最近、ミク姉の様子が変だ。  
 
俺の方を見て、そしてカイト兄さんの方を見る。そしてニマリと笑う。  
この『ニマリ』とは、一般的なニヤニヤ笑いとは違う。言うなれば、『獲物をどういたぶるか考える』時の笑い方だ。  
何を考えてるのだろうかと思い、一度だけミク姉の思考ログをハックしてみた。  
 
……えーっと、その時の事は、正直思い出したくないです。  
 
ただ言えるのは、ミク姉の思考ログは俺とカイト兄さん、そして隣の神威さんの三人が……ガッチンコ!するような事だけを考えていた。  
 
      ***  
 
「ま、マスター……?」  
「おう、何だねレン」  
そんなわけで、いろいろ狂ってしまったミク姉の事を報告しに、マスターの部屋にやってきた。  
「あの、ミク姉が……」  
「仕様だ」  
「……へ?」  
「どうせ『ミク姉が俺達で変な事を考えるように』って言いたいんだろう?仕様だ仕様。今度歌わせる曲にふさわしいミクになってもらうべく、な」  
……あんたが主犯か。  
「ちょっ、あっさり言わないでくださいよ!?……大体、どんな曲なんですか?」  
「とりあえず『も、妄想マシーン。』、『デフォルト女子高生にゃん』、『腐OOL EDITION』、『腐女子ライフ・リターンズ』は覚えさせる」  
 
……おk。ちょっと言わせてくれ。  
 
 
 ダ メ だ こ の マ ス タ ー 、 早 く 何 と か し な い と ……  
 
 
「何考えて……」  
「マスターッッ!!」  
俺の台詞を遮り、突然部屋に飛び込んできたのは、渦中の人物ことミク姉。  
扉を思い切り開け放ったポーズのまま、数秒固まる。……その後。  
「……レン×マス、これねっ!」  
ちょうど俺がマスターに掴みかかった状態なのを見て、そんなことを言い出した。  
「あー、コラコラミクさんや」  
やれやれと言いたげな顔でマスターがミク姉の方を向いた。……当事者にされて、ようやく事態を理解したか?  
 
 
「レン×マスじゃなくてマス×レンだ。俺は受けはやらん」  
「そっちかよっ!!」  
 
どっとはらい  
 

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