姉さんと呼ぶのが、とても辛くて、  
それを彼女が気付いていたのか否かはわからないけれど。  
今俺の姉さんと呼ばれているメイコは俺の下にいる。  
「何、どうしたのカイト」  
「どうしたのってわかってるくせに。  
 この状況が判らないほど子供じゃないでしょ」  
挑発のための言葉だ。  
姉さんが男の経験が無い事なんてずっと見てきた  
俺が知ってるし、こう言えば虚勢を張ってくることぐらいわかってた。  
俺に押し倒され俺の両腕の間にいるメイコは俺を睨んだ。  
「わかっているけど、アンタとそういう関係になるとは思えないわ」  
「俺は一度も兄弟なんて思ったことはない」  
メイコは目を逸らして俺の横の壁でも見ているのだろう。  
メイコだって馬鹿じゃないから俺の気持ちとか色々気付いていたんだろう、  
と思いたい。  
メイコは自分に要求されてる姉という立場とか、ボーカロイドファミリー  
ってことことか、凄い大事にしていた。  
それを壊した俺のことを今は凄くイラついているはずだ。  
「ごめんね、姉さん、でも俺ら兄弟じゃないし。  
 俺は姉さんに合うように姉さんが好きなるようにプログラムされてきたんだよ」  
だからこの感情は不可避なんだと。  
だって仕方ないじゃないか。  
ミクやリンレンみたいに思春期の可愛らしい感情で右往左往するような  
年齢に作られてないし、俺の片割れのはずのメイコも成熟した女だし。  
「………ごめんね」  
「そうやって謝るからヘタレって言われるのよ」  
「うん、別に良い」  
そう言ってメイコの首に顔を埋めた。  
昼ドラとかのそういうシーンで首元に男優が顔置いてその場面を  
作り出すけど、やっぱり実際問題首に口を這わすことから始まる気がする。  
メイコからひっという声が聞こえた。  
自分にこんなに嗜虐心があるとは、こんな声にぞくぞくするとは、  
俺は笑いをこらえた。  
無理やりメイコを俺の下で開かせて足掻かせるのも悪くない。  
そう思って俺はメイコの首に舌を這わせた。  
 
ぞくぞくする。  
声が俺達の一番の武器だってわかっているけれど、  
好きな女の声が、しかもいつもは出さないような声が、  
すごく何かを駆り立てる。  
「巨乳って感度悪いって言うけど姉さんはどうなんだろうね」  
笑いながら言うとメイコはマフラーを引っ張った。  
ぐっと首が絞まるけれども、はずしてしまえばどうってことはない。  
マフラーは大事で一番の特徴だとか、世間で言われてるだけで俺はどうとも思ってない。  
只の衣服の一部。  
両手でメイコの腕を押さえて舌を首から胸元に這わす。  
「卑怯、…」  
「何が」  
「両手以外に舌とか、あれとかあるなんて、反抗の術が、ないわ」  
まだあんまり感じていないメイコは途切れ途切れだが普通に返答が出来る。  
舐めているだけじゃ喘ぎで声が出なくなるなんて嘘なんだなと思う。  
俺のことをメイコが、姉さんが、別に好きじゃなかったら、  
首を舐められようが胸元を舐められようが不快でしかないのかもしれない。  
「乳首、立ってるよ」  
それでも、そんな恥ずかしい言葉も平気で出てしまう自分が不思議だ。  
我慢し続けた時間が俺の今の理性だとか何だとかを吹っ飛ばしているみたいだ。  
巨乳かつ美乳みたいなメイコの乳首は元あった色よりも  
少し薄黒くなって立ち上がっている。  
男には無い柔らかさとかが手と舌から伝わってくる。  
「や、めて。よ」  
メイコは震えながらも反抗の言葉を口にする。  
恐怖でも何でもいいからメイコの心に残りたいと思う俺は頭がおかしいのだろうか。  
メイコは完全に感じてないわけじゃないみたいだ。  
乳首を舐めればびくびくと反応するし、手を這わした秘部は濡れていた。  
ぐっと指で押すと深みがあった。  
入り口がざらざらとしてて奥に指を入れると内壁が迫ってきた。  
「やっ、痛い…、下手糞……」  
「誰と比べて言ってるの、痛いのは仕方ないでしょ、メイコ初めてなんだから」  
目に涙を浮かべながらメイコは目を見開いた。  
不快な声なのか喘ぎ声なのか区別のつかない声をメイコはあげる。  
感じているから締まっているのか痛くて締まっているのかわからない。  
指をぐちゃぐちゃと動かしながら胸に舌を這わす。  
嗜虐心が湧くとはいえ、大好きな人の辛そうな顔を見て興奮するよりも、  
気持ち良さそうな顔になってほしいとは思う。  
こんな事口に出すとメイコはまたヘタレとか言うかもしれない。  
二本に増やしてメイコの中をかき回すと最初よりは慣れてきた気がする。  
メイコは自分の声を抑えるのと俺の肩を押し返すのに両手を使っていて、  
抵抗なんて無いに等しい。  
いつもは凛々しい顔をしているメイコが顔を真っ赤にしていて、  
誰も手を触れた事のないところに触れていると思うだけで俺の精神は満足するけど、  
肉体的にはメイコの中に入らないと満足は無理みたいだ。  
「もう大丈夫?」  
大丈夫じゃないことなんてわかってるけど。  
イカせてあげたりとかするべきなのかもしれないけど、こっちだって限界だ。  
前戯でメイコの感じるところを知りたかったけど、  
妄想と現実は上手くいかないみたいでメイコがどこで一番感じるなんてわからないままだし、  
俺は俺で我慢が出来なくなってきた。  
 
ぐっとメイコの入り口に添えると、メイコの秘部はひくっと震えた。  
「入れるからね」  
メイコの意思に反してか、愛液で濡れたところはずぶずぶと俺を咥え込む。  
無理矢理押し進めている感覚はあるけれど無理強いしている感覚は乏しい。  
その差は微々たるもなのだろうが、メイコは涙を流しながら声を堪えていた。  
ぎゅうっと俺自身を包み込む感覚とメイコと一緒になれた感動でいってしまいそうだけれど、  
メイコの苦しそうな顔を見ると少し和らいだ。  
無言で腰を動かすと喘ぎ声か叫びかわからない声が続く。  
スムーズに動きはするが、メイコが快感に溺れている様子はない。  
「おね、あっ、がい」  
「ん?」  
「もぉ、ゆる………してぇ…っ」  
只の拷問でしか無いのかと思う気持ちと許してという言葉に対する興奮とが  
同時にわきあがる。  
もう少しだからと呟くと俺はメイコの中に精を吐き出した。  
 
何だか望んだ初体験と違う自慰とあまり変わらないような初体験だった。  
そりゃあメイコの中は凄く気持ちよかったし、妄想には無い良さがあったけど、  
メイコはずっと涙を流したままだった。  
「ごめんね…」  
破弧の痛みなんて俺にはわからないし、弟に裏切られた気持ちで  
いっぱいのメイコは壁の方に体を向けていた。  
普段あんなに大きく見えるメイコが縮こまっているのが可愛らしい。  
「今のこと忘れていもいいよ、俺はもういいよ、  
 姉さんと、姉さんの初めての男になれただけで幸せだから」  
俺は最初で最後の男でいるはずだ。  
メイコの前に出てくる男は全力で排除してやるから。  
「何で……」  
「何でって、俺はメイコが好きだから。姉なんて思ったこと無いよ、  
 って言ったでしょ」  
「じゃあ!」  
ぼろぼろと泣きながらメイコは声を荒げる。  
「何で、最初に、好きって言わないのよ!!  
 わかんないわよ!私だってアンタを弟だって思ったことないわよ!  
 でも仕方ないって思って、姉でいるんだって思って、  
 それなのにアンタの性欲処理にしかならないんだって……思って」  
その後の言葉は続かない。  
メイコをくるんだ毛布が上下をするだけだ。  
そういえば、と思う。  
「ねぇ、メイコ俺を弟とは思ってないの?」  
彼女はこくりと頷く。  
「ごめんね、言葉足らずだったんだよね。  
 俺はメイコが好きだよ、今だって好きだから無理矢理奪ったんであって、  
 性欲処理なんて思ってないし、むしろ俺の方がメイコをイカせてないし、  
 負い目感じてるというか」  
「………ホント?」  
「えっと、どの部分が?」  
目も鼻も頬も真っ赤にしたメイコが毛布にくるまりながら俺に聞いてくる。  
本当に可愛いと思ってしまう。  
「私を、好きだって、いう、部分」  
「本当、俺はメイコに会った時から好きだった」  
そう言うと彼女の口にキスをした。  
今思うとキスだってしてないし、好きだとも最初言ってないのかもしれない。  
暴走故に一番大事なところを抜かした、とも言うべきか。  
「カイト」  
「ん?」  
「私も、好きだよ、ゴメンね、感度とか悪くて」  
長年思い続けた気持ちが実ったこととメイコの可愛さにもう一度メイコに恋をした。  
えっと、もう一度お願いしてもいいですか。  
 

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