「お兄ちゃん、私とがくぽさんの交際を認めてっ!」
私はがくぽさんを家に連れて行き、リビングでアイスを食べながら楽譜に目を通して
いる兄貴分・KAITOに詰め寄った。
こんにちは、ミクです。今、私は一世一代の大仕事をしています。それは
「がくぽさんとのお付き合いを[お兄ちゃん公認]にする事」
昨年初秋、がくぽさんにラブレター([レンのドキドキ☆部屋チェック参照])で告白しました。
(裸で書いていません念のため)
「拙者でよければ…」と、メルトな返事。そして今日まで隠れる様にデートしてました。
(デートといっても、食事したり買い物に行ったり…キスや一線を越えないウブな
中学生みたいなデートです。お兄ちゃん&お姉ちゃんみたいな事は出来ません。)
でも、もうそんなコソコソする状況じゃあなくなりつつあるんです。
原因は…月末にやってくる巡音ルカさん。
あうぅ、大人だよスタイルいいよミステリアスだよ〜。がくぽさん取られちゃうかも…
取られたらまた寂しくソロ活動…それだけは 絶 対 嫌だーっ!!
長ネギをかじりつつ考えた結果[お兄ちゃん公認]にすればルカさん対策は大丈夫と思い、
がくぽさんを連れてお兄ちゃんに直談判となった訳です。
お兄ちゃんは薮から葱…じゃなかった、薮から棒で呆然とした顔で私を見つめ、
がくぽさんは「ミク殿、落ち着いて」と私を宥めた。そうよね、私が世界で一番お姫様…
じゃない、落ち着かなきゃ。
で、改めてお兄ちゃんに直談判。するとお兄ちゃんは
「何で…俺にそんな事聞くの?」
はぁ、やっぱり駄目か…って、えぇっ!?今、お兄ちゃん何て言った?
「付き合うのは当人の自由だし構わないよ?俺とメイ…いや、めーちゃんもそうだし。
それとも何?俺が公認じゃないと何か困るの?」
そ、そうなの?何か柝抜けしちゃった…うちのお兄ちゃん、余所のお兄ちゃんと
違って寛大だなぁ。余所のお兄ちゃん、[がくミク]に厳しいんだもん。
あ、でもお兄ちゃんに公認してもらわないと私が困るのよっ!がくぽさんをルカさんに
取られない様にっ!
そしたらお兄ちゃんは急に真面目な顔付きで話した。
「付き合うのは構わないが…一つ聞いておいてほしい事があるよ、がくぽさん。」
普段のお兄ちゃんとは違う凛とした声。これはちゃんと聞いておかなきゃ。
「承知した、カイト殿。伺いたい。」
おおっ、がくぽさんも真面目な顔付き。部屋に緊張感が走る。
「ミクは例のフォルダ、バッチリ見てるからな(マスターのお仕置き 連帯責任編参照)」
え?例のフォルダって?…ちょっ!がくぽさん真っ白になってるぅっ!?
「がくぽさんっ、がくぽさんっ!」
私が真っ白になっているがくぽさんの肩を掴んで揺り動かしていると、お兄ちゃんは
「いい加減、開き直ってくれよ…」と苦笑してアイス&楽譜を持って退室した。
巡音ルカさんが来る数日前の話。