海の家って、鍵の掛かる個室のシャワーが併設されてたりするよね?
あれって実は、子供連れのお父さんお母さんとか、一夏のアバンチュ
ールを求めるカップルが楽しむために設置されてるんだって。知ってた?
「あはは、浜辺でしちゃうと次の日まで砂遊びする羽目になるもんね。
ていうかハメ?」
「うわっ、無いわ。その親父ギャグ」
「言ってて自分でも思った。ふふふ」
シャワー室は二人が入ると結構狭いものだった。換気が悪くてじっと
り暑く、しかも足下は砂だらけでジャリジャリする。
早く忘れよう。
「きゃ、くすぐったい」
抱きよせて舌を這わせたメイコの肌は、
「うむ、良い塩加減」
だった。
「ね、先にシャワー浴びようよカイト」
確かに海水を浴びた肌はべとべとしてなんとも心地が宜しくない。だ
がその心地の悪さこそ生々しさを感じさせ海での情事を盛り上げるファ
クターでありまっさらなシーツと清潔な身体では味わえない場当り的な
生もとい性体験に繋がると思うわけで、いわく俺はこう返事した。
「だが、断わる」
きっとメイコから見た俺の背景にはズギャ〜ン!だのバ〜ン!だのと
アメコミばりの効果音が出現していたことだろう。
メイコは俺の股間に触れて、あからさまな[あきれ顔]を苦笑混じり
に形作った。
「我慢出来ないって感じね」
俺の陰茎は既に喰らい付かんばかりにカッチカチだった。お恥ずかし
い。
「しょうがないじゃん」
こんな綺麗な人が自分の所有物だなんて、それだけでご飯三杯はいけ
ますよ。夏期限定でかき氷三杯でも良い。
「さて、カイトくん。君は私に上のお口で奉仕させてもいいし、下のお
口で奉仕させてもいい。どっちがお好み?」
メイコは小悪魔的……否、妖艶なサキュバス的笑みを湛えつつ上目遣
いの視線で俺を嫐る。その視線だけで精を絞り尽くされそうだ。連れ込
んだのか誘い込まれたのか、犯そうとしていたのか犯されそうだったの
かさえ判らなくなってくる。古〜い歌が脳裏をかすめる。夏のお嬢さん
、ビキニがとっても似合うよ刺激的さ!
「……し、下のお口でお願いします」
「ん〜?オネェさん、下のお口って言われてもわかんないナー。何に何
をどうしたいのかハッキリいってくれないとしてあげられないナー?」
「…………そういう羞恥系は男子が女子にやらせて悦ぶものなんじゃ……」
「そうかしら?」
メイコは向日葵が引くぐらい満面の笑顔だった。