「リンお姉ちゃんのおやついいなぁ…」  
「ふぇ!?…えぇっと……あー半分あげよっかーなぁ……んて」  
それは食後のおやつを頬張る、黄色い二人の会話。  
メイコとカイトはソファで談笑、ミクはファッション誌を手に  
同じリビングでそれぞれの時間を過ごしていたのだが、  
思わず耳を疑うような会話に3人は顔を合わせた。  
 
「あんた達一体どうしたの?」  
真っ先に口を開いたのはメイコだった。  
リンが大好きなおやつをレンに半分あげるなんて珍しい。  
それだけじゃない、今日は朝からずっと違和感があったのだ。  
"リンお姉ちゃん"?  
世間では双子だなんだと言われてるが、  
うちの鏡音は二人は同時に生まれたと言い張り、  
一方を姉や兄扱いする事を兄弟にも禁止させていた。  
だというのに、今日は何回"リンお姉ちゃん"という言葉を聞いただろうか。  
「何かの罰ゲームかな?」  
「違うよぅ」  
同じくずっと気になってたらしく問いかけた兄に答えたのは、  
当事者の二人ではなくミクだった。  
「年上気分を味わってるんだって」  
お兄ちゃん達は昨日仕事で居なかったから知らないけど  
昨日はレン君が"お兄ちゃん"だったんだよ、そう続けるミクに  
ソファに座る二人はさっぱりわからないという風に目を合わせる。  
読んでいた雑誌を床に置くと、ミクは更に続けた。  
「ちょっと前にCV03、ルカさんの話題で盛り上がったとき  
 リンレンは末っ子のままで残念だねって言われてたでしょ」  
―確かにそういう話はネットの至る所でされていた。  
だけど、うちのリンレンに限ってはまるで気にしてないようで  
『当たり前じゃん、うちらより年下が出るわけないし』  
『マスターの大好きなえっちな本に出したら犯罪だもんねぇ〜』  
なんて茶化していたというのに。  
 
「…あんまり周りが言うから、妹が出来るってどんな気分なんだろって  
 年上気分を味わってみようと始めた遊びなのよ…」  
やっと口を開いたリンは酷く落ち込んでいた。  
一方でおやつを一個半食べてるレンはご機嫌だ。  
ちまちまと半分になってしまったおやつを食べながら、リンはカイトの事を見た。  
「カイ兄、今までごめんね…  
 大好きなおやつを半分あげるって、こんなに辛かったんだね。」  
涙目のリンを見て思わずカイトはたじろぐ。  
今まで何度リンにお願いされてアイスを半分あげただろう。  
だけどそれはけして強制じゃなくって  
「だーいじょうぶよ、案外、下の子の言うことはかわいいもんなんだから」  
カイトの気持ちを読んだようにメイコが笑う。  
「ほんと?」  
「…はは、不思議だよね。自分の分が半分になっても  
 相手が喜んでくれるなら嬉しいんだよ」  
パッと笑顔になったリンは、にこにことした顔でレンを見つめてみた。  
同じようにとびっきりの笑顔でレンが返す。  
「やー、お姉ちゃんから貰うおやつは格別に美味しいね!」  
嫌みたっぷりでにっこり笑う"弟"を  
…やっぱこいつかわいくなぁい……そんな顔で睨む彼女に  
思わずみんな苦笑する。そりゃあいつも対等だった相手を  
いきなり下の子扱いするなんて無理だろう。  
 
「言っとくけど、昨日は俺が同じ目にあったんだからね」  
仕返しも兼ねてるから、と弁明するレンを尻目に  
リンは突然何かを思いついたように立ち上がった。  
「あ そうだ  
 マスターにお願いしてショタレンにして貰えばいーんだぁ!」  
「…は?なんでそう…」  
「マスタぁー!!おねがいがあるのー!!!」  
思いついたや否や、マスターの部屋へとダッシュするリン、  
青い顔で怒鳴りながらそれを追いかけるレン、  
ドタドタと走る音が遠くへ響いていって、やがて  
マスターの部屋を開けたのであろうドアの音が聞こえた。  
 
「まったくあの二人は…毎日が楽しそうね」  
リビングにぽつんと残された3人は思わず笑い合う。  
 
 
***** オマケ *****  
「ね、うれしい?れんきゅんの為にお姉ちゃんが  
 大好きなハンバーグつくってあげたんだよぉ〜」  
にっこにこのリンに、俯いたままのレン。  
「ほらー、食べないの?あ、食べさせてあげるね」  
ハンバーグの切れ端を無理矢理食べさせようとする  
リンに耐えかねて思わずレンが叫んだ。  
「やめてよお姉ちゃん!」  
それまで出来るだけ普通に接しようと振る舞っていた3人は、  
そのショタボイスに思わず吹き出してしまった。  
「〜〜〜!!!笑うなぁ!」  
すっかり悪ノリしたマスターにショタ声に替えられてしまったレンは  
その声だけでなく性格や容姿にまで影響が出てしまい  
身長はリンより低く、顔も少し幼くなっていた。  
どっからどうみても今の彼はカワイイ"弟"である。  
「ごはんの後はお風呂一緒にはいろうね〜♪」  
「みんな笑ってないで助けてよぉー!」  
助けを求める彼の声はむなしくも届かず  
その日の0時までリン姉の天下は続いたのだった―…  
 

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