「うふふふ…この日を待ってたわ。とうとう明日解禁ね。」  
メイコです。あたしは自室で、手にある[ラベルを加工した]安物の赤ワインを見ながら  
ほくそ笑んでました。  
「なーに企んでいるんだ、メイコ。」  
ベッドに座ったカイトは[嫌ーな予感]な顔をしてあたしを見てる。  
そんなカイトの顔を覗き込んで[可愛いらしく]尋ねた。  
「カーイトw明日、何の日だか知ってる?」  
カイトは切れ長の目をぱちくりさせた。  
「明日?午前1時からW杯…」  
サッカーね、確かにそうだけど。  
「違うわよっ、ボジョレー・ヌーボーの解禁日よっ!」  
あたしはカイトの横に座り、出来るだけ[猫撫で声]で話しながら擦り寄った。  
「先月マスターが予約してたの。と、いう訳でお願い…」  
「[このワインとすり替えてきて]ってか。」  
「ピンポーン!流石あたしより情緒開発されてるから話が早いわ〜。てな訳でお願…」  
「断る。」  
カイトの顔を見ると、完璧に呆れ顔。切れ長の目を更に細めてあたしを睨んでた。  
「どうしてよ〜?」  
あたしは可愛いらしく拗ねてみた。  
「そんな事をして俺に何の特がある?メイコがやれよ。」  
完璧に目が冷めてる。正直、こんな表情のカイトは珍しい。  
「だってぇ、あたしがワインクーラーに近付くと、マスターが凄く警戒するんだもん。」  
あたしはカイトの太腿に[のの字]を書きながら話した。が、カイトはあたしの手首を掴みながら反論した。  
 
「誰がマスターを警戒する原因を作ったんだ?」  
「…はい、あたしです。」  
思わず自白する。  
「とにかく、俺は嫌だからな。」  
立ち上がろうとするカイトにあたしは抱き着き、自慢の胸を腕に押し当てた。  
「勿論タダとはいわない。ちゃんとご褒美つけるからぁ。」  
「ご褒美だぁ?」  
呆れながらも聞いてるカイト。  
「…い、一週間何でも言う事聞くから。」  
それを聞いて、カイトは溜息をついた。  
「それで二人して酷い目にあったろ!学習能力ないのか、このダメイコッ!」  
今回はボジョレー・ヌーボーの為に、ダメイコ呼ばわりされてもいいわ。  
しかしもう色気攻撃も効かない。なら、子供みたいに駄々こねてやる。  
「飲みたい飲みたいーっ、ボジョレー・ヌーボー飲みたいーっ!」  
ベッドに倒れ手足をばたつかせた。  
「だーっ!もう勝手にしてろダメイコッ!」  
これは失敗。立ち上がって退室しようとするカイトに思わず  
「いーわよっ!がくぽさんに同様の条件で頼むからっ!」  
なんて言ったら、カイトは顔色を変えあたしの腕を掴んだ。  
「わかった!わかったから…全く。」  
ほんとカイトは優しい。  
「ありがとう。よろしくね、カイト。大好き。」  
あたしはカイトに抱き着いた。  
 
 
(「がくぽさんに頼むから」…使えるわ、これ。)  
 
 
「う〜ん、念願のアイスソ…否、ボジョレー・ヌーボーを手に入れたぞ!」  
夜、我がマスターがボジョレー・ヌーボーを持って帰宅した。  
 
メイコです。  
マスターがボジョ(以下略)をワインクーラーに入れているのをカイトと一緒に  
画面から眺めてるところです。  
「うふふ…待っててね〜、あたしのボジョ(ry」  
「取りに行くのは俺だけどな…メイコ、画面に張り付くなよ。」  
昨夜午前1時過ぎのサッカーを見ていたカイトが欠伸をしつつ、後ろからあたしの  
ベストを引っ張る。  
「狙いは席を外している時よ。いい?」  
「わかってる。」  
カイトは相変わらず呆れ顔だ。ちゃんとやってくれるのかしら?  
そんなやりとりをしているうちにマスターが退室した。  
「よしっ、今よっ!」  
「へいへい。」  
カイトが画面から出てワインクーラーのところへ行き、あっさりとすり替えて戻ってきた。  
「やったぁ!」  
あたしは帰って来たカイトからボジョ(ryを取り、頬擦りする。  
「あたしのボジョ(ry〜」  
「何か、あっさり過ぎるなぁ…」  
と呟くカイトをよそに、あたしはグラスに注ぎ、カイトに手渡した。あたしはラッパ飲みで。  
「いーのいーの、それじゃあ乾杯っ!」  
「つか、ちゃんとグラスに注いで飲めよ…」  
カイトが言うが早いか、あたしは勢いよくラッパ飲みをした。  
 
………◎*〆£ッ!!  
あたしの味覚は芳醇な味わいではなく、激辛を感知した。床でヒィヒィのたうちまわるあたしを見て、カイトは  
グラスに鼻を近づけ、指先にワインを付け味見した。  
「…辛い。やっぱりマスターの罠か。」  
 
やがてマスターがにやけた顔をしてパソコン前にやってきて、モニター越しに  
あたし達に話しかけた。  
「見事に引っ掛かったな、ダメイコw俺が何年お前のマスターやってると思ってんだ?  
とりあえずカイトも一緒に出てこいや。」  
辛さで涙が止まらないあたしはカイトに襟首を掴まれ、そのまま引きずられてパソコンから出た。  
「ほんと懲りねぇ奴だなぁお前wwwその状態で歌えるか?ん?  
 こ の ダ メ イ コ が っ !!」  
そう言いながらマスターは、あたしの目の前でデキャンタに入れてるワイン  
(多分ボジョ(ry)をグラスに注いで飲んでいた。  
もうあたしは涙を零しながら見るしかなかった。おまけに  
「俺はちゃんとすり替えたからな。ちゃんと一週間言う事聞けよ?」  
と、カイトから追い撃ち。  
うぅっ、悔しい前に…辛いぃ〜っ!  
 
 
 
―おまけ・後日談―  
「御協力、ありがとうございますマスター。これで完全に懲りればいいのですが…」  
「喉元過ぎればなんとやら、だからな。しかしKAITO、お前も卑怯だな〜w」  
「僕にとって[卑怯]は褒め言葉ですよ、マスター。」  
「ところでKAITO、MEIKOに[一週間言う事聞け]って、一体何やらせてんだ?  
俺が羨ましがる様なあーんな事やこーんな事をしてんだろ?ん?」  
「毎度の事ですが否定はしませんよ。フフッ。」  
 
 

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