私は、作曲が好きな昭和音楽大学の女子大生。
将来の夢、は一応サウンドクリエイター。
逆に言うと、作曲以外の趣味は無いというか、作曲が趣味じゃなくなれば、何もなくなるというか…。
…なぜなら、私は音大に入学してから友達がいない。コンプレックスというやつだ。
今日もいつものように自宅のPCのシーケンサーを起動させる。ピアノロール画面。
「はぁ…だめだ」
今日もアイデアが浮かんでこない。
いや、ジャンルはテクノ系と決めてる。しかし、進まない。産みの苦しみというやつだ。
「きっと、シーケンサーのクオリティの限界なのね…」
私は作曲を中断し、ユーチューブでも見て気分転換しようと思った。
「…ん?何これ?…初音ミク?」
それは、たまたまクリックした動画だった。
【…それが私の運命的な出会いだとも知らずに…】
「初音ミクに、はじめてのチュウを歌わせてみた…なんだろ?」
とりあえず、クリックしてみる。
…どうやら、このバーチャルの女の子は「はじめてのチュウ」を歌っているようだ。しかし、この曲は一体どうやって作ったんだろ?
私は疑問に思い、Googleで「初音ミク」について詳しく調べることにした。
…1時間後
この「初音ミク」とは、バーチャル・アイドル歌手こと、次世代のシーケンサーらしい。
ピアノロール画面に平仮名の文字を入力するだけで、その通りに歌ってくれるみたい。
【ミク…
私の曲の新たな可能性を導きだしてくれるの?】
…私は期待と興奮を尻目に、この「初音ミク」を購入しようと決意した。
色々と電気屋をまわりにまわった。
しかし、初音ミク自体が売ってなかった。
…そして、最後の店。
…あった!
価格は15000円とちょっと高いけと、この際四の五の言ってられない。
私は迷わず購入した。
…早速、自宅に戻り初音ミクをインストールし起動させてみる。
…どんなキュートな女の子が待ち受けているのだろう?
…イキナリ、ピアノロール画面。
私は、この淡白な作りにあっけとられた。ゲームとかアニメみたく、オープニングみたいなシーンを期待してたからだ。
まあ、シーケンサーソフトなんだからしょうがない。
…こうして、私の初音ミクライフが始まった。