『発泡酒』……か。  
ハァ……切ない響きね。  
家計の為とは言え日本酒を絶って一ヵ月、そろそろ透明のお酒が恋しくなって来たわ。  
ため息をつきながらそんな事を考えていると、カイトが慌ただしい足音を立てて帰ってくる。  
どうせまた新しいアイスがどうこうって話だろうな。  
 
――――ガラッ!!  
 
「めーちゃん!! 聞いて聞いて!!」  
「なによ? 新しいアイスでも――――」  
「これ、引っ越してきたお隣さん(自称ナス神様)がくれたんだけど」  
そう言ってカイトが私に見せたのはひょうたん。  
何やら栓が付いていて…………えっ、これってもしかして……お酒?  
 
「ちょっと見せて!」  
私はカイトからひょうたんを奪い取り、すぐに栓を開封。とたんに広がる甘くまろやかな香り。  
ハアァ……飲まなくても分かる、これはかなりの上玉! なんたってひょうたんいりだからね!  
我慢できなかった私は、そのまま口をつけてゴクリと一口……二口……三口。  
「カアァァ――――! うまぁーい!!」  
気づくと半分ほど飲み干してしまっていた。  
それにしてもこの感じ、なんだろう?  
体が熱くなって、目が回る……久々の本当のお酒に体がつていかないの?  
なんだか……眠く…………バタンッ。  
 
「――ちゃん、めーちゃん! めーちゃん? えぇ?! めーちゃん???」  
うぅ……頭が痛い、カイトのバカ……ちょっと静かにしなさいよね……  
「うーん……うるちゃいよ、カイト」  
ん? あれ、ろれつが回ってない? おっかしいな……そんなはず……  
「ねぇ、カイト。あたち……何かおかちくない?」  
「あ……め、……めーちゃんが幼女になった!!」  
「はぁ? 何言ってんのよ、あたちが幼女の訳……あた……ち……わっ、わわわっ!!!」  
 
ふと自分の姿を見ると、なんと服が脱げて素っ裸……じゃなくて!  
……ない! おっぱいが! 無くなってる!! ……身長も縮んでる!!?  
「ちょ、ちょっとカイト! あんた、あたちに何飲ませたのよ!」  
「飲ませたって……めーちゃんが説明の前に勝手に飲んじゃったんでしょ? 若返りのお酒……」  
「若返りのおちゃけ?! そんなバカな……」  
 
『ただいまぁー♪』  
『……あれ? その子……だれ?』  
『ま、まさかカイト……あんた誘拐したんじゃ?!』  
 
帰ってきた子供たち……いや、今は私の方が子供か……まいったな。どうすればいいんだろう……  
 
 
 
 
 

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