学校から帰ってきたら、家に女の子がいた。
「おお、おかえr」
「父さんのドアホー!いくら母さんと離婚してから大分経つからって、そっちに目覚めなくたっていいじゃねえか!!」
俺の正拳が唸り、父さんは吹っ飛んだ。
「DTM?」
「そう。で、この子はVOCALOID。歌を唄うソフトだ」
「ソフト…」
俺はチラリと女の子を見る。俺の視線に気が付いた女の子が微笑んだ。
「初音ミクです、よろしくね」
…ちょ、本当にソフト?どう見ても普通の女の子なんだけど。
「ふはは、驚いただろう。鏡音とどっちにするか悩んだんだがな、やっぱりロリショタより絶対領域だろう常k」
「黙っとけセクハラ親父」
俺のラリアットがクリーンヒット。父さんからの返事はない、ただの屍になったようだ。
「えっと…よく分かんないんだけど、本当にソフトなの?」
「はい。クリプトン社のVOCALOID、CV01初音ミクです。どんな歌でもお任せください!」
「へえ…」
最近の技術は進んでるなあと思いつつ、音楽の才能が無い父に彼女を使いこなせるのか、少し心配になる。
「よろしく」
けれど、そんなこと俺には関係の無い話。当たり障りのない返事をすると、ミクは嬉しそうに笑った。