〜Side MEIKO〜  
最近、ミクの様子がおかしい。  
はっきり言って、無理して笑ってるのがバレバレだ。  
とても辛そうに、今にも泣き出しそうな顔で、笑ってる。  
あの娘は素直な娘だから、そういう隠し事は下手なのだ。  
当然、あいつも気がついているはず。  
私が気づいているのに、あいつが気づかないはずがない。  
でも、あいつはまるで気がついて無いかのように、いつも通り笑っている。  
気に食わない。ミクが1番懐いてるあいつが、ミクの事1番理解してるあいつが、  
ミクの事を1番可愛がってるあいつが、そんな態度を取ってる事が気に食わない。  
こうなったら、あいつに一言ガツンと言ってやる。  
場合によっては………  
「一発ぶん殴る!!」  
それが私のやり方だ。  
 
 
〜Side リン・レン〜  
「レン、どう思う?」  
「どう思うもなにも、見ての通りだろ?」  
「ミク姉、わかりやすいからねぇ。」  
「で、原因はなんだと思う?」  
「原因なんて、一人しかいないんじゃない?」  
「まあ、そっちに関しては、俺らがどうこうすべきじゃないな、  
メイコ姉さんがなんかやらかしそうだから。」  
「じゃあ、私達の担当はやっぱりミク姉かな?」  
「だな、はぁ〜めんどくさいなぁ。」  
 
 
〜Side KAITO〜  
あの日から、数日が経った。  
マスターの曲は、まだ完成していない。  
「カイト、ちょっといい?」  
「ん、なに、メイコ?」  
その日、曲の事でマスターの相談に乗った後、自分のフォルダに戻ったら、  
メイコが待ち構えていた。どうしたんだろうか、睨むように俺の方を見ている。  
「メイコが俺の所に来るなんて珍しいね。」  
「いいでしょ、最近はミクも来てない訳だし。」  
「………」  
なるほど、ミク絡みの話か。  
「ねえ、あんた。ミクの様子が最近おかしい事には気づいてるわよね?」  
メイコ、気づいてたんだな。  
「ん、まあ、ね。」  
そう、曖昧に答える。メイコの視線が、更に鋭くなった。  
「っ!!  
あんたはっ………」  
メイコは、なにかを言おうとしたが、寸前の所でその言葉を飲み込む。  
そして、少しの間を置いてから、また口を開く。  
「あんたなら原因、分かるでしょ?どうにかしなさいよ。」  
「………わかんないよ。」  
一瞬、言葉を詰まらせそうになったが、どうにか自然体を装い、応える。  
「メイコは心当たり無いの?」  
「無いわよ、だからこうしてあんたに聞きに来てるんじゃない。」  
「それもそうか。」  
白々しい、とは思う。  
分かっていながら、こんな会話をしているのだ。  
でも、これはつかなきゃいけない嘘だ。大丈夫、仮面を被る事には慣れている。  
「………あんたさ、なんでいつも通りなの?」  
「質問の意味が分からないんだけど?」  
本当に意味が分からない、なんで突然そんな事を言い出すんだ?  
「だから!!ミクの様子がおかしいのに、なんでなにもしようとしないのよ!!」  
ああ、そういう意味か。  
「とは言っても、原因が分からなきゃどうしようもないだろ?」  
「あんたになら、ミクだって原因話してくれるかもしれないじゃないの!!」  
なんでだよ、なんでメイコはそんなに俺にこだわるんだよ。  
どうしてミクの事、俺にばっかり押し付けるんだよ。  
胸の奥がチリチリする、苛立ってるのが分かる。  
ほっといてくれよ、そんな簡単なことじゃないんだよ。  
我慢しろ、抑えろよ、俺。それは言っちゃいけない言葉だ。  
「……それは、俺がしなくちゃいけないこと?」  
………仮面に、ひびが入る音が、聞こえた気がした。  
 
 
〜Side ミク〜  
「ふう。」  
今日、何回目か分からないため息をつく。  
ため息の原因はわかりきっている、お兄ちゃんの事だ。  
あの時、なんであんな事をしてしまったんだろう。  
なんで、耐えられなかったんだろう。  
妹として傍にいられるだけで満足だった筈なのに、私は更に深い絆を欲した。  
結果、妹として傍にいることさえ難しくなった。  
お兄ちゃんの態度が変わった訳じゃない、私が辛いんだ、傍にいることが、  
今まで通り笑いかけられる事が。  
後悔している、戸惑っている。  
でももう遅い、すべては起こってしまった後だから。  
「ふう。」  
もう一度ため息をつく、ため息を一つつく度に、幸せが逃げるなんて言うけど、  
全く幸せを感じられていないなら、ため息はどういう意味を持つのだろう?  
「ミク姉〜、遊ぼ〜ぜ〜。」  
そんな事を考えていると、珍しくリンちゃんとレンくんが遊びに来た。  
「えっと、今は」  
「いいから、いいから。」  
私の言葉を遮って、リンちゃんが強引に手をとる。  
ホントはそんな気分じゃ無かったんだけど、まあ、いいかな?  
 
 
〜Side MEIKO〜  
メゴッ!!  
ぶん殴った。カイトの右頬を、思いっきり。  
コイツは!!  
「あんた!!それ本気で言ってんじゃ無いでしょうね!?」  
よりにもよってだ!!  
ミクのこと、コイツ以外の誰に任せられるっていうのか!!  
「メイコ、痛いよ。」  
そう言いながら、カイトは怒るでもなく、ただ微笑む。  
イライラした、私はコイツの微笑み以外の表情を見たことが無い。  
いつでも、なにされても、ただヘラヘラ笑っている。  
まるで仮面でも付けているみたいに。  
もういい、これが最初で最後だ、それで駄目なら私は、もう諦める。  
肩の力を抜く、気分を静める。  
この馬鹿に言うべき言葉、それは一つだけだ。  
同じ笑顔でも………  
「あんた、ミクといる時は、ホントに楽しそうに笑ってたじゃない……」  
 
 
〜Side ミク〜  
か、勝てない………  
ババ抜き、七並べ、真剣衰弱、ポーカー、………  
いろいろやったけど、一勝も出来ない………  
私、なんでこんなに弱いんだろう………  
「ミク姉………弱っ。」  
「流石にこれは………」  
リンちゃんとレンくんが、憐れみの視線を向けてくる。  
うう、いたたまれない……  
落胆しながら、カードを一枚引く。  
「あ。」  
リンちゃんから引いたカードは、ハートのA。  
スペードのAと合うから………  
「やった!!」  
初めて勝てた!!嬉しい!!  
「……ミク姉、やっと笑ってくれた。」  
「ああ。」  
リンちゃん達が、ぽつりと呟いた。  
「え?」  
キョトンとしている私に構わず、レンくんが続ける。  
「ミク姉、最近なんか無理して笑ってるように見えたからさ。」  
「どうにか本気で笑ってもらえないかなって。」  
え?つまり……  
「強引に遊びに誘ったのは、私の為?」  
「うん。」  
えっと、じゃあ……  
「私がずっと勝てなかったのも」  
「「いや、それはミク姉が純粋に弱かっただけ。」」  
ハモらなくても………  
「とにかく、にぃにぃと何があったのかは知らないけど、  
いつまでも悩んでるミク姉なんてミク姉らしくないよ。」  
「な、なんでお兄ちゃんが出てくるの!?」  
ず、図星だけど。  
「いや、みんな気づいてたよ、ミク姉がカイト兄の事好きだって。」  
「ついでに言うと、ミク姉が悩むなんて、にぃにぃのことぐらいだってのも。」  
そ、そんな、隠してきたつもりだったのに………  
「だからさ、ミク姉単純なんだから、悩むのなんてらしくないよ。」  
「うん、自分の気持ちに素直な方が、ミク姉らしい。」  
自分の気持ちに、素直に………  
「私の、気持ち………」  
テーブルの上を見る。  
1番上に並んでいるのは、スペードとハートのA。  
 
 
〜Side KAITO〜  
メイコの言葉が、胸に突き刺さる。  
楽しそうに笑ってた?俺が?  
オレガワラウノハマスターノタメダヨ?  
「ホントはもっとぶん殴ってやりたいけど、一発って決めてたから。」  
そう言って、背中を向けるメイコ。  
その背中に、声をかける。  
「メイコ。」  
「なによ?」  
メイコは振り返らない。それでも俺は、続ける。  
「殴られた理由、皆には、適当にごまかしといてくれよ……」  
「意味ないと思うわよ?」  
いいんだよ、だってミクに……  
「マスターに余計な心配かけたく無いんだよ。」  
「………」  
メイコはなにも答えなかった。  
なにも答えず、振り返りもせず、そのまま行ってしまった。  
「いてて…」  
なんで俺は………殴られた頬じゃなく、胸をおさえているんだろう………  
 
 
〜Side マスター〜  
もうすぐ曲が完成する。  
でも、なんだか物足りない。  
出来はいいと思う。けど、なにかが足りない。  
ミクとKAITOに歌って貰う歌。特に、今回のは妥協したくない。  
ミクとKAITO………ミク。  
そういえば、最近ミクの様子が少しおかしいように思える。  
何となく、無理してるように見える。  
なんでだろう?  
ミクが楽しそうじゃないと、私もあんまり楽しくない。  
だって私はあの二人が大好きだから、仲良く寄り添う二人が大好きだから。  
……………  
ああ、そうか。この曲に足りないモノ。  
「よし。」  
多分この曲は、今までで最高の出来になる。  
 
 
〜Side ミク〜  
マスターの曲が完成しました。  
今、私とお兄ちゃんが呼ばれて、歌う準備をしています。  
「ミク、KAITO、準備はいい?」  
「「OKです、マスター。」」  
ごめんなさいマスター、この歌に、私の思いを込めます。  
マスターの歌を利用させて貰います、だからごめんなさい。  
スカートのポケットの中には、それぞれ一枚づつのトランプ。  
スペードとハートのA。  
曲が流れ始める、歌が始まる。  
この歌に、想いをのせる。  
あの時みたいに、お兄ちゃんの傷を利用する、ズルイ方法じゃなくて。  
お兄ちゃんはマスターの事が好きだとか、そんな事は関係なくて。  
ただただ純粋に、ただただ単純に、私の気持ちをぶつける。真正面から。  
悩んでも、傷付いても、それでも変わらない、たった一つの想い。  
 
 
 
お兄ちゃんが、好きです。  
 
 
〜Side KAITO〜  
歌詞から、曲調から、伝わってくる、マスターの気持ち。  
幸せだと、嬉しい、と。  
理解、した気がする。  
ボーカロイドと人間だとか、諦めるきれなかった事とか、そんな複雑な事はどうでもいい事だった。  
ただ、失恋しただけ。マスターの隣に立つ相手として、選ばれなかっただけ。  
それだけのこと。  
そして、もう一つ、伝わってくること。  
マスターは、なんで仲のいい俺とミクを見て笑うのか。  
それもやっぱり、単純な事だった。  
俺がマスターの笑顔を望んだように、マスターも望んでいたんだ。  
俺とミクに、幸せになって欲しいと、大好きな二人に、笑っていて欲しいと。  
 
『あんた、ミクといる時は、ホントに楽しそうに笑ってたじゃない……』  
 
メイコに殴られた頬が、今更痛みだす。  
メイコに言われた言葉を、思い出す。  
そして、自分の心に問いかける。  
 
ミクのこと、好きかい?  
 
 
 
仮面はもう、必要無い。  
 
 
〜Side リン、レン〜  
「今回のマスターの曲、いい曲だったね。」  
「………ああ、いい曲だったな。」  
「なに?なんか気になる事でもあるの?」  
「いや、あれだよ、上手くいったのかなぁ〜って。」  
「ああ、そのこと。  
ダイジョブじゃない?」  
「いやに簡単に言うなぁ。」  
「だって、いい歌だったじゃん。」  
「………そっか、それもそうだな。」  
 
 
〜Side KAITO〜  
「お兄ちゃん、まだ起きてる?」  
夜、マスターが寝る時間より一時間程過ぎた頃、ミクが俺の所に尋ねてきた。  
「ミク、まだスリープモードに入って無かったんだ。」  
「お兄ちゃんこそ……」  
まあ、ミクが訪ねてくるって分かってたから、起きてたんだけどね。  
そして、その用件も。  
「お兄ちゃん、あのね」  
「ミク。」  
ミクの言葉を遮る。  
ミクはなにかを言いかけたように、口を動かしていたが、構わず続ける。  
「俺は、マスターが好きだったよ。」  
多分ミクも気づいていたこと。  
「だけど、失恋したんだ。」  
いろいろ思う事はあるけど、今必要な事実はそれだけ。  
「悩んだり傷付いたりしたけど、今日の歌でふっ切れたよ。」  
ミクはまだキョトンとしている。  
もう一度、自分の心に問いかける。  
 
ミクのこと、好きかい?  
 
 
ああ、好きだよ。  
 
 
〜Side ミク〜  
「マスターと比べるとかは出来ないけど、ミクのこと、好きだよ、  
妹としても、女の子としても。」  
その言葉をきっかけに、止まっていた思考がまわりだす。  
お兄ちゃんが、私の事、好きって。  
「ミクの気持ち、伝わってきたよ、歌を通じて。」  
届いたんだ、私の気持ち。  
お兄ちゃんが、近づいてくる。  
「失恋してすぐにこんな事言うような、現金な俺だけど、それでも好きでいてくれる?」  
お兄ちゃんが、すぐ近くまで来た。  
そんなの、答えは決まっている。  
 
チュッ  
 
返事をする代わりに、不意打ちでキスをした。  
「ミ、ミク。」  
唇を放すと、真っ赤になったお兄ちゃんの顔が、至近距離にあった。  
「大好き、お兄ちゃん。」  
お兄ちゃんの背中に手を回し、その蒼い瞳を見つめて、囁く。  
お兄ちゃんは更に顔を真っ赤にして、  
チュッ  
そして、今度はお兄ちゃんの方から不意打ちのキス。  
「お兄ちゃん、顔真っ赤。」  
チュッ  
「ミクこそ。」  
チュッ  
私から、お兄ちゃんから、交互に何度もキスをする。  
キスするたび、互いの体はより密着し、唇が接触している時間も長くなる。  
「チュッ……お兄ちゃん…チュッ…………大好き。」  
「ミク、チュッ…………俺もだよ、チュッ……………」  
駄目だ、唇だけじゃ物足りない。もっとお兄ちゃんと繋がりたい。  
そんな感情に動かされ、重ねた唇に、舌を潜りこませようとする。  
だけど、  
「ミク、駄目だよ。」  
お兄ちゃんがそれを拒んだ。  
「どうして?」  
不満顔でお兄ちゃんを見つめる。  
「まだ、早いよ。  
俺はミクのこと、大事にしたいんだ。」  
 
お兄ちゃんの表情は真剣で、本気で私の事を想って言ってくれているのが分かる。  
「不安………なの。」  
お兄ちゃんは嘘つきだから。  
「また、仮面を被ってるんじゃ無いかって……」  
本当は、信じたい。お兄ちゃんの言葉を。  
でも、信じきれない。私は弱いから。  
「だから、証明して欲しいの。」  
体を繋げる事で、深く愛し合う事で。  
「ミク………」  
お兄ちゃんの顔が近づいてくる。  
そして……  
 
チュ  
 
今まで以上に、深いキス。  
抱きしめる腕に、力を込めて、舌を絡ませ、唾液を交換して。  
(……お兄ちゃん)  
愛して、下さい。  
 
 
〜Side KAITO〜  
ミクの体を、ベッドに押し倒す。  
ミクが不安だと言うなのら、俺の事、信じられないと言うなのら、  
証明しよう、ミクを愛する事で。証明し続けよう、裏切らない事で。  
信じてくれなくても構わない、嘘を付きつづけた俺が悪いのだから。  
ただ、俺の方からは絶対に裏切らない、それだけで、愛しあうには十分だ。  
ミクの慎ましいふくらみに手を伸ばす。  
「んっ……お兄ちゃん……」  
ミクのそこは感度がいいらしく、服の上から触れただけで、甘い吐息を漏らす。  
「ミク、怖い?」  
俺の問いに、ミクは頬を赤らめながら首を横に振る。  
「よかった。」  
呟くとともに、優しく揉む。  
「ん、んぁぁ………はぁ……ん」  
少しづつ、力を強めて、時折変化を付けて、揉みつづける。  
そのたび、ミクの吐息には、甘いモノが混じる。  
「お兄ちゃ……気持ち……んん」  
しばらく服越しに揉み続けた後、ミクの耳元で囁く。  
「服、脱がしていい?」  
ミクが、コクコクと頷く。  
俺はミクのネクタイを緩め、上着のジッパーを下ろす。  
ってあれ?  
「ミク、ブラしてない?」  
ミクが顔を更に赤くして、視線を反らす。  
「だって、この服だと、ヒモが見えちゃうんだもん。」  
ああ、なるほど。  
ミクの上着をはだけさせ、小振りな乳房を外気に晒させる。  
なだらかな陸の上で、その存在を主張するピンク色の蕾は、つん、と勃っていた。  
 
「ミク、勃ってるよ。」  
「やあぁぁ」  
その事実を伝えてあげると、ミクは両手で顔を覆い、イヤイヤと首を振る。  
「可愛い。」  
その姿があまりに可愛いらしかったので、そう言って首筋に唇を這わせる。  
そして、強く吸い、後を付ける。  
「お兄ちゃん、なに?」  
「ミクと愛し合った証をね。」  
「ふえ?」  
ミクはなにかを確認するかのように、自分の指で俺が付けた跡をなぞる。  
「あ、キスマーク?」  
「うん。」  
肯定してあげると、ミクは少しだけ嬉しそうにハニカム。  
「あ、でも、皆にばれちゃう。」  
「今更だと思うけどね。  
でも大丈夫だよ、服で隠れるから。」  
「そうなんだ、それはそれで残念……」  
そんなやり取りをしたあと、胸への愛撫を再開する。  
先程と同じように、優しく、丁寧に揉む。  
「あぁんっ…やぁ、んん!!」  
服越しよりも、直接触られた方が感じるらしく、ミクの嬌声は、先程よりも激しい。  
更に、手を動かすペースを上げる。  
「んあぁ!!お兄ちゃっ、気持ちっ、気持ちいい……」  
ミクの声が更に激しくなってきたので、先端の突起に触れる。  
人差し指と親指で突起をもてあそび、空いた方の突起を、口に含む。  
「やぁぁ、そこらめぇ!!舐めちゃやぁぁ…」  
更に甲高くなったミクの声を聞きながら、突起を強くつまみ、強く吸い上げる。  
「や、やああああぁぁぁ!!!!!!!!」  
絶叫とともに、ミクの身体がビクンッとのけ反る。  
もしかして………  
「ミク、イッちゃった?」  
返事は無い。顔を覗き込むと、薄碧色の瞳が放心したからように、虚空を見つめていた。  
「ミク、ゴメンね。」  
少しだけ罪悪感にかられ、ミクのおでこにキスをする。  
ミクはしばらく息を整えた後、囁くように言った。  
「……大丈夫……だよ………お兄ちゃんの事……大好きだから……」  
そして、一旦間を置いてから、ものほしげに呟く。  
「だから………最後まで、しよ?」  
 
「お兄ちゃん、この格好、恥ずかしい。」  
ミクに四つん這いになってもらい、秘所へと手を伸ばす。  
「んっ」  
触れると、そこは布越しでもはっきりと分かるぐらい濡れていた。  
「ミクのここ、凄い濡れてる。」  
「んぁ、だって……好きな人と……エッチしてるんだもん。」  
言いながらも、淫唇は更に潤いを増す。  
多分、これなら……  
「ミク、いれていい?」  
聞きながら、スカートをたくしあげ、下着をずらし、痛いほどに勃起したモノを入口に押し当てる。  
「優しく………してくれなくてもいいから、私で気持ち良くなって……お兄ちゃん。」  
そんな健気な言葉に背中を押され、腰を押し進める。  
メリメリッ、という音と共に、ミクの淫唇を広げていく。  
「〜〜っ!!」  
ミクが、痛みを我慢しているのが分かる。それでも、腰を前に押し進める。  
そして、一際強い抵抗をかんじる。これが、ミクの………  
「ミク……」  
最後の確認の為に声をかける。  
ミクは、両目に涙を溜めて、首を振る。  
「躊躇っちゃ……はぁ……やあ……」  
ミクの言葉と共に、一気に貫いた。  
ブチッブチブチッ  
「っっっっっっっ!!」  
ミクが、声にならない悲鳴を上げる。  
そして、俺の先端は、ミクの子宮口とキスをする。  
ミクの中は狭く、根本までは入らなかったが、強く締め付けてくる。  
油断するとすぐにでもイッてしまいそうだ。  
いますぐにでも射精したいのを堪えながら、ミクの頭を撫でる。  
「はあ、お兄ちゃん……はぁ……私の事は……気にしなくて……いいから………」  
ミクの言葉に、俺は首を横に振る。  
「ミクが辛そうなのに、一人だけ気持ち良くなんてなれないよ。」  
「……ありがとう、お兄ちゃん。」  
 
しばらくそのまま、ミクの痛みが引くのを待つ。  
「……お兄ちゃん、動いていいよ?」  
「無理してない?」  
「うん、動いて、欲しい……」  
ミクに促されて、ゆっくりと腰を引く。  
「んっ……くん……んん」  
噛み殺したような、呻き声が聞こえる。  
やっぱり、痛いんじゃないか……  
それでも、快楽に流され、俺の腰は止まらなかった。  
ゆっくりとだが、注挿を繰り返す。  
「あっ……くぅ……はぁ……あ」  
ミクの声に、甘いものが混じる気配はない。  
ふと思い立ち、ミクの乳房に手を伸ばす。  
そして、突起をつまむ。  
「あんっ!!」  
途端に、ミクが甘い悲鳴をあげる。  
「お、お兄ちゃ……ん?」  
「ミクと、一緒にイキたいんだ。」  
 
乳房をいじるたび、ミクの淫唇からは、大量の愛液が溢れる。  
それを潤滑油にして、俺は注挿のペースを早める。  
「あんっ……やあん……あ、あっ……」  
次第に、ミクの声は苦痛よりも嬌声の割合が増してくる。  
俺は更にペースを上げ、最奥を何度もノックする。  
「くっ、ミク、イキそう……」  
「わ、私も、さっきより……ああ!!」  
限界が近くなり、腰の動きにも自制が効かなくなる。  
そして、  
「くっ、ああああぁぁぁっっっっ!!!!!!」  
ビクンッ、と脈打ち、ミクの中に熱いモノをぶちまける。  
「あ、ああぁぁ!!お兄ちゃんのがっ、ああぁぁぁぁぁぁ!!」  
 
一拍遅れて、ミクも身体を大きくのけ反らせる。  
ミクの中が大きくうごめき、搾り取るように俺のモノを締め付ける。  
俺はミクの中に全てをはきだし、意識を失った。  
 
 
目が覚めると、ミクが俺のすぐ側で眠っていた。  
あの後、二人一緒に気絶だがしたらしい。  
俺はミクの股間から溢れる液体を拭き取ると、眠っているミクを抱きしめた。  
腕の中に眠るのは、俺を好きになってくれた女の子。  
マスターへの恋心は実らなかったけど、こっちの想いは綺麗な花を咲かせた。  
大事にしようと思う。  
腕の中で安らかな寝息をたてる、可愛いお姫様を………  
 
 
〜Epilogue〜  
幸せな光景がある  
 
ミクが抱き着いて来て  
 
お兄ちゃんが私の頭を撫でてくれて  
 
メイコが呆れたようにため息をついて  
 
リンちゃん達がはやしたてて  
 
そして、マスターが嬉しそうに微笑んでいる  
 
 
 
そんな光景  
 

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