息を所謂騎乗位で搾り尽くされんとしているところから唐突に始まった。全裸だった。
ええと、なんでこんな事になったんだっけ。
「うっ」これは俺の呻き。
素性のわからん婦女子に丹精込めて育て上げたセーシ君を放流する。…はっ、ビョーキもらったらどうしよう。後の祭り。
「ああっ…ん、……フフフ、イったみたいね」
見知らぬ女性は俺の尖端を割れ目から抜き、尚且つ身体を俺の腹部の辺りまでスライドさせてから座り直した。
彼女は後ろ手に俺のモノをいじりつつ、自らの割れ目から垂れる白濁液を俺の腹筋をなぞるように塗りたくりながら妖しく微笑んだ。
「フフフ…気持ち良かった?ごめんね、アタシのオナニーに付き合わせちゃって。ヤったじゃないかって?調子のんじゃないわよ、男なんて女がオナニーするためのコケシなんだから」
女性は屈託なくケラケラと笑いながら興奮覚め遣らぬ様子のまま踊るようにしゃべった。
そして俺は、
「オゲー!オゲロゲボゲボオロロロン!」
壮絶に吐いた。
仰向けだったためスムーズ(?)な逆流は適わず、俺はゴボゴボとゲロの海に沈んだ。ハチワンダイバーならぬゲロ湾ダイバーである。
「キャー!ちょっ、大丈夫!?しっかり、しっかりしてぇー!」
───────
5分間ほど胃液で溺れ死にそうになったが、なんとか一命を取り留めた俺は取りあえず服を着ようとしてゲロ塗れの服を見つけて諦めて唯一無事だったマフラーで股間だけ隠した。
相変わらず場所の判然としない植え込みの木陰で女に聞いてみた。
質問その1。
「あの…ドチラサマですか?」
「アタシ?アタシは阿久女イク」
そつのない答え。「そういうアンタは?」
「俺は青いものなら全て大好き、人呼んでウロタンダーブルーKAITOです」
「ふーん」
ツッコミどころ満載の俺の自己紹介をスルーするとはなかなかやりおる。
質問その2。
「…で、その阿久女さんは何故俺と合体していたのでしょうか?」
イクは「えっと」とか「あのー」とか言葉につっかえつっかえしつつ、なんとか絞り出すように言った。
「えっと…アタシはそのぉ〜、あー…倒れてた、そう、倒れてたアンタを見掛けて介抱してあげようと植え込みに連れ込んでムラっとして…じゃなくて、苦しそうだから服を脱がせて、」
「嘘だろ」
明らかに目が泳ぎまくっていたので釘を指す。
「…ムラムラしたから背後から忍び寄ってクロロホルム吸わせて昏倒させて食っちゃったの。悪い?」
あ〜なるほどだから俺は頭痛がして吐き気がしてゲロ湾ダイブしたわけですね。ありがとう疑問が解けました貴女は全然悪くありません。
とでも言うと思ったか。
「悪いに決まってんだろキモ痴女!」
「何よ!気持ち良さそうに痴女られてたくせに!」
「無意識下で犯されながら本能を制御できるわけないだろハゲ!」
「ハゲてねーわよハゲ!」
「俺だってハゲてねーよ痴女!」
「痴女?!言ってくれるじゃない、この粗チン!!」
「粗チンじゃねー!」
「はぁ?それが粗チンじゃなかったらどんなのが粗チンて言うのよ」
「は?俺のナニの何がちっちゃいって、言う…」
俺は自分の剥きだしの股間を見やり目を疑った。そんなはずはない。
俺は生まれてこの方男性自身にはちょっとした自信を持って生きて来た。通常サイズよりデカイのが自慢だったのだ。
なのに、今の俺の股間にぶら下がっているそれは、多分レンのより小さいかもしれないくらいの見事なまでの“粗チン”だった。
「なん、で…縮んで、るんだ…」
「縮んだぁ?最初っからそのカワイーちんこしてたじゃない?この粗チン粗チン粗チン粗チン!」
わけがわからない。なんで俺のチンチンちっちゃくなっちゃったの?なんで行きずりの痴女にそれを謗られなきゃいけないの?もう泣きたいよ俺。
急に元気の無くなった俺を訝しがりながら、イクは植え込みの外に目をやった。と思ったら植え込みをかき分けて向こうに出ていってしまった。
何やら知り合いの女性をみつけたらしく、声をかけている。
俺は無性に逃げ出したい気持ちに駆られて、服を着てないことも忘れて植え込みから飛び出した。
「汚された…もう、もうお婿に行けない!うわ〜ん!」
もう、自分でも情け無くなるくらい情けない捨て台詞を吐いて俺は駆けた。駆けて駆けて駆けまくった。
そして交番に辿り着いた。
しめた!阿久女イクの痴女っぷりをある事ない事交えて官憲に暴露してやる!
「ちょっとアンタなんてカッコしてるんだ!」
全身曝露しているのは俺のほうだった。
───────
頭が冷えた今になって粗チンの理由に思い当たった。おおかた昨日女体化した名残だったのだろう。
KAIKOになった日、メイコに散々女の享楽苦痛その他諸々を教え込まれて俺はすぐに男に戻してもらったのだ。
あれは恐ろしい体験だった…尻から空気入れて膨らまされるカエルの気持ちも口から割り箸突っ込んで腸引きずり出される小魚の気持ちもあの時に全てわかった。
あなオソロシヤ。
とにもかくにも、俺のイチモツは元のサイズを取り戻し、再び俺に漲る自信を与えてくれている。
女体化はもうたくさんだ。
新米警官のスウェットを借りて泊まった拘置所の御飯は、思ったより旨かった。
〜続く〜