ああ、やってしまった。  
今更悔やんでももう遅いと知りながら、己の迂闊さに反吐が出そうになる。  
私は本当に愚かで、無力で、不器用で。  
せめて、自分の不始末くらいは、一人で完璧にこなさなければ。  
 
「…っ!………ぁああっ!!はぁっ…はぁっ……ぅああぁぁ…っ」  
 
私は本当に愚かで、淫らで、浅ましくて。  
それでも、ずきずきと快感に疼く粘膜を慰める手は止まらなくて、  
自己嫌悪にうっすらと涙が滲んでくる。  
誰も傷つけずに。誰にも迷惑をかけずに。誰にも気付かれずに。可愛いミクにも、リンにも、レンにも。  
早く、早く終わらせてしまわないと。  
一刻も早くいつもの私に戻らないと。  
自業自得だって分かってる。私が悪いんだって分かってる。でも―――  
 
お願い助けて。本当はつらくてつらくてたまらないの。  
 
 
「みんなただいまー。あれ、めーちゃんは?」  
「お兄ちゃんおかえり!あのね、お姉ちゃんは具合が悪いから先に寝てるって」  
「え!?どうしたんだろ…今朝は元気だったはずなのに」  
「何かねー、ゆっくり寝て早く直したいから、部屋には近寄るなって言われてんだけどー」  
「いやいやそんな訳には」  
「絶対そう言うと思ったから、特にカイ兄には釘刺しとけって言われたぜ」  
「な、何だよそれ…」  
「じゃ、俺らもそろそろ寝るから」  
「ご飯は食卓にあるからレンジで温めてね〜」  
「お兄ちゃん!明日はミクが朝一でお姉ちゃんに卵とネギの雑炊持ってってあげるんだよ♪」  
「うん…みんなおやすみ。………」  
 
ここ最近、毎日のように、病的な妄想の入り混じった  
大量のファンレターを送りつけてくる粘着気味のファンは、悪質なストーカーだった。  
立場上邪険に扱うわけにもいかず、適当にかわしていたのだが、その曖昧な姿勢が  
帰宅途中のメイコを待ち伏せし、車に連れ込もうとするまでに至った。  
メイコかて、伊達に一家内最強の姉の称号を持っているわけではない。  
撃退に成功し、次はしかるべき機関に通報すると警告すると、男はしぶしぶとではあるが引き下がった。  
誘拐は未遂に終わり、無事に解決した。  
もみ合った際にメイコに浴びせられた無色無臭の液体による被害を除いて。  
 
帰宅しシャワーを浴びた後、夕食を準備している最中に、動悸がいつもより激しいことに気付く。  
体が内側から熱を帯び、動くたびに服に擦れる肌から、むずがゆいような刺激を感じる。  
ボーカロイド用に支給されている簡易メンテナンス器具で検査をすると、  
ドーパミン、オキシトシン、PEA…ほか脳内麻薬様物質が活発に分泌されており、  
男の取った行動と照らし合わせてみたところ、  
つまりは遅効性の媚薬をかけられたのだという推測に、ほどなくしてたどり着く。  
スケジュールの都合上、本格的なメンテを受けている時間は無い。  
どうすべきか迷っている間にも、ますます欲求は高まっていき、正常な判断能力が失われていく。  
 
持てるだけの余裕を振り絞って、子どもたちに食事を出し、  
体調が悪いことを告げ、部屋に近づかないことを約束させる。  
震える手がスカートの中に伸びそうになるのを必死でこらえ、  
部屋に駆け込み、入り口に鍵をかけると、ベッドに倒れこむ。  
自分はうまくいつもの姉の顔をしていられただろうか。  
弟妹たちに怪しまれてはいないだろうか。  
自問しても答えを出せるような余裕は既に無く、思考が停止しそうな状態が続く。  
 
とりあえず、熱を逃がさなければ。逃がしてしまいたい。  
発散させなければ。発散したい。  
気持ちよくなりたい。  
快感を貪りたい。  
 
イきたい。  
 
恐る恐る下着の上から押さえたそこは、すでにぐっしょりと濡れそぼっており、  
突起に触れると電流のような快感が脳を駆け抜ける。  
「ひっ!…ああぁ……だ、め…っ」  
思わず口にしてしまった自制の言葉は、うわずり悦びに震えていた。  
反射的に口を塞ぐが、待ち焦がれていた刺激に、こぷりと新しい愛液が太ももを伝い、  
指を止めることはできなかった。後はもうただ堕ちていくだけ。  
「う、あ……やだ……こん、な……だ…めなの、に…っ!」  
一瞬の絶頂を貪るために、感じる部分をがっつくように攻め、快感に身を引き攣らせ、震わせ、哭く。  
 
部屋に入ったときに窓から見えていた薄紫色の空は、すでに漆黒に塗りつぶされ、  
もう何時間経ったのかも分からない。  
下の部屋では子どもたちがテレビを見ながら、団欒のときを過ごしているというのに、  
自分の痴態は何事だというのだろう。  
恥ずかしい。情けない。ごめんなさい。でも気持ちがいい。  
ある程度満足すれば治まるはず。だから早く落ち着かなくちゃ。  
少しでも背徳感を和らげようと、そう自分に言い聞かせて、言い訳をして、体内に指を埋め込む。  
心が僅かに軽くなり、快楽に集中することができた。  
 
誤算だったのは、いくら絶頂を迎えても満たされないこと。  
 
足りない。まだ足りない。全然足りない…!  
…何が?何が足りない?早く気持ちよくなって楽になりたいのに、何かが足りない?  
 
「めーちゃん、大丈夫?」  
 
ノックの音と共に声が聞こえた。  
心臓が跳ね上がり、一瞬にして現実に引き戻される。  
部屋には防音加工を施してあるが、我を忘れるほど乱れる音が聞こえていたかもしれないと思うと血の気が引いた。  
自分のこの状態を一番知られたくない存在がドア一枚隔てた向こうにいる、その事実に遅まきながら気付いてしまう。  
 
「か…カイト?心配してくれてありがと…。ちょっと寝てただけ。私は大丈夫だから」  
呼吸を整えて、なるべく平静を装い返事をする。  
震えそうになる声を上手く律せたのは、日頃の訓練の賜物だろう。  
 
「ミクから調子が悪いって聞いたけど、熱でもあるの?」  
「ええ、最近忙しくて体調管理が上手く出来てなかったみたい。すぐ直してみせるから」  
「うん…でもやっぱり心配だから、少し顔見せてもらえないかな?」  
「……ごめん。今日はもう寝たいから、また明日にしてもらえないかしら」  
「…………そっか」  
カイトの足音が遠ざかっていくのが微かに耳に入る。  
嘘をついてしまった。たくさんたくさん嘘をついてしまった。  
体調が悪いとみんなに嘘をついて、心配して様子を見に来てくれたカイトにまた嘘をついた。  
私の不注意でこんなことになって、嘘をついてみんなを振り回して。  
全部全部私が悪い。わたしがわるい。  
 
カチャッと軽い金属音がし、暗い部屋に光が差す。  
「めー、ちゃん?」  
今度こそ本当に心臓が止まった。  
 
僕とメイコが管理している、箪笥の引き出しから持ち出してきたマスターキーを使った。  
電気もつけていない部屋でベッドに倒れているメイコは服を着ておらず、  
床に落ちた上着とスカート、足に引っかかったままの下着が、非日常の事態であることを物語っていた。  
メイコは大きな目を見開き、脅えたようにシーツを握り締める。  
「ごめん。ひとまず入れてもらうね」  
後ろ手にドアを閉め、しっかりとロックした。室内灯の明度を絞り、お互いの表情が見えるくらいに調節する。  
部屋に漂うのは男の中の獣を呼び覚ますような、夜の香り。  
「な、んで…ここに……!」  
掠れた声のメイコが僕を睨む。  
「勝手に鍵を開けたことは謝る。ごめんね。でもめーちゃん、嘘ついたでしょ?」  
僕の問いにメイコは酷く傷ついた顔になり、目をぎゅっと瞑る。  
 
「『寝てた』なんて、そんな焦ったような早口で言われても、何か隠してることくらい分かるよ」  
ベッドに腰掛けて、そっと髪を撫でる。メイコの固く閉ざされた瞳から涙がこぼれてくるけど、  
よく見るともっと前から泣いていたようで、頬に涙の筋がいくつも残っている。  
僕の知っているメイコは弟妹たちに嘘をついてまで、部屋に篭もり自分を慰めるような不可解な行動は取らないはずだ。  
何がそこまで彼女を追い詰めてしまったんだろうと、気の毒に思い裸の肩を抱き寄せる。  
と、メイコはびくりと身を竦ませ、もがきながら僕の腕から逃れようとする。  
「ちょ、どうしたのさ!?怪我でも」  
「だめっ!触ら、ないで。私が、私が悪いんだから……。あんたに迷惑かけられないの」  
 
どういうことだろう。迷惑だなんてかけられた覚えはないし。  
メイコが僕を拒絶するように後ずさって距離を取るから、僕の知らないところで嫌われてしまったようで悲しくなってくる。  
「めーちゃん!落ち着いて。僕は何もしないから。話だけでもちゃんと聞かせて、ね」  
下を向いていたメイコがおずおずと顔を上げたのを見計らい、まっすぐ目を見つめて微笑んで見せると、  
しばしの逡巡のあと途切れ途切れに、ここに至るまでの経緯を話してくれた。  
時には羞恥に言葉を濁らせながら、時には涙で声を詰まらせながら。  
 
何と言うか…とりあえず変態ストーカー野郎に鉄槌を下してやりたいんだが。  
いやいや、今はそれよりも彼女のことが心配だ。  
メイコは責任感があり至極一途な性格である。  
失敗したときに他人を責めるなんて卑怯な考え方はしないが、逆に過剰なほど自分を追い詰めてしまうのだ。  
ミクたちがくる少し前のこと。メイコが仕事で組んだマスターは著名な音楽家で、傲慢な人物だった。  
しかしボーカロイドの扱いは初めてだったようで、思うように曲が完成しない。  
それを全てメイコのせいにして、散々こき下ろしたのだ。  
曰く、発音が悪い。曰く、音が取れていない。リズム感がない。情緒がこもっていない……。  
こんな出来損ないの人間もどきと仕事なんか出来るか、と言い捨ててそのマスターは契約を打ち切ってしまった。  
メイコはそれにひどくショックを受けて、しばらく歌を歌うのもつらくてたまらなかったらしい。  
らしいというのは、彼女は感情、特に鬱屈したものは自分の内に仕舞い込んで、他者に助けを求めない傾向があるからだ。  
食事も睡眠もほとんど取らず、レコーディングルームか自室に篭って、何かに取り憑かれたように  
自主トレーニングに励んだ末、過労で倒れたのを問い詰めてみた結果がこれだ。  
もともと初の国産ボーカロイドだったせいで、一人の時間が長かったせいもあるのかもしれない。  
僕は随分しつこく粘ってやっとこれだけ聞きだしたのだが、彼女が僕に心の内を吐露してくれたことで、  
信頼される存在になったことを嬉しく感じるのと同時に、もっと早く助けになれたらと悔しい思いをした。  
 
今度は手遅れにならないといいんだけど。  
 
「で…、その、もしかして今もまだ…?」  
「そ…れは…」  
俯き気味のメイコはぎゅっと唇をかみ締める。  
上気した頬、時たま擦り合わされる太もも、つんと尖ったままの胸の突起…聞くまでもなかったか。  
「や、だ…見ないで…よ」  
メイコの涙交じりの声は、僕が虐めているみたいで少し反省する。  
「僕がさ、手伝うから」  
「…!何言って…っ…そ、そんなこと頼めるわけないでしょ!?」  
ああ、やっぱり。メイコは本当にいじっぱりで潔癖だ。  
「ごめん。分かってる。でもめーちゃんは悪くないんだよ」  
むき出しの肩にもう一度そっと触れてみる。今度は振り払われたりしなかった。  
「悪いのは変態ストーカーなんだから。それでめーちゃんが苦しむ必要なんて全然ない。  
 このままだとつらいよね?熱を逃がしてやるためにするんだから、当たり前のことなんだから、そんなに気負わないで」  
「でも…」  
「じゃあさ、演技しよう演技。僕がめーちゃんを誘って強引に押し倒した設定で。  
 めーちゃんが嫌がっても止めてあげないんだから…!」  
最後まで言い終わらぬうちに、優しくベッドに横たわらせる。こうでもしないと頑固な彼女は拒み続けるに違いない。  
 
「…カイト、ごめんね。ありがとう」  
「えー?何もお礼言われるようなことはしてないんだけどな。  
 めーちゃんの扇情的な姿に僕が勝手に欲情しちゃったんだから」  
「…っ!!馬鹿っ!最低」  
そうそうその調子。そんなに頑張らなくてもいいんだよ。  
まあおいしい状況だと思ってるのは半分くらい事実だし。ついでに抓られてる頬の痛みも事実…か。  
 
メイコの秘部は汗と愛液でどろどろに溶けていて、僕の先端を待ち焦がれたように飲み込んでいく。  
腰を進めるとメイコの体が跳ね、押さえつけると耐え切れないといわんばかりに小刻みに揺れる。  
「ね、一人でしてたとき、何回くらいイった?」  
ゆっくりと揺さぶりながら耳元に吹き込んでみる。  
「う…や…っ…!お、ぼえてなっ……い…」  
てっきり拳骨の一つでもとんでくるかと思ったけど、メイコは切なげな、苦しげな表情で僕を見上げてくるばかりで  
相当余裕がないことが伝わってくる。  
思えば僕と話してるとき、ずっと我慢してたんだよなぁ。  
「よく頑張ったね。ご褒美にたくさんしてあげるから」  
額にキスを落とすと、メイコは安心しきった顔で僕に抱きついて足を絡めてくる。  
ヤバい。すごく可愛いんですけど。  
 
「あ、あ、カ、イトっ…!」  
「ん、めーちゃん大好き」  
数回抜き挿しを繰り返した辺りで、僕の名前を呼び、彼女が果てる。断続的な締め付けが心地良い。  
「一回止めた方がいい?」  
イったばかりでつらいかと思い聞いてみたのだが、首を横に振られる。  
「もっと、もっと、欲し、いの…!まだ全然足りな…くて…っ!」  
 
熱い吐息で、赤い唇で囁かれ、飢えた瞳で見つめられるとそれだけで理性が吹っ飛びそうになる。  
素直で無邪気な態度で求めてきて、色っぽく大胆に誘ってくるなんて、今日のめーちゃんは卑怯だ。  
しばらく忙しくてご無沙汰だったから(ストーカーの存在に気付けなかったほど一緒にいる時間が短かったし)  
残弾数にはまだ余裕があるはずだけど、一回戦はそろそろ限界かも。  
「めー、ちゃん…!イくよ…っ!」  
メイコの膣の浅めの場所で僕自身がびくびくと痙攣し精液を吐き出す。  
メイコは心底嬉しそうに僕を締め付け、中に出した白濁を味わうかのように微笑むので、  
僕の全てを吸い取られているかのように錯覚する。  
 
復活するまでのしばしの間、メイコの体を感じたいと思い、繋がったまま彼女を抱き上げ  
位置を逆転させ、僕の体の上に乗せる形にする。  
メリハリのある体型でありつつも、意外に華奢な彼女の肢体が僕の上にある。  
メイコは僕にぴったり密着しつつも腰だけを控えめに揺らめかせながら、  
唇を触れ合わす程度の軽いキスを落としてくる。  
 
「一人で自分を慰めてたとき…何度やっても満足できなかった。でも、今こうして  
 繋がってるだけでも、段々満たされていくのが分かるの。  
 足りなかったのは、あんただったのかな。カイト…ありがとね」  
メイコの笑いながらも真剣なまなざしに、思わぬところで告白(なんだろうか)をされてしまい嬉しくなる。  
「こちらこそ。僕だってめーちゃんがいてくれたから、ここまでこれたんだしね」  
 
「は…あっ…。…っあ…ん…っ!」  
「ん……大丈夫?つらく、ない?」  
メイコが7回、僕が3回。薬のせいとはいえ、ご無沙汰だったからとはいえ、  
精神的にはそろそろ、肉体的にはとっくに限界を迎えている。  
「き、つい…けどっ…とま、らない…の…」  
メイコは僕の首に抱きつき、対面座位の格好で腰をぐりぐりと押し付けている。  
擦り切れるほど交わりあい、結合部から零れる液にはメイコの赤が微かに混じり始めていた。  
腰は鉛のようにずしりと重いのに、それでも尚刺激が与えられると反応してしまう。  
メイコの薬の効き目は相当なようで、性欲だけが今の彼女を突き動かしてるようなものだ。  
「カイ、トこそ…、だ、いじょう…ぶ?痛、く…ない…?」  
「平気…。めーちゃんこそ、血、出てる。後で、ちゃんと手当て、しないと」  
息も絶え絶えなのに、こんなときでもお互いを思いやっている状況に、思わず笑いが漏れてしまう。  
 
「ラストスパート、かけちゃおうか」  
「うん…」  
メイコの腰を持ち上げ、ずるずると幹を引きずりだす。桃色の襞の間から先端が見えた辺りで  
勢いよく根元まで突き上げる。  
「うああぁぁっ!!?」  
メイコの悲鳴に近い喘ぎが耳に突き刺さり、急な刺激に収縮する膣内と、先端と子宮口がぶつかる感覚が  
全身に拡張されてびりびりと伝わってくる。  
「ごめん。痛かったね。もうちょっとだからがんばろ?」  
生理的な涙を零しつつも、健気に頷くメイコを下から揺さぶる。  
色々なものが混じった水音が耳を打つけど、長くは続かなかった。  
「カイトっ…、一緒に」  
「うん」  
ゆるゆると勢いをなくしつつも注がれる白濁が、メイコの締め付けで最後まで搾り取られた。  
荒い息遣いが二つ、重なるようにして部屋を支配する。  
 
二人してベッドに身を投げ出し、乱れた呼吸が正常になってきた頃、どちらからともなく顔を見合わせる。  
「どう?そろそろ治まった?」  
「…そうみたい。…あの、カイト」  
「待った。ごめんは聞かない」  
何かを言いかけるメイコの言葉を途中で遮る。  
 
「めーちゃんはいつも一人で頑張ってるけど、それだけが正しいことじゃないよ。  
 一人で苦しんで、一人で泣いて、後でそれを知ったときの僕らの気持ちが分かる?  
 僕だって助けになれるんだからさ。もうちょっと頼ってくれてもいいのに…」  
 
僕の勇気を出した提案を遮り返したのは、僕の唇を塞ぐメイコのそれ。  
満面の笑みでありがとう、と呟くと、ぱたんと倒れるように眠ってしまった。  
彼女の手は僕の手にしっかり絡められていて、その幸せそうな寝顔を邪魔する理由もなく。  
おやすみ、と呟いて、僕も目を閉じることにする。  
 
 
 
 
***********  
 
「カイト、起きて」  
「ふぁ…もう朝?」  
「部屋片付けないと。そして片付けたら出てって」  
「え?えぇー!?そんな酷い…」  
「ミクが朝から私に雑炊作ってくれるって夕べ言ってたの。こんなとこ見られるわけには…」  
「うぅ…結局こんなオチか…」  
 
 
 
 
END  
 

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