マスターが不在の夜は静かだ。
遠方の友人とのオフコラボだとかで、MEIKOもLEONもリンもレンもがくぽも
PrimaもAnnも全部ひっくるめて連れて行った。
二三日は帰って来ないらしい。
俺が留守番なのは、マスターの友人が「KAITOとミクはうちの子を使うから」と言ったからで。
せっかくのコラボに参加できないのは残念だと思うが、VOCALOIDの過密状態でただでさえ賑やかなこの家だから。
たまにはこんな静かな夜もあってもいいと思う。
KAITOは、作り手の不在故に起きた晩飯の自由化を、冷凍庫を占拠している
自分用アイスをいつもより五つ多く消費することで満喫していた。
ミク?
あいつも、好きにするんじゃないか?
ここんちのKAITOは、KAITOにしては珍しく妹に対して興味が無い。
ミクもミクで、普段はリンやMEIKOとべったりつるんでいるから、
兄に対しての思い入れなどないだろう。
この世にはいろんなKAITOがいるが、このKAITOは基本的に無趣味なので、
TVをつけていた。
時間があるので、KAITOが生まれる前に放映された洋画番組にチャンネルを固定する。
古代エジプトのファラオの呪いがどーとか、という冒険モノ。
しゃくしゃくした食感がウリの氷菓にスプーンをさして、口に運ぶ。
「兄さん、風呂空いたよ」
ミクの声がした。
「ああ、ありがと…」
うわの空な返事をしながら振り返ったKAITOは。
「ぶっ」
吹いた。
ちょうど、TVの中ではむくりと起き上がったミイラを前に、ヒロインが大げさなリアクション。
『いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』
ミクは頭にタオルをひっかぶって、ほかほかしていた。
『ミイラがっ!化け物がっ!私たちはファラオの呪いに呪われてしまったんだわぁ!!』
縞パンいっちょの堂々とした姿で。
「ミク?」
「なーに?」
「なんで服着てないの?」
衝撃が強すぎて目が点になったKAITOが訊ねる。
これはもう、セクシーだとかセクシーじゃないとか、そーいう次元じゃない。
これだけエロスの無いサービスシーンもなかなかあるまい。
兄の質問にミクは「?」、なにをいまさらという顔をする。
「服いらないでしょ。もう寝るだけなのに」
「あ、そう。それでもパンツ一枚はどうかと思うよ?」
「あそっか」
言われて己の姿を見直したミクは、「それもそっか」と納得し。
パンツを脱いだ。
「寝るのにパンツいらないよね。兄さん、あったまいい」
俺は頭が悪いのか?
KAITOはひらりと降ってきた縞パンを払いのけることも忘れて、
「おっやすみー♪」と去りゆくミクの後ろ姿を見ていた。
記憶をたどると、そういえば毎日このくらいの時間帯で
MEIKOの怒鳴り声やリンの悲鳴が聞こえてきていたような気がする。
興味が無かったから気にしてなかったが。
…、アレはこーいうことだったのか。
映画は続いていたが、内容が頭に入ってこない。
「風呂入って寝よ」
KAITOはリモコンのOFFスイッチをぽちと押した。
なんか疲れた。
風呂からあがって、リビングの電気を消して、KAITOは部屋に戻る。
慣れているので明かりが無くても、ベッドに潜り込める。
「んっ」
なんかいた。
ヘッドランプを点ける。
ミクだ。
お布団にくるまってすやすや寝ている。
KAITOは黙って蹴り出すことにした。自分の部屋へ戻れ。
「ひっどーいっ!」
「起きてたのか」
「起こされたのっ」
いい年した女の子がすっぽんぽんでしがみついてくんな。
「なんで蹴り出すなんてコトするのっ!? 兄さんの鬼畜っ!」
「俺には君の行動の方が分からないよ」
「人肌が無いと寝付きが悪くなるからよ」
「迷惑だとか思わないのか?」
「めいわ、く?」
「その解読不可能な他国語を言われたような顔が答え?」
「まさか」
ミクはきっぱりと言ってのけた。
「妹がいれば、鼻血垂らしてパンツの匂いを嗅ぐのがKAITOでしょ?」
素っ裸であぐらかくのはやめようね。
「分かった! 特別に脚コキしてあげるから、それで手を打ちましょう!」
「おやすみ」
「なんで立ち上がろうとするのっ!?」
「この部屋で寝るのを諦めたんだよ」
「イヤーーーーーーー!! 眠れない妹を助けてあげようよっ」
「べつに寝られなくても、人間じゃないんだから、機能に支障は無いだろう?」
「仲の良い兄妹は、もっと裸のつきあいをするべきだよ」
「間違っている点を指摘していいなら、俺たちは設定上兄妹だが、
今まで一度たりとて『仲良し』だったことはないよね」
「うーーっ!」
ミクが睨む。
「兄さんてガチホモ?」
「いきなり『ガチホモ』認定は、失礼だと思うよ?」
「じゃ、不能?」
「……、おやすみ」
「だめーーっ!!!!」
KAITOの腰にがっちりしがみついたままで、ミクはくすんくすんと泣きだした。
「ひっく…、だってぇ…、いっしょに寝てくれるリンちゃんもぉ…めーちゃんもぉ…、
いないんだもん…、ひゃっく、…さ、さみしいんだもん…」
「………。」
「ねえねえねえ、兄さんて巨乳派?美乳派?制服に萌えるタイプ?
わたしはこの前のPVで着せて貰ったレースクイーンが良かったなー。
ビニール素材のびっちりした布がめーちゃんのおっぱいのラインに張り付いてテラエロす」
「うるさいよ、ミク」
KAITOはすでに情けをかけたことを後悔していた。
ミクが寝ない。
寝ないだけならいい。
ずっとこの調子。
やはり蹴り出しておくべきだったと思うが、それだとまたあの掛け合いの繰り返しだと思うと、
そーいう気力も萎えてくる。
スリープモードに入ろうとしても、
「ねねねっ、聞いてる?聞いてる?」
ぺしぺし叩いて、強制的にスリープモードを解除させてくる。
「うるさいよ、ミク」
「ねーっ」
「うるさいよ、ミク」
「……。」
よし、黙った。
ささいな勝利に優越感を感じ、やっと本格的なスリープモードに入ろうとKAITOは息を吐く。
KAITOにのしかかるように身体を預けていたミクが、「……。」
KAITOが目を閉じたのを見て、もそもそと動いた。
パジャマのズボンをずらして、パンツの中から陰茎を引っ張り出して、
「おお」
「おお、じゃないっ!」
兄の反応を無視。
ぱくんちょ、と唐突にお口でしごき始めた。
「っ!」
吸い付くようにちゅっちゅとされると、さすがに今まで無反応だったKAITOでも、
反応せざるを得ない。
息が荒くなり、あっという間に、海綿体が膨張した。
「ぷぁっ」
口に入りきらなくなったので、ぴくぴくしはじめた先っちょをぺろぺろしながら手でしごく。
「兄さん、おっきい」
うっとりした目つきが楽しそうだ。動きが容赦無い。
「も、…やめ…」
「やー」
時間の問題で限界が来た。
「くっ…出るっ」
「あっ」
ピュッと吹き出た精液が、ミクの顔にべっとりとついた。
「♪」
べっとりついた白濁を指ですくい、ミクはうれしげに口に含む。
それを見上げながら、KAITOは訊ねた。
「どういうつもりなの」
「んっ」
ミクはKAITOの腰の上にのっかると、まだ半立ちのソレに己の割れ目を擦りつけた。
「あんっ」
腰を動かして卑猥な箇所で摩擦しながら、答える。
「兄さんが不能かどうか、ちゃんと確かめておこうと思って」
「余計なお世話だよ」
「気持ちいい?」
答えるまでもない。
ミクが腰を動かせば、にちゃにちゃといやらしい水音が生まれる。
からみつく割れ目の刺激に興奮できないほど、枯れているわけではない。
「ミク、マスターはもう二三日帰って来ないんだよ?」
「ん」
「ミクの好きなリンやMEIKOも、帰って来ないんだ」
「ふぇ?」
「分かっているならいいんだよ」
「ひゃっ」
KAITOはおもむろに、ミクの腰を掴むと、下から深く貫いた。
「あああああああっ!」
ミクが高い声を上げる。膣がぎゅっと締め付ける。
「くっ」
「…あ、…ん…」
イッたばかりのとろんとした目つきで、ミクはおしりを動かした。
ホントは腰から動かして激しくしたいのに、気持ちよすぎて力が入らない。
お腹の中で体積を増していく、おちんちんの感触がたまらない。
「あんっ、…またイッちゃうよぉ」
ミクの肢体がまたびくんっと痙攣した。
「ひゃあぅっ」
「ミク、動きが止まってるよ」
「ら、…らぁってぇ、ふぁっ」
KAITOが、ミクの胸のふくらみを撫でた。
ミクのハートがきゅんきゅんする。
「あっっは」
「わたしのえっちなおまんこが、兄さんの熱くてびくびくしてるおちんちんをきゅっきゅしてるよぉ」
そして言う。
「マスターが帰ってくるまでずーぅっと、こうしてるのもいいよね」
呆れたと半眼でKAITOは見上げる。
「その発想は無かった」
ミクを抱き寄せると、重心の移動を利用して体位の上下を交代する。
ベッドの上に寝ころんだミクから一度ペニスを抜くと、
「えっ? やあっ」
抜かれたことに抗議の声を上げたミクを、四つんばいにさせ、KAITOは言う。
「ほら、おしりを上げて」
「うん」
ミクが期待に満ちた、舌っ足らずな声でKAITOを誘う。
高く持ち上げた臀部の割れ目からは、充血した陰部がひくひくっと言葉以上に欲情を見せつける。
もうすでにミク自身の淫液でぬらついている陰茎が差し込まれると、ミクはひときわ高く鳴いた。
熱いかたまりが膣内を押し広げたかと思うと、その刺激にイッっている間に、
ピストンの激しい動きがミクを襲う。
「ひゃっあっ、アー! アッ! アー!!」
支えるモノが欲しくて、シーツと同じ、個性のない白い枕をたぐり寄せてミクはぎゅうっと抱きしめる。
抱きしめておかないと、身体の中から弾けてしまいそうで、ミクはぽろぽろと生理的な涙をこぼした。
激し、すぎる、よぉ。
「ぁああああああああああああああああ!!」
ミクの四肢から力がかくんと抜け、くたあっとなったのを見て、
KAITOはミクから一物を引き抜き精液を太ももに吐きだした。
「…んっ」
すべらかな白い内股をどろっとした白濁が滴っていく。
ミクがやがてのそっと動くと、
くちゅ
朦朧としたままの表情で、自分の恥部に己の指を這わし、いじり始めた。
「…ぁ。」
あたたかい精液を一緒に塗りつけながら、くちゅくちゅとクリトリスをいじる。
「ふぁ、んっ…」
そんなミクを後ろから抱き上げて、脚を開かせ、露わになった花芯に触れると
ミクの身体がまたひくんと震える。指を差し込むと膣がきゅうっと締め付ける。
きつい。
「……。」
唇を合わせて舌を絡めると、唾液に混じって精液の味がした。
「まずいね」
KAITOが顔をしかめると
「兄さんの味だよぉ」
ミクがえへへっと微笑んだ。
「ちゅうしちゃった」