何だかわたし変だ。
凄い凄い嬉しいことのはずなのに涙が出る。
「ふっ、ええ……」
「もっと、泣いてもいいんだぞ」
細くて長い綺麗な指がわたしの髪を鋤く。わたしはたまらずに彼の首にすがりつく。
直接感じる初めての男の人の体は暖かくて、少し汗ばんでいた。
心地よいとかそんなことは感じないけど、何となく安心する。
彼の長い睫毛が揺れる。
藤色の瞳には私だけがいた。
「んっんん!」
「ミ、ミクッ」
初めての激痛と彼のものが動く度に腰に響く鈍痛、そして言い様もない胸の疼きに我慢が出来なくなってしがみついた彼の背中に爪を立てる。
勢いを増す彼の腰の動きに荒い息。彼に向かって開いた脚は痙攣して、ああこれがイクってことなのかな。
「がく、ぽさぁっ……」
頭の中が真っ白になって彼の色に染められていく。
重なった唇、絡められた赤い舌、全身で彼を感じる。
それは幸せというよりも熱望に近くて。
わたしは吐き出された彼の欲望を全て飲み込んで暖かいまどろみに堕ちた。