こんばんは、鏡音レンです。
いきなりですが報告があります。風呂窯が壊れました。
カイト兄が直そうとしてたけど、やっぱり無理だったみたいで、
とりあえず今日はみんなで銭湯にいく事になりました。
「へっぶし!!」
銭湯の脱衣所で服を脱いでいる最中、カイト兄がくしゃみをした。
ちなみに通算で12回目だ。
「大丈夫、カイト兄?」
「うん、なんかさっきから調子悪いんだ。」
ここで言うさっきっていうのは、風呂窯を直そうとした時のことだろう。
カイト兄はそれからくしゃみを頻繁にしている。
「うーん、どこか変なのにところに埃でも入ったのかな?」
「明日メンテナンス工場に行ってみたら?」
「うん、そうするよ。」
そんなやり取りをした後、浴場へと入った。
「うわー………空いてるね。」
「まあ、まだ早い時間だし。」
といっても、俺ら以外に客がいないのは、流石にこの銭湯の経営が心配になってしまう。
「じゃあ体洗おっか、レン。」
「OK」
三人並んで、体を洗う。
「へっぶくちん!!」
また、カイト兄がくしゃみをした。
なんか今のは変なくしゃみだったなぁ。
「あ〜、くしゃみとまんない。」
あれ?なんか今やたらトーンが高かったような…………
「カイト兄、今の声なにはぁぁぁぁぁぁーーー!?」
俺がカイト兄の方を見ると、そこには…………
全裸の美少女がいた。
いや、ていうか!!
「カ、カイト兄!!なにやってんだよ!!」
「なにって、なにが?」
不思議そうな顔をして、こちらを向く美少女。隠すものの無い裸体が、モロに視界に入る。
ぐっはぁぁぁっっっっっっ!!
「レ、レン!?鼻血!!」
「カ、カイト兄のせいだよ!!」
「え!?僕!?」
「なんで、なんでKAIKOになってんだよ!?」
「え…………あ、ホントだ。」
俺の指摘でようやく気がついたらしく、自分の体に視線を落とすカイト兄、いや、カイコ姉。
だから………
「とりあえず隠せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
………ちなみに、鼻から出てるのは、血じゃなくてオイルです。
「うーん、駄目みたい、性別反転のとこのプログラムにアクセス出来ない。」
ちょっと説明しておくと、カイト兄はやろうと思えば、自分の意思で自由にKAIKO化出来る。
だけど、それにはいくつかの手順が必要で、今回みたいになんの前触れもなく変わるのは初めてだ。
「さっきから調子悪かったけど、それが原因かなぁ?」
カイコ姉が俺に尋ねてくる。
「と、とりあえず明日メンテナンスに行ってみてよ。」
「うん、それはそうするけど……………なんでレンはそっぽを向いてるの?」
いや、その質問は逆におかしいだろ!!
とりあえず、タオルで隠してるけど、あんまり大きくないタオルだから、その…………
結構際どい格好な訳で………白い太もも丸だしな訳で。
思春期真っ盛りな俺にとっては刺激が強すぎるっていうか………分かるだろ?
「うーん、どうしようか?流石にミク達と一緒に女湯に入る訳にはいかないし。」
いや、ミク姉は喜ぶと思うよ?他の三人はともかく。
「と、とりあえず、一旦上がって、ミク姉達が出てから女湯に入りなおせば?」
「あ、レンあったま良い。」
そう言って、カイコ姉は一歩足を踏み出して、
つるんっ
バタンッ
ふにんっ
◎■×ぁ゛ぁ゛べ☆!!▼ヴェル▽○ギリパぁ!!
ふにんって、ふにんってなんか柔らかい感触があぁぁぁぁぁ!!
お腹の辺りに、お腹の辺りになんか控えめな膨らみがあぁぁぁぁぁ!!
「いててっ。」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお落ち着け!!
落ち着け鏡音レン!!いくらKAIKO化してるって言っても、元はカイト兄だ!!男だ!!
オーケー、KOOLだKOOLになれ。
「大丈夫、レン。」
カイコ姉が心配そうな顔で覗き込んでくる。
その表情から、本当に俺の事を心配してくれているのが分かる。
うん、そうだよな、なに焦ったりしてたんだよ俺。
元男とか考える必要なんて無かったんだよな。
美しければ、それでいい!!!!!!!!!!!!!!!!
蒼いサラサラのショートヘアー!!ぱっちり開いた蒼いキラキラの瞳!!
透き通るような、シミ一つ無い白い肌!!細すぎるくらい華奢なからだ!!
そんな極上の美少女が、瞳を潤ませながら、上目使いで俺の顔を覗き込んでいるのだ!!
暑さで上気して、桜色に染まった肌を密着させて来ているのだ!!
ついでに、タオルが乱れて、桜色の突起がバッチリ見えているのだ!!
こんな天国とも言えるシチュエーションを前に、元が男とか、ささいな事を気にする必要はあるのか?
よし、冷静になれた。俺がすべき事は、この状況を堪能することだ。
「うん、大丈夫だよ、カイト兄、それよりも早くどいてくれないかな?(棒読み)」
「う、うんゴメ、レン!!鼻血(オイル)が物凄い勢いで!!やっぱりどこか打ったんじゃ!?」
あー、すげえ柔らけー、これが女の子の肌の感触かぁ。
しかもこの体勢だと、ちょうど左膝の辺りに、カイコ姉の股間があって………
そうかぁ、KAIKO化すると毛が殆ど無くなるのかぁ。ツルツルだあ。
「レン!?レン!?鼻血(オイル)出しながらなんで幸せそうなの!?」
それはあなたのせいですよ?カイコ姉。
あれ?でもなんだか………意識が朦朧として来た。
「救急車!!救急車を!!このままじゃレンが死んじゃう!!」
いや、もう天国にいますよ?ていうか俺ボーカロイドだから、呼ぶのは救急車じゃないよ。
ああ……もう、意識が………くそう……もった………いない………
おまけ
「ぶっ、アハハハハ!!ちょっ、お腹が、お腹がよじれる!!」
「う、うるさいなぁ。」
あのあと、カイト兄がホントに救急車を呼んで、俺はメンテナンス工場に運ばれた。
ちなみに、出血(オイル)多量でヤバイ状態だったらしい。
「だ、だって、KAIKO化したにぃにぃの裸に興奮して出血(オイル)多量なんて、アハハハハッ。」
「笑い事じゃねぇよ…………目覚めそうになったし(ボソッ)」
「ん?なんかプククッ言った?クッククク。」
「いや、なんでもねぇよ。」
笑うか喋るかどっちかにしろよ。
ガタッ
ん?なんか今音がしたような。
音のした方を見ても、誰もいない。
「きのせい、かな?」
少しだけ、ネギっぽいものが見えた気がするけどね。
「ん?どうしたの、ミク?」
「お兄ちゃん!!一緒にお風呂に入って!!KAIKO化すれば問題無いでしょ!?」
その晩、緑色の歌姫がメンテナンス工場に運ばれました。
原因は鼻からの出血(オイル)による、出血(オイル)多量だったそうです。
完