がくぽさんとミクが、ようやく付き合い始めたらしい。  
ふたりの距離の詰め方は、端で見ていてじれったいくらいだったけれど、  
結局落ち着くところに落ち着いたようで、本当に良かった。  
 
いつだったか、リンにあれこれ言われて真っ赤になっていたミクのことを思い出す。  
可愛らしかったなあ。私も、前はそんな風に純だったよなあ。  
そんなことを考えていたら。  
 
「先輩、なに、にやにやしてんすか。」  
 
傍らで譜読みをしていたカイトに話しかけられた。  
 
ここは私の部屋、そしてベッドの上。  
部屋は狭いので、ベッドがソファー代わりになっていて。  
今日ももいつも通り、壁を背もたれにして、二人で並んで座っている。  
 
「や、ちょっとね。ミクのこと。」  
 
私は続けた。  
 
「がくぽさんとミク、やっとくっついたじゃない?  
 初々しくって良いなー、と思って。なんか、羨ましいよねえ?」  
「そーすかねえ?俺は別に。」  
「えー、そう?」  
「そーですよ。」  
 
言いながらカイトは私の背後に回り、後ろからぎゅっとしてきた。  
カイトの足の間に、私の身体が収まる形になる。  
背中からカイトの体温が伝わってきて、暖かくて気持ち良い。  
 
その心地良さに身を任せていると、ふいに、首筋をぺろ、と舐められた。  
 
「うひゃあ?!……何よ、カイト。」  
「何って……、『君の首を舐める夢を見た』?」  
「じゃなに、私、誘拐されちゃうの?」  
「そしたら先輩は、靴下食べないとね。」  
 
後ろ抱きにされたままで、くすくすと笑いあった。  
 
「や、私のバージョンは、『靴下脱がす』よ。」  
「じゃあ、脱がせてくださいよ。」  
 
カイトが、私の両脇で足をぶらぶらさせる。  
言われるとおり、私はカイトの靴下を脱がせた。  
 
「じゃ、俺も。」  
 
そう言って、カイトが私の上着のジッパーに手をかけた。  
そして、下ろしたジッパーの間から、手を差し入れられて、胸を揉みしだかれる。  
 
「あー、やわらかー……。落ち着くー。」  
「ひとの胸で落ち着かないの。」  
 
身体をぴったり密着させているので、カイトのその部分が腰のあたりに当たっていて。  
感触から、こう、反応してるのが分かる。  
 
悪戯心で。腰をよじって、当たっている部分をぐり、と動かしてみた。  
 
「うわ、先輩!」  
「仕返しよ、仕返し。」  
 
そうやって、手の届く範囲、身体の触れる範囲でお互いを触りあって。そして。  
 
カイトの手が私のショーツの中に入ってきた。  
私もしっかり反応していて。  
カイトの指が触れたとき、ぬる、という感触があったのが分かる。  
 
後ろ抱きにされたまま、一番敏感なトコロを繰り返し刺激され、そして……。  
 
「あ……カイト……、も、ダメ……っ!」  
 
それだけで軽く、イッてしまった。  
 
「先輩、俺のも、触って……。」  
 
カイトは私から身を離す。  
体勢を変え、ベッドの上で向かい合って座るような形に。  
 
言われて私は、カイトのベルトを外し、ズボンのジッパーを下ろす。  
締め付けから解放されたカイトは、ふう、と軽くため息を漏らした。  
 
トランクスの上から、指で形をなぞると、硬度が増したのが分かる。  
今度はトランクスを下ろし、直に触れてみる。  
握るように、擦るように。カイトのツボを外さないように。  
 
「うぁ……、先輩、きもちい……。」  
 
カイトのうわずった声が嬉しくて。その声がもっと聞きたくて。  
 
そこを、口に含む。  
口に含んで、きゅっと吸い上げる。先の方を舌で舐めつつ、下の方を手で撫でる。  
 
しばらくそうしていると、不意にカイトが身体を引いた。  
 
「あの、先輩。も、俺……、入れたいんですけど。」  
 
私も、さっき触られたのと、今していたのとで、もう準備は万全。  
お互い、服を全部脱がせ合い。  
カイトは、ポケットの中に忍ばせていたものをつけて。  
 
私の上に、多い被さってきた。  
 
「あ……。」  
 
入ってくる感触に、思わず声を上げる。この感触、嫌いじゃない。というか、嬉しい。  
 
一定のリズムで、カイトのが出たり入ったりする。  
これ、BPMで言うと、どれくらいかなあ?とか、そんなことも頭によぎりつつ。  
でも、次第に余裕がなくなって、なにも考えられなくなる。  
 
しばらくその体勢でいたけれども、  
 
「先輩、後ろから、いーですか?」  
 
聞かれて、一度引き抜かれた。体勢を変え、今後は後ろから繋がる。  
 
「あ……それ……、好きぃ……。」  
 
角度の関係なのか、後ろからの方がより奥まで届いて、私は好きだ。  
カイトもその辺を心得ていて、がんがんと私を攻めたてる。  
 
腰に添えられたカイトの手が熱い。  
私の中のカイトのモノも、すごく熱い。  
 
不意に、カイトの片方の手が、また私の前の方に移動して、再び私の敏感なトコロに触れた。  
 
や……、前となか、両方いっぺんじゃ、私、もう……。  
 
「や……っ!カイトぉ!!」  
「せんぱ……、俺も、もお……っ。」  
 
今度は、ほぼ二人同時に、イッた。  
 
コトが終わって。  
 
布団の中で寝そべって、私はまたさっきみたいにカイトに後ろ抱きにされていて。  
カイトの手は、私の胸でまたわしわしと動いている。  
 
「はー、やっぱ落ち着くー。」  
「カイト、あんたそれ好きねえ。」  
「やー、だって、落ち着くんですもん。実際。」  
 
しょうがないなあ、とくすくす笑う。  
まあ、なんだかんだ言って、私も触られるのは嫌いじゃないし。  
 
「先輩。」  
「なあに?」  
 
カイトが切り出してきた。  
 
「さっき、『初々しくていいなー』ってゆってたじゃないですか。」  
「うん。」  
「初々しいと……、こゆ風にこゆことも、ろくにできないってことじゃないですか?」  
「まあ、そうかもね。」  
「だったら俺、別に初々しくなくてもいいなあ。今のがいいや。」  
「……!バカ、なに言ってんの。」  
 
照れ隠しでカイトのわき腹をどん、と小突きながらも。でも、なんだかんだでやっぱり嬉しくて。  
背中から伝わるカイトの体温に、また心地よく身を任せた。  
 

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