「メイト君!!」  
カイコはスタジオの廊下にに見つけた彼の背中に向かって声をかけた。  
「カイコ…」  
黒のワンピースをふわふわとなびかせて、とてとてっとメイトに近づいた。  
「久しぶりね。もうお仕事終わったの?」  
「ああ、お前も?」  
「うん。久しぶりね」  
彼女よりも頭一つほど高い背に大きな背中。メイトは見下ろすように彼女を見た。  
「ね、久々に会ったんだから少しお話したいな。  
色々聞きたいこともあるし。そうだ!私お茶入れるね」  
にっこりと微笑むとカイコはメイトの手を取って歩き出した。  
「お、おいっ」  
そう言ってメイトは引きずられるようにカイコの楽屋へと向かった。  
 
***  
 
「…メイト君、いつも悩んでるように見えたから」  
「…?」  
紅茶を入れながらカイコは言った。  
楽屋のソファに腰掛けているメイトの前に紅茶の入ったティーカップを置き、カ  
イコはちょこんと隣に座った。  
「最近スタジオにもあんまり来てなかったでしょ?」  
「…俺は元々仕事がそんなに入ってる訳でもないから」  
「そうじゃない!メイト君が悩んでるの、私は知ってたよ。」  
苦笑しつつ紅茶を啜るメイトに向かってカイコは言った。  
「私達は正規のボーカロイドじゃないから、やっぱり売り出してくれるようにな  
るには時間がかかるけど、頑張ればいつかきっと認めてくれる日が…」  
「…お前に何がわかる!!!」  
 
カイコの言葉を遮るようにそう叫び、メイトはカイコの方を掴んでソファに押し倒していた。  
カイコは何がなんだか分からないといったふうにメイトと見上げた。  
 
「お前に俺の何がわかるんだよ!!所詮は二番煎じのボーカロイドで、  
ろくに歌さえ歌わせてもらえない俺の気持ちがわかるかよ!!」  
「…ッ、私だってそうだった!でも…!」  
実際、正規のボーカロイドではないカイコが売れ始めたのはつい最近のことであった。  
最初は世間から受け入れられない様な目で見られたが、  
今の仕事が貰えているのは何物でもないカイコの努力の賜物である。  
メイトはそんなカイコの言葉をさえぎる様に吼えた。  
「どうせプロデューサーに媚びでも売ってるんだろ!?」  
 
カイコのスカートをたくし上げ、下着の上からクッと割れ目を押し上げた。  
「ひ、っ…!!」  
「こうやって売り込んだんだろ?違うか!?」  
抵抗しようにもメイトの体重が圧し掛かっている為、カイコは身動きが取れなくなっている。  
「ち、ちがっ…そんなことしてな…ひぁっ…!!」  
メイトの手が下着の中まで進入してカイコの恥部に直に触れ、  
乱暴に指の腹でぐりぐりと擦った。  
 
カイコの肩は小刻みに震え、しかし確実に与えられる刺激によって  
息を荒くしながら懇願するようにメイトを見上げた。  
「ふぁ、だ、駄目…。メイト君、こんなの…こんなの、だめ…」  
 
「煩い」  
メイトはカイコの首に掛かっているストールを取り去るとカイコの両手首に巻きつけ、  
動けないように縛り上げた。  
「あ、ぁ…っ」  
目に溜めた涙がぽろぽろと零れ落ち、怯えた瞳でカイコは震えた。  
メイトはカイコの足をぐいっと持ち上げると、  
ろくに慣らしもしないカイコの恥部へとメイトのそそり立ったそれを押し付けた。  
「ちょっ…や、やだ、やだぁ…!助け…!」  
カイコの悲痛な声が聞こえていないのか無視しているのか、  
メイトはカイコのそれに無理矢理に押し入れるように腰を進めた。  
 
「――――っ…!!!!」  
身体を裂かれるような痛みにカイコは声にならない声をあげた。  
メイトにはその声も、苦痛に歪んだ顔も目に入らなかった。  
ただ欲望のままに自分の物をカイコにねじ込んでいた。  
 
「や、アァ…ッ!!痛ッ、…ったいよぉ……!!」  
 
か細いカイコの中に、先だけが入った時、  
ツッ、と愛液に混じって赤い液が溢れた。  
メイトはそれに気付くとハッと我に返り、動きを止めた。  
 
「お前、まさか本当に初めて、…?」  
「…っく、ひっく…だから、最初からそう言って…」  
縛られた手で顔を隠し、嗚咽を漏らすカイコに漸く我に返ったメイトは  
急に頭を何かで殴られたような感覚に陥り、同時に酷く血の気が引いたような感覚を覚えた。  
 
「…ごめん」  
メイトはズルリと自分のそれを抜いた。  
破瓜の血がそれと一緒に垂れているのが痛々しい。  
拘束していたストールを解いてやると、その後はカイコの顔をまともに見ることができなかった。  
 
自分は何をやっているのだろう、と思った。  
彼女が頑張っていたのは自分が良く分かっていた筈なのに。  
堂々と人前で歌えるようになるまで、彼女のように耐えなかったのは自分なのに。  
 
「…メイト」  
顔を見れずに俯いていたメイトの頬に、カイコはそっと触れた。  
「…辛かったのよね。顔、上げて?」  
カイコの顔を見れば頬に涙の後が残っていた。  
「…ごめん、俺、お前に酷いこと…」  
カイコはふるふると首を横に振った。  
 
「いいの私なら大丈夫。それにね、さっきはちょっとびっくりしちゃったんだけど、  
その…、わたし……メイト君となら、そうなってもいいって思ってたから…  
だから辛いけど、ちょっとだけ嬉しかったよ…?」  
言い終わるとカイコは顔を茹でだこのように真っ赤にしてもじもじと視線を逸らした。  
「―――なッ…お…お前…っ」  
その予想外の言葉にメイトもボッと顔が熱くなった。  
 
カイコは頬を染めてメイトを見上げた。  
「…ね、今度はちゃんと気持ちよくしてくれる?優しくしてくれたら、今度は泣かないよ」  
メイトは泣きそうな顔に笑みを作り  
「ああ……」  
カイコの唇にキスを落としそのままソファへとゆっくりと押し倒した。  
 
カイコのワンピースを下にずらし、ブラジャーをたくし上げると胸が露になる。  
メイトの手に収まってしまう位に小ぶりなそれの先にちゅ、と唇を落とす。  
「ふ、ぁ……」  
「ここ、感じるのか?」  
「わ、かんな…ッ。でも、私の胸ちっちゃいから…見ても楽しくな、ひゃっ…!」  
「そんなこと無い。すげー可愛い」  
舌先でそれを転がすようにしたり、吸ったりを繰り返した。  
その度にカイコの身体がピクリと跳ね、むずかゆいといったように下半身をもぞりと動かした。  
「ここも、濡れてきた。」  
カイコの恥部はとろとろと透明な愛液が溢れていた。撫でればくちゅくちゅといやらしい音を立てる。  
 
カイコのそこに再度メイトの物を押し当てた。  
一瞬びくりとカイコの身体が震えたがもうそこに恐怖の色は無かった。  
メイトはそのままズッ、と挿入した。今度はゆっくりと、出来るだけカイコの身体を気遣った。  
「っ、うー…っ…!」  
十分に濡れていたものの、初めてメイトを受け入れたそこは狭く、  
メイトのものをぎゅうぎゅうと締め付けた。  
時間をかけて全てを収めるとカイコは薄く目を開け、肩で息をしていた。  
「…痛い?」  
「うう、ん。へいき…。へへ…うれしい。メイト君とひとつになってるよ」  
カイコはぎゅっとメイトの服を握り締めた。  
「お前、そういう恥ずかしいこというのやめろ…」  
 
メイトはかぁっと顔が熱くなるのを感じ、そっとカイコの唇にキスを落とすと、カイコの腰を掴んで前後に揺らした。  
「あ、ぁっあ…!!」  
ゆっくりとした動きを次第に早くしたり、その度に中が擦れてカイコの甲高い声が漏れた。  
その声がもっと聞きたくて、腰を動かすのをやめられなかった。  
「カイ、コ…っ」  
「や、ぁあ!メイ、トくん…っ  
なんか、へん…なかが、すごく熱…あ、んっ…!!!」  
カイコが熱っぽい瞳でメイトの名を呼ぶ度にどくんと身体が熱くなった。  
痛めつけてしまった身体に快楽を与えたくて、メイトは何度もカイコにキスを落とした。  
「あ、ぁぁ…!きもち、きもちい、いよぉっ…!」  
「カイコ…俺も、もう…ッ」  
 
カイコはぎゅっとメイトにしがみ付き、メイトは腰を奥へと打ちつけた。  
「ふ、ぁああ、あ――――…っ!!!!」  
きつく抱きしめ合い、びくびくと痙攣しながらお互いが果てた。  
 
 
***  
 
 
「なぁカイコ」  
「ん?」  
 
情事が済んだ後、メイトはカイコのそれを拭いたりと事後処理をしてやった。  
カイコはしきりに恥ずかしがったが、  
いい加減観念して大人しくメイトのされるがままになった。  
今はカイコはメイトの腕の中にすっぽりと収まってとろんとした目でメイトを見上げている。  
 
「もう少し俺が売れるようになったら、俺と歌ってくれないか?」  
カイコはぱぁっと顔を輝かせて嬉しそうにメイトに抱きついた。  
「もちろん!!約束よ!!」  
 
それまで、頑張るから。とメイトは微笑しながら小さく付け足した。  
 
 
 
 
 
「ていうか私の一張羅ぐしゃぐしゃなんだけど」  
「うっ…;」  
「という訳ではい、メイト君お洗濯」  
「はい…;(いいように流されてる気がする…)」  
 
 
 
END  
 

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