【注意!】
・UTAU×亜種エロ
・レンがバンド組んで人気者になってる世界
(保管庫『おバカロイドの音楽隊』のスピンオフ)
『Anarchy for the VOCALOID その1』
「―――――ありがとう、ホントにありがとう!! 最後の曲です」
バンドのボーカルが、ヘッドセットのマイクに向かって今日最後のMCを話す。
肩で息をしながらも、言葉は力強い。
「いつもの替え歌ですっ!! Let's 『Get it On』!!」
300人クラスのライブハウスを埋め尽くす客の中に、『亞北ネル』と『弱音ハク』がいた。
客を一瞬で黙らせ、そして躍らせる『鏡音レン』のボーカルにすっかり虜になっている二人は、
貴重なアルバイト代をつぎ込んで頻繁に『Idiot-ANDROID』のライブを見に行っている。
ドラマー『Sweet Ann』の爆発音のようなスネアを合図に、二人は今日最後の音の渦に飲まれていく。
Well you're Thirty and sweet, clad in uniform お前は軍服を着た 三十路の女
Don't look back and I love you 振り向くなよ 愛してるぜ
You're Thirty and sweet, oh yeah 三十路の女だぜ oh yeah
Well you're slim and you're weak スリムで華奢なお前
You've got the Wings of a Chimera upon you キメラの翼を持ったお前
You're Thirty sweet and you're my girl. お前は三十路な オレの女
Get it on, bang a gong, get it on 始めようぜ ゴングを鳴らせ 始めようぜ
Get it on, bang a gong, get it on…… 始めようぜ ゴングを鳴らせ 始めようぜ……
ベースの『重音テト』のベースソロから、
続いてギターの『神威がくぽ』のギターソロへ。
キーボードの『鏡音リン』は手をシーケンサーに任せてステージの上で小さく踊り、
レンはぶら下げたギターの演奏を放棄し、バリケードに飛び乗って客を煽る。
ビートに合わせてネルは感性のままに踊る……といっても、すし詰め状態のライブハウスではタテノリで跳ねるので精一杯だが。
一方のハクは、パタパタと足でリズムを取るものの、曲に集中しているのか激しく踊るような事はしない。
約300人の客は各々の本能のままにこの非現実的な空間を楽しみ、夜は更けていった。
「―――――ぷっはー!!」
場末の飲み屋のカウンターに、ネルがチューハイのジョッキを割れるほどの勢いで置く。
何ともアットホームな飲み屋のカウンターにいるうら若き乙女(?)たち。
すっかり出来上がった真っ赤な顔で、ネルは今日のライブの感想を大声で話し出した。
「ったくよー? レンの歌は今日も最高だった!! もう最高だった!! こんちっきしょー!!」
「うん、そうだね……」
レンに夢中なネルは、とにかくレンへの思いをぶちまける。
最近はレンとの距離が段々遠くなっているのが気になっているらしい。
……付き合ってるわけでも無いのに。確かにデビュー当時からファンではあるのだが。
「おい、おい!! 聞いれんのかっ、はくぅうっっ!!」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
「『Idiot-ANDROID』はこんなに大きくなった!! 大きくなったんだ!!」
「う、うん、そうだね」
もはや呂律も怪しいネルの声が、居酒屋の狭い店内にこだまする。
さすがに他のお客や居酒屋のマスターもビックリしているが、ネル本人は気にしていない。
普段からネルはハクには厳しいが、今日のネルはいつも以上にハクにグサグサと刺さる言葉を吐き続ける。
「その間アンタは何してたっ!! 未だにオーディションも通らない出来損ないミュージシャンじゃないかっ」
「う、ぅうっっ……そこまで言わなくても……」
ステージの上のバンドはあんなに華やかなのに、ハクはずっと底辺でもがき続けている。
実は音楽的なキャリアは、ハクも『Idiot-ANDROID』も変わりない。
しかし向こうはビッグになり、ハクの周りに浮いた話は全く無い。
今日のライブでも、そのギャップを感じてしまい少し寂しくなっていた。
「ええっ!? 弱音ハクが弱音を吐くってか!? もーちっと頑張れよー!!」
「……ううっ」
成功できなかった者に、世の中は厳しい。
ネルの反応は、そのままハクに対する社会の反応の縮図なのだ。
才能も大して無いのに、砂粒みたいな大きさの希望にだらしなくしがみ付く。
三十路だってあっという間だというのに止められない。でも、どこかで止めなければいけない。
ハクがくいっとあおった日本酒は、全然効かなかった。
へべれけになったネルに肩を貸しながら、ハクは駅に向かう。
平日の深夜、ビルの谷間を歩くのは怪しい外国人とホームレスと、同業らしき楽器のソフトケースを担いだ若者。
引越ししてきた頃は怖かったが、今ではここまで無防備な姿を晒しても平気になっている。
「うぇぇぇぃ……んー……レン……マジでファンなんですぅ……」
「はいはい」
駅ビルが見えてきたので、ハクは気合を入れなおそうとネルの肩に掛かった手をかけなおす。
丁度その時、千鳥足のネルが何かにつまづいたらしくいきなりハクに抱きついてきた。
「うああぁっっ!?!?」
「きゃあぁっ、ちょ、ネルちゃん!?」
ハクはがんばってネルを支えようとするものの、
少なからずアルコールが入っていたハクの足もつれ、その場にビタンと転んでしまった。
「いったたたた……ちょっとお!! 誰よっ!!」
文句を言うネルだが、引っかかったのはあなたです。本当にありがとうございました。
二人で後ろを振り向くと、長い足が歩道に投げ出されていた。
「……ちょっと、大丈夫かな?」
そう心配になるほど、足の主はピクリとも動かない。
その時ちょうどタクシーが通りかかり、ヘッドライトの明かりがその人物を照らす。
短めの黒髪のツインテールの、妙にガタイがいい背の高い女性がいる。
女性と判断した根拠は胸元の豊かなふくらみだが、それ以外は青年のように見える。
すらりと伸びた足と、ハクの服装にちょっと似た上着と、下着が見えるきわどい腰履きのパンツルック。
赤と青のオッドアイまで確認できた。
グッタリとビルの壁にもたれている彼女。
さすがに引っかかっておいて、何も言わずに立ち去るわけにも行かないとハクは判断する。
何と言ってもここは大都会のど真ん中。女性一人を置いていくわけには行かないのだ。
それだけでなく、ハクはこの女性の端正な顔立ちに少なからず興味を持っていた。
転んだままだったハクは起き上がり、彼女に声をかける。
「あの、大丈夫ですか?」
「……腹減った」
その整った顔を力無く持ち上げた後、
彼女はそう言って、またグッタリと頭を垂れた。
「―――――うめーっ!! うめーよこのヤロー!!」
24時間営業のハンバーガーショップに、ネルと道端の女性を引きずって連れて行ったハク。
すっかり精根使い果たし、汗と共にアルコールもいい感じに抜けてしまったようだ。
目の前のさっきの女性は、目の前に山のように詰まれたハンバーガーをパクパク平らげていく。
「いやー、地獄に仏っているもんだね。ホントにどうなる事かと……」
しみじみと語りながらコーヒーをすする女性。
ハンバーガー屋の照明の中で見ると、女性と言うことに疑問を抱きそうになる。
少年のような声とバレー選手のような背丈が、その認識を助長させる。
「うー……ハクぅ、眠い……」
白の隣の席でテーブルに突っ伏しているネルがうめく。
そろそろ日付が変わりそうな時間となった。終電を逃したらさすがにマズイ。
ネルもハクも朝早くからバイトのシフトが入っていた。
「そういえば、あなた……えーっと、名前は?」
「……ルコ」
「るこ?」
「欲音ルコ」
「ルコ……ね。あなたの家は何処?」
「……………」
まるで子供がすねてしまったかのように、自己紹介が終わった後は彼女は何も言わなくなった。
ルコと名乗った彼女はハンバーガーを食べる手は休めないが、そのままハクとの会話は止めてしまった。
「……もしよかったら、泊まります?」
「え!! マジで!? いやーありがたい!!」
何の気なしにハクがした提案を、ルコは即座に受け入れた。
遠慮や自重と言う言葉を知らない、子供くさい態度だったものの、
言いだしっぺはハクと言う事で、責任を持ってこの日はハクの部屋にルコを泊めることとなった。
ネルをアパートまで送った後、ハクは自分のアパートへとルコを連れて行く。
『珈琲荘』と言う名の住処は、築40年クラスの木造二階建てアパート。
外壁には前衛的ないたずら書きがスプレーで描かれ、さらに怪しさを増す。
ギシギシと軋むサビだらけの階段を上り、ドアを開けた。
「へー、生活感あるなぁ」
「……素直にボロいって言えばいいのに」
ルコはハクの部屋に入るなり、キョロキョロと部屋中を見渡す。
ワンルームの6畳一間は、敷きっぱなしの布団が面積を取っている。
後は、一応ミュージシャンの端くれらしく、DTM用の機材とアコースティックギターが目立つ以外は、
まるで男の一人暮らしのようなゴミ屋敷の有様だ。
「はい、コーヒーでよかった?」
「うん、サンキュー」
パート先の忘年会で貰ったコーヒーミルが役に立った。
布団の上に胡坐をかいて座ったルコに、挽きたてのブラックコーヒーを出す。
ズルズルとコーヒーをすするルコの姿に、ハクはしばし目を奪われてしまう。
整った端正な顔に、爆弾みたいなナイスバディ。
「……何見てんだよこのヤロー」
「へっ!?」
ほわんとルコを眺めていると、いつの間にかルコはハクを睨んでいた。
まるで公園で無邪気に遊ぶ子供に向けるような温かい視線は、TPOを間違えると怪しいものだ。
「え、っと、その……あわわわ……っ熱ぅうっっ!?!?」
動揺が手に現れたのか、ハクはつい手に持っていたコーヒーカップを不意に傾け、コーヒーを膝にこぼしてしまった。
まだまだホカホカだった液体が、黒いワイドパンツに染みていく。
「うあぁぁあああっ!?!?」
「ちょ、大丈夫かよ!? 早く脱げ!!」
部屋の中は一大事となった。
ハクは万年床の上をのた打ち回りながらワイドパンツを脱ごうともがき、ルコがその手伝いをする。
ルコがワイドパンツに手をかけ、一気にずり下ろすと、やっと熱さから解放された。
無駄に騒ぎすぎたおかげで、どっとハクの力が抜けた。
「ふー……ゴメンね、お騒がせしちゃって」
「……………」
「……ルコ?」
辛うじて火傷の心配は無さそうな、真っ白いハクの太腿が露わになる。
その腿から視線を上げると、飾りっ気の無いシンプルな桜色の下着が、やや緩まった腹の下で三角形を形作っている。
もっと視線を上げると、床を転がったおかげで乱れた上着と、上気した頬。
生活状態はどん底の割にスタイル抜群なハクの体は、さっきの騒動で妙にセクシーなアイコンを備えていた。
「なぁ、ハク……だっけ?」
「え……? あ、ちょ、んっ!?!?」
そんなハクの姿を見てなのか、ルコはおもむろにハクの手首を掴み、万年床に押し倒した。
間髪入れずに、ルコは舌をハクの唇へと重ねる。
すわ、コイツ百合属性か!? とハクの頭の中は一気に混乱し、処理が追いつかなくなる。
頭が働かない状態のハクが、ルコの手によってみるみるその肢体を蛍光灯の下に晒していく。
「ごめん、どうしても俺……今日は誰かとシたい。たまってんだ」
「え、た、たまってるからって……ひゃあああぁっ!?!?」
子供っぽかった今までの態度とは全く違った、落ち着いた行動。
曇りなきオッドアイに見つめられ、ハクはどきっとする。
首筋をつつっと舌でなぞられながら、ハクのボリュームのある乳房はルコの手によって捏ねられる。
「んっ、ちょ……ああっっ!! け、警察……!!」
「ん? けいさつ?」
「っく、はあぁあっ……!! んあ……」
犯罪じみた強引な迫り方に、ハクは思わず携帯電話で助けを呼ぼうと辺りを探るが、こういうときに限って見つからない。
さらに、ルコの無骨な手から与えられる刺激は、ここ数年すっかりご無沙汰だったハクの性欲に少なからず火をつけた。
うっすらとハクの胸が汗ばみ、息が荒くなっていく。
身をよじって逃げようとするが、腰が抜けて体が動かない。
「なーんだ、乗り気じゃん」
「ばっ、ちが……!! あああっっ!?」
ルコの右手は早々とハクの秘所を覆い、やんわりと手の平全体での愛撫が行われていた。
それでも秘芽は必ず触れることになるし、愛液もじわじわと染み出してくる。
ルコの手にはめられていた手袋が、ほのかに湿ってきた。
「ん、濡れてきた?」
「だから、違うって言ってるでしょ……っあ!! んううぅっ……」
ハクの言葉だけの拒否を軽く受け流し、ルコはやっと自分の服に手をかける。
仁王立ちになってネクタイを解き、上着を脱ぎ、超ローライズのパンツとウルトラマイクロの下着を下ろす。
すると、ハクの目の前に『何か』が現れた。
「え、あ、ええええっ!?」
ルコの下腹から天を仰ぐようにそびえ立つ、肉の棒。
いわゆる『男性器』が付いていた。
しかし、ルコの上半身に目をやると、きれいな肌と豊満な乳房。
ハクの頭はさらに混乱してくる。
「え、あ、あの、アナタは男? 女?」
ついついそう聞いてしまっても不思議ではない。
性転換手術途中のオカマやオナベなら、まだハクもぎりぎり納得が行った……のだが。
ルコはその問いに関して、さらにハクの斜め上の回答をする。
「ん? えーっと、なんつったかな、『両生類』じゃねぇ、『りょうせいぐゆう』だったかな」
「両性、具有……!? つまり、『ふたなり』って事!?」
「うん」
ばつが悪そうにツインテールの黒髪をぼりぼりと掻きながら、ルコが説明する。
なるほど、男根の付け根をよくよく見れば、つぼみのように固く閉ざされた花弁が見えた。
だったらどこから射精するんだよ!? とハクは口に出して突っ込みそうになったが、
その前に。
「じゃあ早速」
「え、ひ、んああぁあぅっっ!!」
いつの間にかハクに体をくっつけていたルコ。
モノに手を沿え、ハクの花弁をかき分けて一気に挿入した。
ややキツさはあったものの、ルコが一気に押し込んだのでそんなことは関係なく、
ハクの体は奥までルコのモノをくわえ込むこととなった。
「うぁ、すっげ……!! 中、あったけぇ……!!」
「っは、ああっぁあっ!! き、つい……っ!!」
190p超の背丈に見合ったサイズの、ルコの肉棒はハクが受け止めるには大きかった。
ぎっちぎちに広がった膣穴では快感に変換することも難しい。
ハクは空気の足りない金魚のようにとにかく呼吸をして、何とか意識を落ち着けようとする。
「んー? 気持ちよくない?」
「あっ、たり……まえでしょ、っ……!! こんな大きな……濡れてもないのに……」
「ふーん、じゃあもっと濡れてればいいの?」
「そういう訳じゃ……はあぁぁあああぁぅっっ!?!?」
手袋が付いたままのルコの手が、またしてもハクの秘部の付け根へと伸びる。
ぴょこんと出た芽のような器官を、そのザラザラした布地で擦りあげる。
強烈な刺激に、ハクは思わず仰け反った。
「ちょ、っとおおっ!! もっと、優しく……!!」
「んーっっと、こうじゃなかったっけかなぁ? わっかんねぇ」
経験が浅い事が丸分かりのルコの愛撫。
それでも、なぜかハクには心地よかった。
いや、心地よいというよりも、インパクトが強すぎて癖になってしまいそうだった。
自然と艶っぽい声が漏れ、どこからどう見ても出来上がっている。
(え、っ!? 私M!? Mだったの!? こんな乱暴にされてるのに……っ!!)
ハクの肌を伝う汗の滴が多くなっていく。
頃合を見計らって、ルコは腰を使い出した。
可能な限り大きなストロークで、ハクを内臓ごと引きずり出そうとするような動きで。
「あがあっぁあっ!? おあああぁぁっ!! んあぁぁああっ!!」
「あ……っく、もうちょっと緩くなんねぇかな?」
「む、無理っ!! 無理に決まってるでしょ……っ!!」
まるで、DVD屋のレジ横で売っている性玩具にでもなったかのような気分。
ただただ射精を促すだけの器官になったような気がして、ハクは辛くなってくる。
しかし、そんな中でもしっかり快感が少しづつ高まってきた。
「あ、出る」
「え!? 出るって!? 待って、そと、外で……っ!!」
いきなりのルコの宣言に、何も対処ができない。
ハクの懇願空しく、ルコは最後に思いっきりハクに腰を打ちつけた。
下腹、ちょうど子宮口のあたりに何かが出ているのが分かる。
考えるまでもなく、ルコの吐き出した精子であった。
「……っは、あ……ん……ちょっと、アナタ本気なの……」
ふたなり性器から本当に精液が出たのもビックリだったが、
それよりも全く避妊を考えていないような、ためらいの無いフィニッシュにハクは青ざめた。
アホじゃないかと。馬鹿かと。もし万が一の場合に責任が取れるのかと。
「ふぃー……。あれ、ハクは気持ちよくなかったの?」
「ばっ……そんな訳ないでしょ!?」
悦に浸った、緩みきった笑顔を向けるルコに、ハクは強い口調で言い返した。
もう少しでイケそう……だったのは置いといて、
これで精子と卵子がこんにちはしてしまったら、たまったものではない。
「なーんだ、じゃあせっかくだからハクも気持ちよくなろうぜ!」
「え、っ? ちょっとアナタ……んああぁぁあっ!?!?」
ハクの返答など待たずに、ルコは早速第二回戦へと突入した。
ハクの膣内に放った精液も潤滑の手伝いになったのか、さっきよりも動きが激しい。
またもや、ハクはルコのピストン運動に翻弄されていく。
「ダメ、だめっ……!! ああぁぁあああっ―――――!!」
―――――暗かった空が、やや明るくなってきた。
独特の匂いが6畳一間に充満している。
万年床には汗と体液が染み込み、さすがに洗わないといけないだろう。
「ん、っ……はぁ、っ」
ルコがやっと腰を引き、ハクと離れる。
ちゅぽんと結合部が離れると、抜かれる時の感覚でハクの腰がビクンビクンと震えた。
ルコとハクの性器の周りには、それぞれ精液が泡立ったものが纏わり付いている。
空気を含んで真っ白になったその液は、ハクの陰毛に絡まって、たまにポタポタと落ちてくる。
「や、あぁっ……はぁぁっ……はーっ……あ……」
さすがに腰に力が入らないのか、ルコはペタンと布団の上に尻餅をついた。
ルコが叩き込んだ精液が、開きっぱなしになってしまったハクの秘穴からトロトロと溢れてくる。
尻を伝い、ドロドロした物がじわりとシーツに染みていく。
四肢に力が全く入らず、ぐったりと布団に体を預けているハクは、
その感覚を気持ち悪いと思いながらも何もできない。
「ひー、さすがにもう出ねぇ……。どう? 今度は気持ちよくなったでしょ」
無遠慮で乱暴なセックス。
なかなかハクをエクスタシーに導くまでは行かなかったが、
それでも一回イってしまうと、後は連鎖的に体が快楽を求めだした。
「う、うるさい……っ、はぁ、ああぁっ……」
結局、ハクはこの一晩で3回は絶頂に達してしまった。
その前に、ルコは7〜8回は達していたようだったが。
「こ、ども……あ、っはぁ、はぁ……こども……」
「は、こども?」
「子供……出来たらどうすんのよ……こんなに注いでくれちゃって……」
まだ膣内からコポコポ溢れてくる。
その中の数割が、今自分の子宮の中で受精しているのではないかと思うと、いてもたってもいられない。
力無いまま、ルコにそのことを話す。
「いや、大丈夫でしょ?」
「何で!? 安全日ってのは100パー安全じゃないんだからね!?」
うししっ、と歯を見せながらルコが笑いかける。
あまりに楽観的なルコの返答に、ハクは力の入らない体にムチを打って猛抗議した。
汗でべとべとになった顔を持ち上げ、いつもは弱弱しい目をめずらしく吊り上げる。
しかし、目いっぱい虚勢を張ったはずの目元には、しっかりと涙がたまっていた。
「……だって、俺人間じゃないから」
「は?」
「だから、俺は人間じゃないの。アンドロイドなの」
ルコの斜め上の回答に、ハクは心当たりがあった。
―――――音楽業界に、ある都市伝説がある。
『初音ミク』に使われているようなテクノロジーを持った、
しかし『VOCALOID』とは違ったアンドロイドが、業界のどこかに放たれている。
ルコの説明した話は、その伝説に面白いほど合致していた。
ルコは自分の事を『UTAU』であると告げ、話を締めた。
「という訳」
「……なるほど」
普段のハクならば、そんな与太話を信じているかどうか怪しかった。
しかし、今なら何だか信じられるような気がする。
それは、昨日ネルに言われた苦言のせいなのか、
抜けたはずの日本酒がまだ残っていたのか、
底知らずの体力を見せ付けられたからか、
絶頂で頭がのぼせてしまったからか。
「ねぇ、ルコ」
「ん?」
ルコを何とかして利用できないものか。
夢だった、売れっ子ミュージシャン生活が出来るようにならないか。
そんな欲望が、むくりとハクの心の中に立ち上がる。
「私と……私と一緒に、歌……作らない?」
「んー? 別にいいよ」
情けない主従関係の契りではあったが、
弱音ハクは、今この瞬間『UTAU・欲音ルコ』のマスターとなった。