ミクが、当たり前のように自分を受け入れてくれたことは、ケンを安堵させた。  
セクサロイドが、主人の意向に反するわけがないとわかっているつもりだったが、  
ボーカロイドの人格を持つミクが、前人格を消去させたケンをそのまま受け入れるかどうかは、  
未知数だったからだ。そして、ケンは、リカにしてやれなかったことをミクにしてあげたいと考えていた。  
また、これからの夫婦生活の中で、ミクを通じて、  
リカに罪ほろぼしをしていくことができればとも考えていた。  
その真摯な思いの一方、セクサロイドとして、あまりにも優秀な成績を収めつつあるミクに、  
ケンは、自分の貪欲な性欲をもてあましていた。  
ミクのツインテールヘアの頭を力強く両手で掴んで腰を振り続けていると、  
ケンは、どうしてもリカのことを思い出してしまう。  
容姿は、そのままのリカなのだから、当然と言えば当然のことだった。  
二人への思慕を混同してしまうケンは、声も性格もちがうミクへの愛情が足りないせいだ…  
そんな罪悪感にかられていた。  
 
”ミクなんだ…今、僕が抱いているのは、ミクなんだ…僕の愛するパートナーは、ミクなんだ。”  
 
見下ろすと、しゃがんだミクが自分のペニスを懸命に愛撫している…でも、どうしたことだろう?  
さっきの初フェラチオは、プロ的なリカの性技巧を完璧にコピーして見せたというのに、  
イラマチオスタイルになったとたん、初心者になっていた。  
鼻で呼吸、口を開けているだけの、ペニスの侵入に対してほとんど無防備な咽喉、  
摩擦の少ない口内形状、単純なピストン運動、かすかな嗚咽の声、あふれる唾液のしずく…  
一生懸命さだけは伝わる、「子どものようなイラマチオ」だ。  
多分、このまま射精すれば、気管支へ精液が流入し、激しく咳き込んで、  
精液を吐き出してしまうかもー。  
 
”ダメだ!また、ミクをリカと比べてる!  
こういう感情は、きっとミクに嫌われてしまう!リカのことは忘れるんだ!”  
 
ミクとリカの性的機能の差とは、ミクは、自分の身体機能を理解できず、  
目の前の状況に合わせてパラメーターを参照することしかできないが、  
リカのときは、目の前の状況から、その後の状況までを予測して、  
自分の身体機能の性的オプションを全て活用できたことだ。  
例えるなら、財布の中身にいくら入っているか知らないで、  
安モノばかり買ってまうのと、  
予算に合わせ明確な目的意識をもって財布の中身を使い切るような買い物をするのとでは、  
満足度が違ってくる。  
つまり、自分の身体機能をほとんど理解していないミクには、戦略的なセックスはできないが、  
戦術的セックスならできるということになる。  
 
イラマチオの動作に欠かせない身体機能が、ミクの咽喉部には、備わっていた。  
喉の気管支と食道とに分岐する部分に、精液を効率よく食道へ誘導吸引できるように、  
第二の唇とも言うべき吸入弁がある。  
通常は、飲食物を嚥下するのに邪魔になるので、表面に現れないが、  
ペニスの亀頭で喉奥を刺激し、嘔吐反射されると、リップ状の円筒形のくぼみが生じ、  
そのくぼみが、ペニスのカリ部分を刺激できるようになる。  
さらに、刺激が続くと、そのくぼみが亀頭部分の形に合わせて張り付き、  
ペニスを抜こうとすると喉全体がシリンダーとなり、ペニスによるピストン運動で口内気圧が減少し、  
口内からペニスが抜けにくくなり、侵入時には、勢いよく喉奥へ亀頭部分が衝突するようになる。  
膣では、どうしても空気が漏れ、減圧による刺激には限界があるが、  
喉奥の弁と唇の2重構造による気密性で、ペニスを抜く瞬間、口内が真空のようになるからだ。  
このために、尿道口から吸い上げられる精液は、一滴残らず、食道へ吸収していくことができる。  
そんな身体機能が、ミクにはあったのだ。  
ところが、その吸入弁を持ちながら、ミクは、そのことを知らない。  
ボーカロイドには、歌うための口という概念はあっても、  
精液を口から効率よく体内に吸収する機能を知るよしもなかった。  
そのため、ミクのイラマチオは、リカのプロフェッショナルな動きとまったく違い、  
まるで、小学生がアイスキャンディを舐めているような単純な動きになってしまったのだ。  
ミクの素人イラマチオでも、ケンをそれなりに満足させるものだったが、  
さすがに2発目の射精には、時間がかかった。  
やわらかくなったペニスが勃起し、再び射精の予兆を示すまでに、1時間ほどかかっていた。  
そのため、だらしなく唾液がミクの唇からあふれ出し、喉から小さな胸の突起へと伝って、  
股間のショーツを濡らしていた。  
ミクには、ただ、マスターのペニスを口に含んでいるだけでも、幸せな気持ちになれたから、  
早く射精させようという意識がなかったことも、ミクのイラマチオでの射精が遅れた原因だった。  
このまま、ミクに任せたままでは、射精は難しいと思ったケンは、腰をさらに激しく動かし、  
ミクの口で、膣と同じように乱暴にグラインドさせた。  
ミクにとっては、きついかもしれないと思ったが、ケンの口内射精への欲求が我慢できなかった。  
 
「ミク、少しの間、我慢して!」  
 
ミクがペニスを咥えたまま、こっくりと頷くと、  
ケンは、ミクの喉奥に、亀頭をリズミカルに押しつけ、ミクの吸入弁を作動させた。  
いきなり、ミクの口内気圧が一気に減圧し、ペニスを吸引する力が増す。  
ミクにも、自分の新しい身体機能が作動するのが、わかった。  
 
”こんな機能が、私の身体にあったんだ!”  
 
ケンの睾丸が、ペニスにしっかりとくっつき、射精の準備が整う。  
さっきの射精時に行うルーチンワークが使えると思ったミクは、  
また、ケンの肛門に指を入れ、前立腺への刺激を始めた。  
 
「み、ミクゥ、それされると、我慢できない…、出るよ、飲んで!」  
 
ケンのペニスから、残りの精液が絞り出された。  
糸状に粘着質の精液がペニスから射精される。  
さっきのときより、ケンが激しく腰を使っているため、  
ミクの口の動きとアンバランスになり、ミクの口からペニスが飛び出した!  
 
チュボッ!  
 
「あっ、ペニスさん…」  
 
ミクの頬と鼻に精液が飛び散った。  
ドロドロとした半透明の液体が、ミクの顔面に張り付き、しずくとなって流れていく。  
 
「マスター…ごめんなさい、ペニスさん、お口の外に逃がしちゃいましたぁ。」  
 
ミクは、すぐに精液が滴るペニスを咥えた。  
ペニスの中に残る精液を吸い取るためだ。  
ずるずると精液を飲みこみ、ちゅぱちゅぱと音を立ててすするミクの授乳動作が、  
ケンの嗜好をそそった。  
ケンは、乱暴にミクの頭部を抱きしめ、ミクの口の動きではなく、自らの腰の動きで、  
ミクの喉奥へとペニスを差し込んだ。  
ケンの長いペニスが、咽頭部吸入弁を乗り越えて、直接、食道へと侵入する。  
ミクは、もはや、咥えるという状態ではなく、突き刺されたような感覚だった。  
無抵抗のまま、そうされることが、ミクにとっては心地よかった。  
 
”…飲み込んだ精液が食道を伝って胃の中へとゆっくりと落ちてく…なんかうれしい。  
このまま、マスターのされるがままにしていよう…”  
 
ミクは、自らの口の動きを止めて、脱力状態へ移行した。  
全てのルーチンワークを停止して、ケンの動きに身体を委ねると、  
ようやくケンの腰の動きに、ある意図を持っていることに気づいた。  
 
”さっきまで、気がつかなかったけど、この機能って、  
マスターがスイッチを入れてくれたんだわ!”  
 
ミクが、イラマチオをフェラチオと同じような性技だと思い込んだために、  
フェラチオのパラメーターを参照し続けて、  
正しいイラマチオのモーションコントロールが、ローディングされなかった。  
そのため、ミクの口の動きは、ケンの動きを邪魔するような動きばかりになり、  
双方打ち消し合って、ペニスへの刺激がうまくいかなかったのだ。  
それなのに、ミクは自分の過ちに、まだ気がついていなかった。  
 
「 ねえ、マスター?フェラチオとイラマチオのパラメーターが違うのはどうしてなんでしょう?  
どちらもお口で精液を飲むし、口内愛撫が共通してるのに、  
別の技巧として、区分してますよね?これって、どうしてなんでしょう?」  
 
ミクには、セクサロイドとしての知識が、ほとんど無い。  
ミクが、ケンからインストールされる知識や性体験から、  
リカのパラメーターを初めて参照することができ、新しい機能を獲得していくことができた。  
 
「あの、つまりさ、フェラチオは、ミクが主体で、  
イラマチオは、僕が主体になる愛し方っていう説明でわかるかな?」  
「えっ?じゃあ、ミクのイラマチオの仕方、まちがってましたわ!  
だって、ミク、ずっと自分主体でしてたもの!  
マスター、ミクのはイラマチオじゃなくって、フェラチオだったんですね?  
正しいイラマチオは、ミクが舐めるんじゃなくって、マスターがミクに舐めさせてくれるってことですよね?」  
「ま、まあそういうことかな。」  
 
ミクは、大失敗をしたことに気がついて、落ち込んだ。  
 
「ああっ!もう、ミクのばかっ!  
パラメーターが違う時点で、気がつくべきだったのに…  
ミクは、やっぱり、リカ様のように、できませんわ。  
マスタぁー、ごめんなさい…初めてのイラマチオをミクは、邪魔しちゃいました…  
2発目、ぜんぜん気持ちよくなかったでしょう…」  
 
初フェラチオで、ほめられたことが、ミクには、かえって落ち込む原因となっていた。  
先代人格のリカよりも上手くフェラチオして見せた!その自信が、もろく崩れていった。  
 
「あのね、ミク、さっきも言ったけれど、パラメーター活用に拘らないで!  
ミクは、ボーカロイドなんだろ?  
セクサロイドと比べてもダメだよ。  
僕は、セクサロイドだったリカのことを忘れない。  
でも、これからは、ボーカロイドのミクを抱きたい。  
そして、きっとまた君に歌を歌わせてあげる。  
だから、ミク、そんなに落ち込まないでよ。  
上手くできてないなら、僕が射精するわけないだろ?」  
 
ミクは、頬や唇の周りの粘液をグルリと舐め回し、ケンを見つめた。  
そして、小さくしぼんで下にうなだれているペニスを鷲づかみし、  
チューブの中身を押し出すように両手できつく搾り上げる。  
そして、先端からにじむ出てきた精液のしずくを舌でぺろりと舐めとった。  
 
「そうですよね。  
フェラチオだけでも上手にできたんだし、  
ミクが、なんでもリカ様に勝てるわけありませんもの!  
ミクが間違っていましたわ。  
これからは、リカ様のパラメーターを参考にして、ミクのオリジナルパラメーターを作っていきますっ!」  
「そうそう、その意気だよ!ミクはミクさっ!」  
「はいっ!ミクは、ミックミクなんです!」  
「いいねぇ!その言い方!ミックミクか!」  
「はいっ!マスターをもっと、もーっと、ミックミクにしてあげる!」  
「ははっ!してもらおうじゃないか!ミックミクにさ!」  
 
そのときちょうど、ミクの体内で、飲み込んだケンの精液の分析作業が終了し、  
ケンの健康診断が完了した。  
同時に、リカの飲精時健康診断パラメーターがローディングされる。  
 
「あっ、マスター、さっきの精液の味、お口によみがえってきました。  
なんか不思議な感じですわ…。  
イイ匂い…。  
口の中のネバネバ感も…。  
あ…色も粘性も量もphもわかるんだぁ…過去の記録を参照しますぅ…あっ!すごーいっ!…」  
 
ミクは、頬を赤らめ、トランス状態のようにトロンとした目つきになっていく。  
 
「ミク、どうしたの?」  
「エヘヘヘェ…だって、初フェラチオの日に記録更新なんですもの!  
さっきの射精ですね、1度の射精量としては、過去最高量だったんです!  
ミクの初フェラチオは、大成功ですぅ!」  
 
落ち込んでいたミクの顔が、見る見る笑顔になり、  
右手をグーにして、『やったぁ』の決めポーズをとるミクは、やっぱりリカとは違う。  
リカなら、記録更新時には、ケンの成長をまず誉めただろう。  
 
『…御主人様、おめでとうございます。  
さっきの射精量は、記録更新です。  
たくさんの精液を飲ませていただいて、ありがとうございました。  
御主人様の男性機能の成長を心からお喜び申し上げます…  
でも、よろしければ、膣の方にも射精してください…  
リカの口では、貴重な御主人様の精液をエネルギーにしてしまうので、申し訳ないんです。  
ママ様からも、精液の貯蓄をしっかりするように承ってます…  
リカも、もっともっとたくさん射精していただけるようにがんばりますから…  
至らぬことがあれば、御指導ください…  
でも、…  
御主人様…  
うれしいです…  
わたし…  
御主人様の精液をこんなにたくさん飲ませていただいて…  
とっても、しあわせです…』  
 
ケンの脳裏に、どうしてもリカの声が聞こえてくる…  
ミクと比べてはいけない…  
そうわかっているのに、ミクの幼さや幼稚さが、よけいにリカとの違いをケンに探させた。  
 
”俺ってもしかして、サイテーな男かもな…”  
 
自己嫌悪に陥るケンだったが、あどけないミクの笑顔を見ていると、  
愛おしい感情がわき起こってくる。  
そんな想いをセクサロイドのリカの時に抱けなかったのだから、  
やはり、ボーカロイドのミクは素晴らしいパートナーだと思えた。  
しばらくミクを抱きしめていると、萎えたケンの下半身にまた元気が戻ってきた。  
ミクの細い両太股の隙間を埋めるように、立ち上がってきたペニスが、  
ミクの濡れたショーツにコツンと当たる。  
 
「あんっ、マスター?今度は、わたしの膣に【射精】してみます?」  
 
ミクにとっては、処女喪失の初めての挿入になる。  
そして、おそらくは、そうすることで、ミクはボーカロイドとしての機能よりも、  
セクサロイドの機能に目覚めていくことになる。  
それをミクが望んでいるとしても、ケンの想いは、別のところにあった。  
 
「ミク、君の中に入りたい…いいかな?」  
「はい、もちろんですわ、マスター!」  
 
”今は、ミクを抱きしめることに溺れよう。  
リカにしてやれなかったこと、俺が犯してしまった過ちを償うには、  
ミクを悲しませないこと。  
そして、必ず、ミクに…”  
 
ケンは、ミクのはだけたスカートと濡れたオーバーニーソックスとショーツを脱がせていった。  
同時に、ミクは自分でブラウスとブラを外していく。  
ミクは、ベッドの端に、丁寧にブラウスをたたんで置いたのに、  
ケンは、無造作に脱がしたスカートをベッド下に放った。  
くしゃくしゃに丸まったミクのプリーツスカートを見つめながら、ミクは、ケンに尋ねた。  
 
「ねえ、マスター?  
お洋服、ずいぶんミクの唾液で濡らしてしまったけど、  
フェラチオやイラマチオのときは、全部脱いだ方が良かったでしょうか?」  
「脱がないで、やるからいいのさ。」  
「そうですね!でも、胸もおへそもおしりも見えないミクのままで、良かったんでしょうか?」  
「見えないから、いいんじゃないか!」  
「?…それじゃあ、マスター、ミクの身体、見たくないんですの?」  
「見たいよ。見たくてたまらないよ。だから、全部、脱がしたんじゃあないか。」  
「?…ヘンですわ!見たいなら、そう仰れば、ミクは、すぐに脱いで差し上げたのにぃ!」  
「ミクは、まだまだボクのことをわかってないよ。  
見たいモノを隠されるから、余計に見たくなるんだよ。」  
「ウフフッ、それって、ヘンですわ!  
ミクなら、マスターの身体をぜーんぶ見たいです!  
だから、脱がせちゃいますぅ!えーいっ!」  
 
ミクは、すっぽんぽんの裸で、ケンをベッドに押し倒した。  
そして、ケンの腹部に跨り、長袖シャツのボタンを下から順番に外し、手早くケンの汗臭い下着をはぎ取った。  
 
(続く)  
 
 

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