「あっ、あっあっ…あぁう…っ!」  
我が家に一体きりのVOCALOID・MEIKOは世間のイメージにもれず、実にけしからん肉体を持った美女である。  
「ん…っ、くぅ…んっ!」  
そして酒にだらしなく、深酒すると、いつも呂律はおかしくなり前後不覚にまで陥ってしまう。  
「ま、ますた…もっ…、やあぁ…あ…」  
さて、音楽のパートナー、主従に近いもの、を跳び越しこのような「関係」になって早数ヶ月。  
もうすっかり性的な意味での調教もバッチリだと自負している。  
メイコは唾液にテラテラと濡れた乳房を震わせ、下腹部で蠢く俺の頭を力の入らない手で必死に押しのけようともがいていた。  
あー…なんかこういう抵抗久しぶり。やべー、男の嗜虐心が激しく燃えるんですけど。  
「ふぁ―――ああーっ!」  
あと少し……というところで恥部への刺激を止め、俺は近付く限界に震えていたメイコの柔らかい内腿に新しい歯形をつけてやった。  
 
 
メイコが酒を飲むのは主に夜。床に入る前。  
ソファに並んで座る彼女の身体をかき抱き、上着の裾から手を入れてねっとりとキス。  
力が抜けてくたっとしたところで耳元に口を寄せ「いい?」と問いかけると真っ赤な顔をしてメイコはいつも言う。  
「ま、待ってください。あの、用意…して、来ますから待ってください…っ」  
で、先に寝室に俺を押し込め、しばらくすると――――ベロベロに酔った彼女が来るわけだ。  
毎度この流れ。いや最初はビックリしたね。  
後からわかったんだけど、行為に及ぶどうしようもない恥ずかしさや緊張を呑んでごまかそうとしているらしい。  
MEIKOといってもユーザーの手元に渡るのにはいろいろなタイプがあるらしく、確かにうちのメイコもぱっと見よそと同じように見えるけど…どっちかというとおとなしめで、ものすごく恥ずかしがりらしい。  
「ますたー…」  
俺に覆い被さり、酔いにとろんとしながら口づけてくる。  
うわーどれだけ呑んだんだよ、と漂う匂いから眉根を寄せるが、俺は特にそれで不快に思うつもりはなかった。  
なんだかんだでメイコは俺のお願いや誘いを断れない→わかってやってる卑怯くさい俺→すごく恥ずかしいけど、せめて…→酒を呑む―――という流れである以上、あー、頑張ってくれてるねーと思うことはあっても責められるわけもあるまい。  
人間でありながらVOCALOIDのメイコに劣情を抱きまくっていることを否定はしない。が、純粋に彼女自身を可愛く思っていることもまた事実なので、彼女のやることを尊重してやりたい。  
 
「…ずいぶん呑んでるけど、途中で寝るなよ?」  
「ふぁい」  
まあ寝かさないけど、と言いながら上下の位置を入れ替え、バスローブの前を大きく広げると桜色に染まった柔らかい胸にむしゃぶりついた。  
「あ、ん、ますた…」  
俺の頭に両腕を回し、甘えるように頬をすり寄せる。  
「好き…大好き……」  
こういうこともいつもなら言ってくれないもんなー。  
そんなふうにして毎度、酒で下ごしらえされたおいしいトロトロのお肉をじっくりたっぷり隅々までおいしくいただいているのである。  
いいよね、いつもと違うギャップも。  
呂律の回らない声であられもなく啼き悶えながら、たまらないように乳と腰を揺らめかせる。  
泥酔してはいても、ちゃーんと膣は上手にきつく締めあげてくれるし、敏感な部分を指先でちょいと捏ねあげてやれば実にいやらしくのたうち回って目を楽しませてくれる。  
「…そろそろ、俺も…、げんか、い」  
「ふあぁ……ますたぁ…。くださ、い…ぃ」  
甘えた声を出し、俺の舌に自分のそれを、そして俺の腰に愛液にまみれた自分の足を絡ませた。  
もう何回もイカせたメイコのナカがまた強請るようにきゅん、と可愛く締まる。  
とにかく、この時のメイコはそりゃもうエロい。思い出だけでオカズになるくらいにエロい。  
身も心もムスコ的にも、たっぷりと愛あるセックスを楽しませてもらって満足している…と思ってた。  
 
のだが。  
 
 
「…――――すみませんマスター…覚えて、ないです」  
 
翌朝(といっても昼近く)俺の横でシーツにくるまり俯きながら放たれるメイコのそのセリフに、いつも打ちのめされるのである。  
あんなに濃厚に交じり合ったあのひとときも、言った言葉、言ってくれた言葉も、酒とともにすこーんと抜け落ちてしまうのだ。  
そして自分でやったことなので俺を責めることはないのだが、こっそり「頭、いたたたた…」なんてやってるのを見てしまうと「俺どんだけ無茶を押し通すひどい男よ」、と思ってしまうわけで。  
 
 
で、話は最初に戻る。  
 
「は……うん……ぁっ」  
 
今更ながら、俺は初めて酒を呑むのを禁止にした。  
今まで許されていたことにひどくメイコは狼狽していたが、今夜は頑として許さないことにした。  
真っ赤な顔でおろおろしながら一生懸命お願いしてきたが、「だめ」のひとことで突っぱねた。  
そりゃね、今まで満足すぎるくらいのいい思いやスッキリを経験させてもらってましたよ?  
でもね、それでも、本当の意味で満足もスッキリも得られてない気がするんだよ。  
俺、メイコの身体だけが好きなんじゃないんだもん。  
 
「もう、無理そう…?」  
舌を這わせ、メイコの内腿につけた最新の歯形を舐ってやる。  
あっあっと言いながら身を震わせ、メイコの目尻からまた大粒の涙がこぼれ落ちた。  
「聞いてんだぞ?メイコ」  
びしょびしょに濡れそぼった豆粒のような突起に息を吹きかけると、声にならない悲鳴を上げて背筋がぴんと伸びる。  
「も…ますた、ゆる して…」  
耐えるために噛みしめていた自身の指をどかせ、メイコの唇を舐めあげる。  
舌で唇を割り開いて熱い口内を舐り、たぐり寄せた小さな舌を甘噛みしてやれば「んーんー」と可愛く鳴き声を漏らす。あー…、イイ。これもこれでイイな。  
結局俺の言うことに逆らえず、今夜のメイコは羞恥に半べそかきながらベッドに潜り込んできた。  
身体を固くして身構え、触れられる都度びくんびくんと身をよじる。  
…メイコ、ほんとはこういうコト嫌いなんだろうかな。俺の、「マスター」の、いうことだから逆らえないで従ってんのかな、そう思うとちょっと(どころでなく)切なくなる。  
「メイコ」  
息をついて唇を離す。互いの舌の先からツッ…と銀の糸が延びた。  
「嫌だったら、言えよ?そうなんだったら、諦めっから」  
改めて言うが、俺は「こいつのこと」を可愛いと思ってる。だから、どうしても嫌だってんなら考えてやらなきゃいかん。  
「…」  
でもお前だってアノ時は好きって言ってくれただろうがよー。それ忠義心かよリップサービスかよー。  
ふてくされながらメイコの胸に顔を埋めると、不意にふわっと頭を抱きしめられた。  
「…マスターは、ひどいです」  
「う…、なにがだよ」  
まだ整わない呼吸に合わせ、キスマークだらけのメイコの胸が上下に揺れる。  
「さっきは、やめてください、ってお願いしてもやめてくれませんでした」  
「う」  
そうだったっけ…?ととぼけると、ぽかぽか頭を叩きながらそうです!と反論する。  
「ダメ、って言ってもマスター嬉しそうに指で」  
そこまで言って、メイコは耳まで真っ赤になって口ごもった。  
…あー、うん、指でねー。入り口近くのちょっと上のトコごりごりって擦ったら、すごくいい反応するから泣きながらイくまで虐めまくっちゃったんだったな。あ、いかん、思い出しただけで顔が。  
「なあ」  
両手で顔を覆ってしまったので、俺は直接真っ赤に染まったメイコの耳に囁く。  
「俺とこういうコトするの、嫌?後悔してるか?」  
その言葉に、んく、と息をのむ小さな音が返ってくる。  
「俺はメイコとするの大好き。すげー可愛いし、俺メイコ好きだもん」  
抱き寄せ、ちゅうと耳にキスすると小さな肩がぴくんと揺れる。  
「…マスター、そういうの、ずるいです………」  
少しうらめしそうに涙目で見上げ、そしてきゅっと俺に抱きついてきた。  
「…ばーか、お前の方がずるいだろ」  
結局ちゃんと返答してくれないくせに。  
鼻をすり寄せて苦笑いしてから、俺は再び深くメイコに唇を重ねた。  
 
「んっ…んんっ……ふ…ぅっ、あ、っ」  
舌を差し入れ、竦むメイコの舌を捕らえて角度を変えては絡ませ合う。重なり合った胸で感じる、しこってコリコリに硬くなったメイコの乳首がごまかせない快楽を主張している。  
脇腹から脚の方へと指を滑らせれば、再びせっぱ詰まった身体に火がついて、恥ずかしそうに身悶えながらメイコが甘い声ですすり泣く。  
「ん、あ…!あ、あっ…ああ…ぅ…や、ん…!」  
飲み下せずに彼女の口の端から流れる唾液を舐めあげ、下へ這わせた指は大事な部分を避けぬるぬると愛液を絡ませながら、がくがくと震える内腿や敏感な箇所の周辺部にそれを塗り込んでいく。  
ぴちゃぴちゃにちゃにちゃという淫らな音に耳まで犯され、メイコは俺の首に両手を回して縋り付いたまま、涙を流してのたうちまわった。  
可愛い。可愛い可愛い可愛い。  
何度となく身体を重ね、すっかり調教を施され開発されているというのに、なにも覚えてない初心で極端に恥ずかしがりの中身が「それ」についていっていない。  
先程からどうしようもないほどの快楽にすっかり蕩かされつつ、恐怖のようなものも感じて戸惑い、涙を流し、羞恥に身をよじり、俺にしがみつく。  
「…参ったな、調教やり直さないと」  
「……ふぁ…あ」  
ちっとも困ってない風に舌なめずりし、メイコの脚を大きく割り開く。  
「や…っ」  
「ほーらまたそれ。なにがヤなんだよ。  
意見は聞くから、言いたいことがあるならちゃんと言え?」  
俺に見られて震える蜜壺からこぷんと蜜が溢れ出す。  
もうこんなになってるのに何を意地はってるんだか。  
「だ…て、恥ずかし……です、から…っ」  
「何を今更。俺らもう何回ヤってると思ってんだよ。  
指と口でメイコに触れてない場所とか、見てない場所とかもうないぞ?」  
卑猥な言葉に更に泣きそうになりつつ、メイコは俺に問われて仕方なく口を開く。  
「それにマス…た、言ってたじゃない…です…か…、ひっく」  
 
『あー俺さー、慎みのない女は嫌いだねー。  
そりゃこういうのってすごくグッとくるけどさあ。  
でも過剰にエロいのとかやらしいのとか色気とかっての?あんまりノリノリだとそれはそれで逆に萎えるよな』  
 
前に俺がそう言ってた、らしい。って、え?  
「だから…だから…うっく、私……」  
大きく息を乱しながらぽろぽろと涙をこぼす。  
「わた、し、こ…んな、やらし…、ますたーに」  
消え入るような声で『きらわれます』というのが聞こえた気がして、どーんと一気に血が集まった。どことは言わんが。  
 
確かに俺そんなこと言った。きわどい袋とじグラビア見てたのをメイコにバレたとき咄嗟に言った。  
わざわざ切って見てた以上、そりゃ当然そういうの好きなんだってのはごまかせないけど、でもそれは男の性というかなんというか。けど俺が好きなのはメイコみたいなタイプだもん。いやむしろメイコだし。  
こういうのがマスター好きなんですか?なんて、じとっと聞かれて、そりゃもう必死に弁解がましく言ったんだっけなあ。  
「それ、気にしてたのかよ…」  
純粋な内面とエロい身体、ってなにそれ、それなんて究極兵器だよ。少なくとも対俺には最終兵器だろ。  
「あ!ああぁあぁあ…!」  
堪らなくなって秘唇にキスをすると、メイコの背がきれいにぴーんと伸びた。  
俺も正直限界きてるけど……でもダメ、まだいかせられない。  
今後のプレイに向けて、ここはマスターとしてきっちりさせておかないといけない。  
「…メイコ…我慢、できないか…?も、正直に言って、いいから…」  
尖らせた舌で決定的な刺激にならない程度に陰核を舐り、へそからそそり立つ乳首までゆっくりと這わせ…メイコの理性を蕩かせていく。  
最後にちゅっと唇にキスして囁きかけると、メイコは口をパクパクさせながら何度も頷いた。  
「ますたぁ…!」  
再びメイコは俺の首に力の入らない両手を回してしがみつく。  
これはもう、酒の力とか関係のない、「いつものメイコ」が陥落した瞬間であり、その彼女からの甘い愛情表現だと思って間違いないと思う。そう思うとこっちの脳もぐにゃぐにゃにとろけそうだ。  
「ん…。ほら、どうした?」  
「……ぇ……?」  
「いつもみたいに、ちゃんと言ってくれないと。わかんないだろ?」  
めっ、と人差し指をメイコの口にあてがい注意する。  
本当に記憶にないのか、真剣になんのことだかわからない様子のメイコに、俺は耳元に口を当てできる限りのエロイ声(だと思う)で教えてやった。  
「いつもだったら、―――――――で――――――な感じで、っておねだりしてくるだろ…?」  
「ひ…ぇ…!?」  
メイコはひゅっと息をのみ、これ以上ないほど赤くなりながらブンブンと頭を振った。  
「え、い、い…いつも、そんなこと、言ってたん、ですか…?」  
「ああ、いっつも」  
 
酒に酔ってはいても自分自身――まさかそんなにハメをはずしていただなんて思いもよらなかった。  
しかもそんな卑猥なことを毎度…と思うとメイコは羞恥のあまり頓死しそうになった。  
「して、とか気持ちいい気持ちいい、とか大好き、とか嬉しいこと言ってくれるよな?…もうナシ?」  
「――――!」  
俺、今絶対人の悪い笑い顔してると思う。  
でも、これは最終調整。いや、むしろ初期調教。とっても大事なことだからな。  
「メイコ……」  
ゆる…と片足を持ち上げ、柔らかい内腿に俺の熱くそそり立ったものを押しつけた。  
「あっ」  
ある意味処女に等しい今のメイコだが…身体はしっかりと覚えている。  
どうすれば、どうなって、なにが、自分のどこをどうしてしまうのか…………  
「あ、あっ……ふぁ」  
恥ずかしい。恥ずかしくて死んでしまいそうだ。でも苦しい。  
欲しい。欲しい……――――  
 
「――――俺のこと、欲しいって言って」  
 
それは、命令のようであり、願い。  
細めた熱っぽい目で見つめられ、耳元でとどめの言葉を甘く囁かれ……メイコの何かがぷつんと切れた。  
「あ、んぅ……、ます、た…だいすき…ぃ」  
きゅーっとしがみつき、ぷるぷるっと震え涙が散る。  
「くださ……欲し…です…っ。おなかのナカ、いっぱ、可愛がって…くださ……い…っ!」  
抱きしめられた腕から伝わるように、俺の身体もぶるっと震えた。  
「………ん…、いつもより文面は短い、けど…」  
ダメ出しをしつつ眉が下がる。いや、笑う余裕もないかもしれない。  
「ちゃんと言えたから合格……」  
めちゃめちゃ可愛いから全然許す。という言葉を必死に飲み込みがてら、メイコに口づけた。  
「んん…ん…っ……!」  
間接照明が作る2人の影が更に重なり……次の瞬間粘着質な音が濃密な空気の部屋に響いた。  
「んく……っ……!あ!ふあああぁあぁあああ!!!」  
 
 
「ん…が……」  
柔らかな感触にふと目を覚ます。  
頬にあたる日の光の感触、そして肩に触れる滑らかな感触。  
「―――起こしちゃいましたか?」  
「メイコ…」  
ちょうどはだけた俺の肩にシーツをかけてくれようとしていたところらしい。  
時間を見ると午前6時。アレから何時間も経ってはいない。  
「いつも」のメイコなら昏々と昼近くまで眠っているところだが、酒が入っていない分目覚めはいいのだろうか。  
「お前…まさか、寝てない、とか…?」  
目ボケ眼でメイコの前髪に手を伸ばすと、ぴしゃっと軽くはたき落とされた。  
「そんなわけないじゃないですか」  
紅潮した頬を膨らますメイコに、ああ…そっか、とマヌケな返事を返す。  
あー、そうだ、何度も何度も何度も何度もやって最後気絶させちゃったんだったな、そういえば。  
「…お仕事ですから、あと少ししたら起きなきゃだめですよ」  
ぷいっと背中を向けたメイコに俺はちょっと焦った。  
「なあ……怒ってるのか?」  
後ろから華奢な身体を抱きすくめ、甘えるように肩に顔を埋める。  
「…怒るような、人にやっちゃいけないようなことをやったんですか?マスター」  
「イイエ」  
100%胸を張れることかといわれると怪しいことは否めないが…でも、愛ある行為だったと思ってるぞ。俺は。悪ノリ部分もあったかな?というのも否めないけども。うん。  
「…覚えてるんだ、メイコ」  
「都合良く、忘れるはずもないじゃないですか…っ」  
身じろぎながら自分の身を縛める俺の腕をぽかぽかと叩く。  
でも赤く染まったメイコのうなじと耳たぶに、俺はにやついてしまって仕方がなかった。  
「そっかー、覚えてるか」  
嬉しい。今の時間の共有が、すげえ嬉しい。  
なに笑ってるんですか、と怒ってきたが、俺があまりにも嬉しそうにしているのでメイコも吊り上げていた眉をふにゃりと下げた。  
「もう…」  
「メイコ、可愛い」  
「もー!」  
メイコの頬にキスすると、頬を膨らませつつも観念したように身を反転し…俺にきゅっとしがみついた。  
怒ってるんじゃなく、照れてしまっててどうしようもないらしい。  
「…マスター」  
「んー?」  
「…………私……その、いつも、本当にあんなこと…してたん、ですか?」  
伏せたままの顔を俺の胸に埋め、たどたどしく問いかける。  
 
「どんなこと?」  
「だから…っ」  
おおよそわかっているけどとぼけて先を促す。  
「お、おねだりとか、上に乗って…とか、く、口であれ…とか…」  
声が詰まり後半涙声になってくるメイコの頭を慌ててよしよしとなでてやった。  
「いつもはやってくれたこと」を口実にそりゃあもう昨夜は調子に乗っていろいろさせた。ごめんメイコ、ちょっと大げさに言ったこともあるし反省してる。でも後悔はしていない。  
「うん本当」  
ビクッと震えるメイコの肩を優しく抱きしめ、安心させるように額に唇を落とす。  
「でもほら、あんだけ酔っぱらってたんだし、いつものメイコじゃないってわかってっから。  
お前酒グセ悪いだけなんだよ。うちでならいいけどよそでは絶対自重しろよ?」  
「う、うううー…」  
くしゅんくしゅんと鼻の鳴る音がし、俺の胸にじわーっとぬるい液体がこぼれていく。  
「私、もう絶対お酒呑みません…!」  
「あーあーあーあーあー、そうだなー」  
ぽんぽんと肩を叩き、柔らかなメイコの髪に頬をすり寄せる。  
泥酔メイコとのいやらしいセックスも実にイイんだけど…やっぱ今の時間の楽しさと、昨夜のような羞恥に震える実に実に実に可愛らしい痴態は素晴らしく魅力的だもんな。これから新たな調教の楽しみもあるし。  
「俺呑まないメイコの方が好みだし。好き」  
「……」  
涙をぬぐい、メイコは更に俺に強くしがみついた。  
「…ら」  
「へ?」  
「…なら、最初から、呑んだりしてなきゃよかった…」  
………  
………  
いかん、これはいかん。  
可愛い小声でそんなこと言われて、なんかまたみなぎってきた。  
「なあメイコ、今からもういっか」  
「だ、ダメですっ!」  
仕事は午前半休する、と提案して思いっきり怒られた。  
そうでなくとも日の高いうちからこういうコトをしようとすると真っ赤になってメイコは怒る。  
「じゃー朝は我慢するから、たまーには夜呑んでくれるか?」  
「なに言ってるんですか、それもダメですっ」  
さっきの話聞いてたんですか、と反論するが、やっぱあれはあれで惜しいんだよな。  
たまにはああいうのも趣向が変わっていいと思うんだけど。  
「ダメ?」  
「ダメです」  
またぷいっとそっぽを向かれてしまったが、俺は同じ要求をもう一度メイコの耳に囁いた。  
「して」  
「…っ」  
一瞬詰まった息と丸めた背中。これが彼女のお返事。  
 
「メイコ可愛い。大好き」  
結局メイコは、俺のお願いを断れない。  
 
 
 

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