「兄さん、兄さん!これ見てください!」
そう言ってミクは俺に手にしていたものを見せる。
「ん?浴衣か?」
「はい!お隣のMEIKOさんがくれたんです!」
ミクが手にしていたのは紅色の浴衣。ところどころに椿の刺繍が添えられている。
「MEIKOさんのマスターが、リンちゃんとレン君の浴衣ついでにMEIKOさんの浴衣も新調したらしいんです。だからお下がりを私が頂きました!」
嬉しそうに笑うミク。そういえば、ミクやリンレンは夏を初めて迎える。きっと祭りとかに行ってみたくてしょうがないんだろう。
「…でも、これMEIKOさん用だったんだろう?ミクにはちょっと大きいんじゃないかな」
「んー、そうですかね?じゃあ、ちょっと着てみましょうか」
そう言うとミクは着ていた服を脱ぎ始めた。…ん?
「って、ミク!何お前いきなり脱いでるんだよ!」
「だって服着てたら正確にわからないじゃないですかー」
「そりゃそうだが…」
ちくしょう、なんという天然!いくらミクが妹でつるぺただからって、女の子の裸見たらお兄さん興奮しちゃいますよ!?
「き、着替えるなら俺は外に…」
「駄目ですよ!ちゃんとサイズあってるか確認して欲しいんですから!」
絶望した!
『そんなの着替え終わってからでいいじゃないか!』と言って部屋から飛び出せない自分に絶望した!
斯くして、俺の煩悩との我慢大会は始まった。