「気に入った。俺の相棒になれ重音テト」
「……君は実に馬鹿だな
君がわたしを起動した時点で、君はわたしのマスターだ
――つまりわたしと君は既に相棒の関係だ」
その言葉のどこに納得したのか、マスターはニヤリと不敵に笑う
「くくく……その物言い。それでこそ、我がパートナーに相応しい
――待っていろ弟よ。兄より優れた弟などいない事を教えてくれる!!」
そして、彼は睡眠不足特有のテンションで高笑いをして、ベッドに昏倒した
* * *
その日の朝は下腹部から感じる刺激で目を覚ました
「ますた〜……っん、起きて、ください」
おそるおそる目を開ける。そこには――やはりというか――イクがいた
阿久女イク……言わずもがな、一応彼が所持するvocaloid――無論、非公式かつ性的活用用――だ
一応と付くのは、元々は彼のではなく近所に住む友人のもので、飽きたからという理由で彼がそれを押し付けられたのであって、決して彼がそういう趣味がある訳ではない。ないったらない
そのイクが、服は着たままに下腹部だけ露出させて彼の上に跨っている
「………イク、一体何をやってるんだ」
「ん……目覚めの一発って奴です」
腰を揺らめかせながら応えるイクに、彼は半眼で呆れたように溜め息を付いた
「はぁ……目ぇ醒めたから、もう降りろ」
「そんなぁ!はぅ…お願いですますた〜…いえ、ごしゅじんさまぁ
イクを…イクをイかせてください……あぅ
このままじゃわたし、欲求不満で、お、おかしくなっちゃいますよぅ!」
羞恥を滲ませながらイクは既にスイッチが入ってしまっている事を告げる
元々性的利用として作られているvocaloidなだけあって、こういった言葉を言う度に下の口もより潤いと締め付けを増すような仕様になっている――うまいことかけたつもりなのだろうかと開発者に一言物申したい
――そういえば最近相手してなかったな、と思い出し、彼はもう一度溜め息を付く
しかしやはり時間はそれほど多くはない
「……分かった。5分間だけ時間をやる
それ以上は自分で慰めるなり放置プレイとでも思って我慢するなり諦めろ」
「はぁ……んッ、は、はい…わかりましたごしゅじんさまぁ
イクのお願い聞いていただいてぇ、ぁあ、りがとうございますぅ……イクは…イクはうれしいです、ん……ッ!」
――以下ダイジェスト
「そ、そんなッいきなり突き上げないでぇッ!は、激しすぎ、ますぅ…あぁぁん、ごしゅじんさま……」
「ごしゅじんさまの…あふぅ…ナカで大きくなってますぅ」
「子宮に、子宮に当たってるの…あぁ……ん」
「やぁん…そ、そこいじっちゃ……らめぇ…」
「――イク、イっちゃいますぅ!ごしゅじんさまに濃いのいっぱいだされてぇぇ…あたままっしろになる一番キモチイイトコロにイっちゃいましゅうぅぅ!」
「あ……ッ、はあぁぁああぁんんッッ!あ、熱いのぉ
し、子宮が妬かれて…わ、たし、溶けちゃうぅ!何も考えられなくなっちゃうぅ!」
* * *
「はぁ………はぁ……ごしゅじんさまの……まだ大きいまま――」
「5分過ぎたな。もう行くぞ」
実に濃厚な5分間が終わり、彼はまだ快感の余韻に浸るイクから自身を引き抜く
「あぁん、……ごしゅじんさま――まだ、足りません
……もっともっと、イクをいじめてください」
「……イク、いい加減にしないと強制的に禁欲させるぞ――具体的にはアンインストール」
「――ゴメンナサイ、ますた〜。
でもそれは流石に禁欲の域を越えてるような気がします」
「うむ、わたしもそう思うぞ」
視線を横にずらす
「とりあえずおはようと言うところかマスター?」
――昨日起動したばかりのテトがイイ笑顔に青筋をプラスして浮かべていました
「お、おぅ、テトか……」
「『テトか……』ではない!――申し開きがあるなら聞いてやろう
何か言い残す事はあるか……?」
片手にはどこから取り出したのか、殴られたらかなり痛そうな分厚い装丁の本
「ヤンデレモード!?……ッ待て!お前は何か勘違いをしている!
俺をどこぞの下半身の欲望のみで動いているような男では断じてない!――いや、けちで負けず嫌いで空気を読まないのは認めるが」
「そうか…墓にはその言葉、一字一句違わず刻んでくれる」
「は、話を……う、うわぁあぁぁあああああああ」
【動かなくなるまでボコられました】
そのころ、弟の部屋
「なあお前ら……」
「…ん?なんですかマスター?」
「…マスター、どうかしたの?」
「許可したとは言え、いい加減百合ごっこは俺の見てないところでやれよ」
「いいじゃないですかマスター。兄さんったらすっごく可愛いんですよ」
「ちょッ!ミク!そんなとこ触りながら……ッ」
「ふふ……感じやすいんですねKAIKO兄さん
ますますいじめたくなっちゃう」
「はぁ……俺の周りには変態しかいないのか」
多分続かない