カイメイで退廃的な小ネタ。
・後味悪め
・微エロ
・近親のつもりで書いていませんが「姉さん」呼び注意
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好きだ、とか愛してる、とか、そんな言葉なんて本当はどうでもよくて、
身体が、心の奥が相手を求めているのなら、それはすなわち恋い合っているのと同義。
だから姉さんが絞り出すような声で、こんなこと、もうやめよ?と言ってきたときも
俺は笑って疑問符を投げ返したのだ。
どうして?と。
全身の昂ぶりを凝縮したかのような熱を吐き出し、例えようもない疲労と満足感を覚える。
この激しい刹那の時間を共有した彼女がたまらなく愛しく思えて、
緩む頬を抑えきれず、その名前を呼び肩に手を伸ばした。
俺の指先が触れた瞬間、荒い息をしながら白い腹を晒していた姉さんは、身を捩り肘をついて俺から距離を取る。
怯えきった表情は今までずっと浮かべていたものだったのだろうか。
身を震わせながら、俺との行為を否定するような言葉を零しても、
不思議と嫌われたという認識はまったくなかった。
それよりも、その仕草が、声が、表情が、ぞくりと背骨に快感を走らせる。
俺の下に組み敷いていた彼女の腕を掴み、ぐいっと起き上がらせ、耳元で囁いてやった。
「俺にこんなことを教えたのは姉さんだよね?今更何を言ってるの」
仕事が来ない、売れない、ずっと家に篭ったまま鬱屈した日々を送る俺を横目に、
肩身の狭い思いで仕事に行っていた姉さんが、俺の下腹部に口をつけたのはたった一回。
しかし、自己処理の仕方など知りもしなかった俺には強烈な刺激だった。
現実逃避の悦びを覚えた俺は、やがて一番満たされる方法を知り、手に入れた。
それが姉さんの身体を暴き、胎内に直接欲望をぶちまけること。
隙あらば仕事から帰宅したばかりの姉さんを寝室に引きずり込み、
無理やり衣服を剥ぎ取って、泣き叫ぶ声を無視して何度も犯した。
からっぽの心が少し満たされた気がした。
それは一眠りして次の日の朝日が昇る頃には、独りきりの部屋で
また手の甲に爪を立て始める程度の、短い満足感でしかなかったが。
そんな日々をどれくらい繰り返しているだろうか。
俺が眠っている間に腕の中から抜け出す姉さんは、いつも何事もなかったように笑って朝食を準備してくれる。
前夜のひと時が夢であったかのように。
それが癪に障って、一層手酷く扱ったあと、当てつけの様に
首筋に、二の腕に、胸元に、目に見える形で付けた独占欲の紅い印を,
さらしたまま尚、彼女は「おはよう、カイト」と微笑むのだ。
寒い季節だからと服を着込んで仕事に出かける姉さんの首元は他人には見えない。
毎晩の情交が幻であったかのように。
そんな姉さんが俺に逆らうなんて初めてのことだった。
太ももを掴み、足を広げさせ、暴れる彼女の頬を一発張って大人しくさせる。
力が入って狭苦しいそこに、先ほどの残滓を頼りに無理やりねじ込んだ。
二、三度腰を動かして、抜けてしまわないことを確認し、仰向けになった上に座らせる。
両の手首を掴み拘束したまま、自重に任せて奥まで貫ぬこうと腰を揺らした。
苦しそうに喘ぐその姿さえも可愛らしく、満足してくすぶっていたはずの欲情がかき立てられる。
「ぅ…や……っ!く、るし……」
「まだ奥まで入るはずだよ」
「だ、め…ぇ……もうむ、り…っ!」
「そんなはずないさ。姉さんのここは俺のを受け入れるためにできてるんだ。
一番いいところに収まるはずだけど?」
彼女は俺だけのものだ。他の男になんか汚されてたまるか。
見えない敵に闘志を燃やすかのごとく、彼女の手首を引き、一気に突き上げた。
ひぐっと喉を引き攣らせた姉さんの身体は強張り、
見開いた眼からは涙と、半開きの口の端からは唾液がつうっと顎を伝った。
「拒まれる理由が分からないな。姉さんは俺のこと嫌いじゃない。だから“あんなこと”してくれた。
明るく振舞ってるのも、忘れたいからじゃなくて忘れた振りをしてるんだ」
姉さんが俺に向けている愛情は本物だ。でなきゃ俺が大人しくしているときだとしても普通に接してくれるわけがない。
何度合意の上でない行為を強要しても、それでボロボロになったとしても、
翌日にはきちんと家事をして仕事に出かけていき、寄り道もせず真っ直ぐ帰ってくる。
俺にその身を食い荒らされるのが分かっているのに。
それはすなわち。
「だって姉さんは俺に抱かれるのが好きなんでしょ?」
虚ろだった姉さんの目の焦点が、俺のそれとかち合った。
何か言いた気に唇を開き、ふるふると首を横に振る。
俺はその細い顎を指先で掴み、にぃっと笑って見せた。
どんなに乱暴に扱っても、彼女の身体は俺を受け入れ、とろとろに秘部を濡らし、
俺が満足するタイミングで絶頂を迎える。
今もその胎内は俺自身を温かく包み込み、どちらかが身じろぎをする度に
適度な圧を与え、心地よい内壁を擦り付けてきている。
「この部屋には俺と姉さんしかいない。これからもずっと二人きりなんだから、
いっそのこと、一つになってしまえばいいじゃないか」
俺は暗示をかけるように、一言一句を噛み締めるように囁いた。
混じって交わってまぐわいあって、一つになって融けてしまえばいい。
そうすれば離れることもないし、同じになれるよね。愛してるなんて生ぬるい言葉は、いらない。
姉さんの零した涙は俺の指を生ぬるく伝い、すぐに軌跡を冷やしていく。
部屋に響く二人の呼吸に混じって、繋がった部分が、ぐちゅりと嬉しそうに応えてきた。
姉さん、めいこ、メイコ。俺のものだ。俺だけのもの。
そしてもうすぐ俺と同義になるもの。
神様なんてものがもし本当にいるのならば、どうか、俺とメイコが一つになったあと、
地獄に落としてもらいたいと切に願う。
せめて抜け殻になった彼女の身体だけは天国に送ってほしい。
夜はまだ長い。これからまた、充分愉しめるほどに。 (END)