ベッドの上でのケンとの性交で、すっかり満足したミクは、  
満面の笑みでケンの腕に抱かれ、デレデレとじゃれてきた。  
ケンもそんな安心しきったミクの表情を見るのがうれしかったし、  
嫉妬に燃える女の感情も合わせ持つミクを大切にしたいと感じることができた。  
さっきミクの股間に注いだ大量の精液が、  
ミクの体内で処理され始めるとセクサロイド特有の満足感と使命感が達成され、  
ミクの表情は恍惚としていた。  
しかし、先代のセクサロイドリカとは違う何か異なる動機が、  
ボーカロイド初音ミクの中に隠れて存在していることに、ケンは気がつき始めていた。  
かつてのリカのボディで正常に動き続ける異能ソフトウェア「初音ミク」…  
歪んでいた自分を男として正しい方向へと誘ってくれた女としての成熟度…  
性的な魅力…健康的で献身的な介護…どれをとっても不満な点がないのだ。  
これは一体どういうことなんだろうか?  
 
”それでも、もうミクのいない人生なんて…考えられないよ。”  
 
長い黒髪をやさしく右手の指先で梳いてやると、ミクは、くすぐったそうに躯をよじる。  
 
「ますたぁ?どうなさったんですの?」  
 
『何でもないよ』と、ケンは笑顔で答えた。  
そういうケンの表情をミクはきちんと読み取り、うれしそうに毛布で躰をくるんで、  
胸とお尻を隠しながら、ベッドから降りる。  
 
はずかしがってる仕草が、とても『ギザカワイユス…』  
 
そして、ミクは、床に散らばっていたいくつもの衣装をベッドの上に放り上げると、  
その一つ一つの解説をケンに求めてきた。  
 
「あの、この、帽子、猫の耳がついてますけど…どして?」  
「うん、それは帽子じゃなくって、付け耳と言って…  
これを着けて猫に変身したつもりになるんだよ。  
『うにゃあー』とか『にゃんにゃんしよー』とか言うととっても可愛いだろ?」  
「ふーん…そうなんだ。じゃあこっちのフリルがついた白のエプロンは、何ですの?」  
「ああ、それは、メイド服と言って…  
『ご主人さま、お帰りなさいませ』とか『ご主人さま、ご褒美をください』とか  
『朝のお世話をさせていただきます』とか言われるとうれしくなるだろ?」  
「ふーん…そうなの。じゃあこのスカーフの付いた白のスーツは、何ですか?」  
「ああ、それは旧日本の女子の制服だ。  
セーラー服と言うんだ。これを着たまま、『先輩っ!勉強を教えて欲しいんです!』  
とか言われたら、楽しくなるだろ?」  
「そ、それじゃあ、この表地がブルマーのような紺色で、裏地が白のアンダースーツになってて、  
薄くて軽くて伸び縮みする下着のようなこれって何ですか?」  
「えっと、それは、ブルマと同じように旧日本の小中高等学校で女子だけが身につけていた  
スクール水着という特殊な服なんだよ。  
ワンピースとツーピースのものがあるんだけど、それはワンピースになっていて、  
股間がきっちりと切れ込んでいるだろ?  
お尻がはみ出て、濡れると股間のウォーターマークラインがしっかり見えるから、  
ブルマ以上にとてもセクシーになるんだよ。」  
「ふーん…そっかぁ。男の人って、こういう服を着た女性を見るだけで、そういう快いお気持ちになるんですのね?」  
「うん、まあ、いろんな好みの人がいるから、全員がそうなるとは限らないけどね。  
ミクは、どれか着てみたい衣装はあるかい?」  
「ミクは、マスターが喜んでくれるなら全部の衣装を着てみたいですわ!  
さっきのブルマーでも、あんなに激しくしてくれたんですもの。  
他のも是非、試してみたいです。」  
「うん、そうだね。僕がデザインした服を君が着てくれたら、毎晩、激しくミクを抱きしめちゃうだろうな。」  
「二人でできること!ですね?」  
「うん、二人でしたいこと!だよね?」  
 
毛布にくるまったミクをそのまま胸に抱きしめ、ケンは、目を閉じた。  
朝のタイムリミットまでの数時間の幸せを感じながら、ケンは、さっきの疑問を考えていた。  
ケンは、全ての衣装を先代のリカに着せていたから、  
改めて今のミクに着せても特別に興奮すると思っていなかった。  
それなのに、ブルマーをはかせたミクの仕草や表情は、リカの時と全く違い、  
その萌え度は、ケンを奮い勃たせた。  
その魅力たるもの、自分がデザインした衣装の魅力を最大限に引き立ててくれたのだ。  
やっぱり、初音ミクは、何か根本的に違う使命をもって、この世に産み出されたものなんだろうな…。  
こんなにもすごいソフトウェアのミク…。  
君は、一体何者なんだろうね…。  
 
「ねえ、マスタぁぁ?もっと強く抱いてくれるとうれしいですぅ…」  
 
寝言のように、ミクが甘えてくる。  
 
「うん、これくらいでいい?」  
「うん、それくらいですぅ!」  
 
疑問は解決されないけれど、ケンは、ミクを手放すことは絶対にあり得ないと思った。  
 
(続く)  
 

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