『めーちゃん、おはよう』
朝、カイトの優しい声で起される。
「ん〜…おはよー……ッ」
あれ?何だか頭が痛い。ガンガンする…?
『大丈夫?』
カイトが心配そうに私の横から見あげる。
……。あれ?何でカイトが私のベッドに居るんの?
『めーちゃん…夜、凄かった、もんね…』
カイトは目を合わせずにそう呟く。
え?ちょ、どういうこと?
えーと、えーと、昨日の寝るまでの事を順を追って思い出してみよう。
昨日は朝起きて、いつも通り歌って―
それで、夕方も普通にご飯食べてお風呂入ってお酒飲んで…
あ。お酒!
確か、飲んだ記憶が最初の方だけあるんだけど…
そのあとの記憶が、無い
「え、えと、カイトッ」
『どうしたの?めーちゃん』
「昨日の夜っ…」
『あ、昨日の事、覚えてるの?酔ってるみたいだったけど…』
カイトは顔を赤らめて焦らすように言う。
え、ちょっと、本当に私…カイトと…?
もしも、そうだったとしても別に好きだし嫌じゃない。
嫌じゃないけど、初めてが記憶に残ってないなんて嫌よ!
「カ、カイトっ昨日の事は忘れるのよ!」
『へ…?』
「だからッ…今日の夜、もう一回、ね」
嫌だ、自分から誘うなんて恥ずかしいすぎて、泣きそう。
でもこのままじゃ嫌なんだもん!
『めーちゃん?やっぱ昨日のこと覚えてないんじゃ』
今、声を出したら泣いてしまう気がして返事の代わりにコクリと頷く。
『あは、昨日のめーちゃん可愛いかったのに』
こんな時に何言い始めるのよ!このバカイト!
『カミナリが凄い鳴ってて怖いから、一人じゃ寝れないって寝てた俺をむりやり自分の部屋に連れてってさ、』
………。
『俺は誘われてるのかなって思って結構ドキドキしてたのに』
「え」
『めーちゃん、すぐ寝ちゃったんだもん』
「そ、それだけ?」
『うん、それだけ』
カイトは少し残念そうにそう答えた。
【おしまい】