今日はメイコ姉とミク姉とお買い物に来た。今は休憩にお茶してるとこなんだけど…
「でさ、眠いからさっさと終わらせたくてね、もうずっとぎゅって締めてたわ」
「あはは、で、即?」
「うん、即。あいつ締めたらすぐイクの」
話がアダルトでどうしたらいいのか。興味はあるんだけど、混じれる程の引き出しがないと言うか…ていうか、お洒落なカフェでこんな話していいの?
「えー。早いの?」
「んー、こっち次第?」
「メイコちゃん支配しちゃってるんだ、わるーい」
「ミクの方はどうなの?」
「んー、ミクがイクとすぐ、かな。きゅってされたら無理とか言ってー」
「やっぱそうよねぇ。リンちゃんはどうなの?」
「え、あ…」
口ごもってもじもじすると脇をつつかれる。
「言っちゃいなさいな、あたし達も話したんだから」
「リン、いっつもがっくんがイクまで何回もイカされちゃうんだけど…あんまり気持ち良くないのかな」
「遅いだけかもよ?いっつも最後はイクんでしょ?」
「うん」
「なら心配しなくて平気よ。何度もイカせてくれるならいいじゃない」
メイコ姉はそう言ってくれたけど、あたしは何だかすっきりしない。
「じゃあ、今度する時は思いっきり締めてみたら?」
「うん、やってみる」
「ねぇねぇ、ついでに、小道具とかも使っちゃえばー?」
「小道具って?」
そう聞くと二人はにやあって笑う。
「絶対やるなら教えてあげる」
「はい、早く答えないと教えてあげなーい。五、四、三、」
え、そんな急に。
「や、やるからっ、教えて?」
今までの例があったのに、テンパったあたしはついそう言っちゃったんだ。
ミク姉と悪魔の笑みを交わして少し黙り込んだ後、思い付きっぽくメイコ姉が口を開く。
「紐で腕縛らせたり?」
「あ、それいい〜。じゃ、リンちゃん、それで」
「下着とかも凝ってみよっか」
「メイコちゃんノリノリ〜」
「ミクだって乗ってるじゃない」
「ちょ、ちょっと待って?縛らせるとか、どうやって?」
「リンちゃんが、かわい〜く、『縛って?』って言ったらいいの」
「がくぽ君、鼻血出すんじゃない?」
あたしは慌ててげらげら笑う二人を遮る。
「だ、だって、変じゃない?いきなり縛ってなんて」
「難しく考え過ぎよ。ノリでいいのよ、そんなの」
いっつもノリであたしをからかうメイコ姉はそう言い切った。
「ていうか、縛られたら抵抗出来ないよ」
そう言うと、二人は顔を見合わせて吹き出した。
「もー、リンちゃんかわい〜!それ見て興奮するんじゃなーい」
「そうよ。どうにも出来ないっていうのがポイントなのよ!」
「あ、でも、そんなに嫌なら前で縛ってもらえばいいんじゃないかな」
「でも、支配感薄れるわよ」
「何その上級者発言〜。メイコちゃんエッチ」
「…リン、先に出てお買い物の続きしてるね」
「あ、こら。逃げるな〜」
「お姉ちゃん達はリンちゃんががくぽ君とラブラブでいられるように頑張って考えてるのよ」
「はぁ…」
「分かったわ。じゃあ下着でも見に行きましょ」
そのままズルズルと引きずられるように連れ回されて。大人のおもちゃとか聞こえてきた時は死ぬかと思ったけど、未成年だからって事で助かった。
あれ、あたし今日何買おうとしてたんだったっけ。下着が3着ってどういう事?
「勝負の日はこの白のフリフリで決まりよね」
抗議するだけ無駄なのは分かってるけど。でも、しないともっと大変な所に着地しそう。
「リン、そんなに課題増えても覚えてられないからね。やらなくたって死ぬ訳じゃないし!」
「あら、そう」
何やらぞっとする笑みを向けられたけど、弱みなんて握られてないよね、弱みなんて…
何そのICレコーダー。
「まぁ別にあたし達はいいのよ?この、リンちゃんの寝言」
『がっくん、だいちゅきぃ…』やたら甘ったるい舌足らずな声になってるけどそれは間違いなくあたしの声。あまりの寒さにぞわっと鳥肌が立った。
「いやぁぁぁぁ!」
慌ててメイコ姉に縋りつく。
「ごめんなさいリンが悪かったから、今日決まった事はちゃんとやるから、それ、消して?」
「そう、良い子ね」
その、やけに綺麗な悪魔の微笑みに、あたしは心の中で号泣した。