「だっ、駄目だよこんな格好!」  
「大丈夫よ、と〜っても可愛いから」  
「そうそう、がくぽさんもイチコロよっ」  
「せっかくリンちゃんのために選んだんだから、使ってくれないと寂しいわ」  
「リンちゃんに合わせて白にしたのに」  
「〜〜〜っ、分かった、行ってくればいいんでしょ!」  
半ばヤケであたしは猫耳、ファーのベアトップにホットパンツ(尻尾付き)でがっくんの部屋に向かう。  
なによ、いきなり人の部屋に入ってきてパンツいっちょに剥いて変な服着せて、似合うだとか可愛いだとか。でも、何故か逆らえない自分が悲しい。  
ノックして入ると、あたしの方を見たままがっくんは固まってしまった。慣れない格好にもじもじしてしまう。  
「ごっごめん、変だよね。あたし、着替えてくるっ」  
出て行こうとドアに向かうと、体が宙に浮く。ベッドに降ろされて組み敷かれた。  
「そのままで良い。可愛いぞ、リン」  
「あ、ちょ、がっくん…」  
キスをされてあたしの言葉は行き場をなくす。  
 
あぁ、きっとドアの外では2人が笑い転げてるんだ。  
 
******  
 
違う日のメイコさん視点  
 
今日はナポレオン作戦。名前の由来は、寝ているナポレオンにチーズを嗅がせた際のエピソード。  
寝ているがくぽ君に足音を忍ばせて近付く。嫌な夢でも見ているのか、眉を寄せて、辛気くさい表情ね。  
その鼻先に、お風呂場から持ち出したリンちゃんのシャンプーの蓋を開けて近付ける。  
少しして、でれっと崩れる顔。それだけであたし達は笑いを堪えるのに必死だったんだけど。  
「おお、リン、*#%、可愛いやつだ。愛しておるぞ」  
枕を抱えてそんな事言うんだから、もう、限界。廊下に出てひとしきり笑う。  
声を抑えきれずにげらげらと笑っていると、何事かとリンちゃんが廊下に出てきた。うまく喋れないあたし達を見て立ち尽くす。  
「お姉ちゃん達、どうしたの?ていうか、それ、あたしのシャンプー…またがっくんで遊んでたの!?ひどい!」  
そう言って駆け出すんだけど、選択肢は自分の部屋かがくぽ君の部屋しかないわけ。で、その時は後者。  
「がっくん、え、ちょっと、違うの、んっ、だめぇ…」  
音を立てないようにして覗いてみると、リンちゃんはしっかり押し倒されてるのよ。展開早いわね〜。  
まぁ、お姉さん達は邪魔しないようにそっとドアを閉めてあげたわ。勿論、笑いは止まらなかったけど。がくぽ君、どんな夢見てたのかしら。  
でもリンちゃん、あれじゃあ止めるどころか逆効果よ。まぁ、教えてあげないけど。うふふ。  
 
 
 
 
「最初はがくぽ君があんな澄まし顔してリンちゃんと何やってるのかしらって気になったのよね」  
「うんうん。で、寝ているリンちゃんをちょっと、うん、ちょっとだよね、あの位。セクシーな格好にして可愛いポーズでリビングのソファに放り出してみただけだもんね」  
「そしたらやってきたがくぽ君、顔がだらしない事になってたわよね。あれ、面白かった」  
ひとしきりげらげら笑って次の悪戯を練りだす二人だった。  
 
 

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