がくぽが5兄弟の隣に越してきて、引越しの挨拶に来たという設定。  
 
 
 
「神威さんの下の名前、何ていうんですか?」  
ボーカロイドとしては、何とも風変わりな格好をした神威に向かってメイコは自然な質問をぶつけた。  
何しろ相手である神威は、最初の挨拶で神威と名乗っただけで、自分のことをあまり多く語ろうとしない。  
 
「……がくぽ」  
一瞬の沈黙の後、神威は俯き、やっと聞き取れるくらいの小声で呟いた。  
 
「えっ?」  
聞き間違いかと、自身の耳を疑うメイコ。  
その様子を察したのか、神威はスゥッと息を吸い込むと、今度ははっきりした口調で言った。  
「私の名前は、神威がくぽだ!」  
言い終えた彼の顔が真っ赤に染まる。  
 
「がくぽ?神威、がくぽ……?」  
 
どうしようもなかった。  
がくぽという名前を聞き、口にした途端、メイコは盛大に笑い出した。  
 
 
「あぁ、もうお腹がよじれそう  
 ごめんなさいね、その、あまりにも可愛い名前だったから」  
メイコは左手で目じりをぬぐいながら謝るも、それでも笑いは収まらない。  
 
「本当にごめんなさい  
 だって、あなた、声も顔もいいでしょう  
 何ていうかギャップが可愛くって」  
ひとしきり笑い終えると、彼女は何とか弁解しようとした。  
 
「気にするな  
 名前がおかしい事くらい自分でもわかっている」  
男にとって、可愛いという言葉は褒め言葉にはならない。  
あからさまにうな垂れながら、神威は自虐的に言った。  
 
「えぇと、ごめんなさい  
 傷つけるつもりはなかったの  
 そうだ!  
 神威さんって呼ぶのもよそよそしいし、ニックネームを考えましょう!」  
これぞ名案と言わんばかりに、メイコは手を打って楽しげに言い出した。  
 
「……ニックネーム?」  
 
「その方が気軽にあなたのことを呼べるでしょう?」  
嬉しそうなメイコに反して、神威はその提案にあいまいに頷くだけだった。  
 
「そうねぇ、ガクだと何となく味気ないわ  
 がくぽ…がくと…うーん」  
メイコは、神威の意見を聞くまでもないと言った様子で自分の世界に入っている。  
その横で神威は、変なひとだなぁとぼんやり考えていた。  
 
 
「がっくん!」  
いきなり、メイコが大声をあげた。  
 
「んっ?」  
 
「だから、ニックネームよ  
 なかなか、いいと思わない?」  
自信満々といった様子で、メイコが答える。  
 
どうしようもなかった。  
こらえきれなかった。  
神威は数秒、メイコの顔をまじまじと見つめるとクスクスと笑い出した。  
 
「何よ、そんなにこの名前おかしいかしら?」  
良いと思ったのに、とメイコは頬を膨らませ神威に尋ねた。  
 
「クスクス  
 いや、違うんだ  
 その、メイコの発想と見た目にギャップがあったから、つい  
 すまない」  
必死に笑いをこらえようとするものの、メイコにがっくんと呼ばれたことを思い出すとなかなか収まらない。  
 
「メイコは可愛いな」  
クスクス笑いながら、神威は思ったことをついそのまま口にした。  
 
 
「……発想が幼稚って言いたいのね!」  
メイコは少しだけ俯き、顔を真っ赤にして声をはりあげた。  
メイコにとって、可愛いという言葉は反則技だったようだ。  
 
 

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