これは罠だ。罠なんだ。わかっているのに。  
その潤んだ瞳も、濡れた唇も、誘うようなポーズも、計算だろ?  
だからそんな、突然目を瞑ったって……くそ。今日も誘惑に勝てない。  
意を決して唇を重ねる。今日はなんだったんだ?  
新しいリップか?香水か?何を試そ  
 
不 意 打 ち  
 
突然、生暖かく柔らかいものが口腔内に入ってきた。  
舌………あぁ、もう知らん!安易に誘ったことを後悔させてやる。  
思いきり抱きしめて、後頭部捕まえて無茶苦茶に口の中を犯す。  
息なんてさせてやんない。  
 
 
「ねぇねぇ!どうだった?!」  
「その顔は成功したって感じねぇ〜」  
居間には顔を真っ赤にして俯くリンと、目をきらきらさせたメイコとミクが居た。  
「どうだった?!どうだった?!ディープキスは!」  
ミクがリンの手を握って興奮気味に問う。  
「……ん…なんか、レン、激しくて…ビックリした」  
「「きゃ〜〜〜!!」」  
今度はメイコとミクがハモる。  
「も、もうこれ以上は無理だからね!」  
「何言ってんのー!これからでしょ?!」  
「そうそう、あたしらの中で彼氏持ちあんただけなんだから。  
 奥手なリンを応援してあげてるのよ」  
「ホント無理なの!今まであんな乱暴にされた事ないもん。怒っちゃったかも…」  
「違うってば〜女として見られてるって事だよぉ?」  
 
…勝手な事いいやがって…つぅか声がでけぇっつぅの。  
ドアを挟んで話を聞いていたレンはため息をついた。  
予想通り。今までも入れ知恵されたリンが突然迫ってきて  
ホイホイのってしまった俺は何度も恥をかいてる。  
何故女3人揃うとああなってしまうのか。  
我が家の女性3人組のノリはどうみても女子高生である。  
これなら酒乱やネギやロードローラーのが100倍マシだよ…  
「マスター!!!!ほんとお願い!カイトでもがくぽでもいいから男買ってよ!!!」  
「とうとうそっちに目覚めたか。だが断る。俺は男は好まん」  
「目覚めてない!!このままじゃ初体験もネタにされちゃうよ」  
「っかー!!何が初体験だ!この厨房が!」  
マスターは学生時代あまり…いや、全然もてなかったらしく  
この件に関してろくに取り合ってもらえたことがない。  
他に男が居たら少しは女性陣もおとなしくなるハズなんだ…。  
例えそうならなくとも、人柱が一人増えるだけでも心強い。  
 
「レン、男は増やせないがこれだけは伝えておくぞ」  
「…なんですかマスター…」  
「初体験をすませたら必ず報告するんだ。  
 リンは無毛かど「殴りますよ」  
 
はぁ…女3人と変態マスターがこんなに辛いなんて。  
誰か助けて……  
 

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