大人組VOCALOID同士、酒席で親睦を深めよう、という名目で。
KAITO兄さんとMEIKO姉さんとルカちゃんが、がくぽさん宅に呼ばれています。
私もその場に混じってみたかったけど、
未成年はだめだ、と断られてしまいました。
飲まないから、と言っても、教育上よろしくないから、と。
こういうときは、私の年齢設定が、疎ましくなってしまいます。
そんな折、私のケータイに電話がかかってきました。
KAITO兄さんからのようです。
「はい、もしもし?」
「あ、もしもし、ミクー。」
なんだか、声が酔っぱらってます。
「悪いー、ちょっと来てくれない?」
「え?未成年は行っちゃいけないんじゃ無かったの?」
「いやさ、神威さん、酔いつぶれちゃって。介抱したげてほしいなと。」
え?
とりあえず、お隣のフォルダに向かいます。
「おじゃまします……。」
行ってみると。
お酒の缶やらゴミやらが申し訳程度にまとめられて。
がくぽさんは、他の皆に囲まれ、
座布団を枕にして、床に転がっていました。
「ごめんなさい、ちょっと調子に乗って飲ませすぎちゃったみたいで。MEIKOさんが。」
「えー、あたしのせいー?」
「うん、そーだね、完全に先輩のせいだね。」
大人組3人がそんなやりとりをしてる中。
とりあえず、傍らに座って、呼びかけてみます。
「が、がくぽさーん。」
「おお、初音殿ではないか……。」
がくぽさんは、私の膝に頭を乗せ、腰に手を巻き付けてきました。
やだ!もう、みんな居るのに!
「というわけでさ、あと、よろしくね。」
「え?」
「そーそー、何なら、今日はそのまま帰ってこなくてもいいからさー。」
「やだ!何ゆって!」
なんだか、完全に面白がられてます。
皆は好きなことを言い残して、ぞろぞろと出ていってしまいました。
そしてそこに取り残される私とがくぽさん。
うーん、これは、どうしたらいいんだろう……。
膝枕で気持ちよさそうに寝ているがくぽさんを見下ろしながら、
私は途方に暮れていました。
長時間膝枕をするというのは、意外と辛いもので。
でも、がっちり腰に手を回されてるせいで、離れられません。
うう、足がしびれてきた………。
足をもぞ、と動かすと、がくぽさんが目をぱち、と開きました。
「……あれ?初音殿?なぜここに?」
「みんなから介抱頼まれたんです。」
「皆はどうした?」
「帰っちゃいましたよ。」
「左様か。」
がくぽさんは、なんか、怖いくらいにこにこしています。
そして。
「……しからば。」
いきなり、その場に押し倒されました。
え?!
いや、ちょっと待ってください!
部屋、明るいままですし、片づけもまだで散らかってますし。
てゆか、せめて、お布団に移動とか……。
動揺して固まってしまいましたが。
がくぽさんもそのまま動きません。
様子をうかがっていると、上から寝息が聞こえてきました。
ええええええ?!また寝てるし!
とりあえず、組み敷かれた体制からなんとか脱出して。
がくぽさんを寝室に運ぶのは無理なので、布団の方をこちらに持ってきました。
がくぽさんにかけてあげます。
もう。
そのまま……かと思って、ちょっとどきどきしたのに。
さすがに、こんな状態のがくぽさんをひとりで置いて帰るわけにはいかず、
周りを簡単に片づけてから、一緒の布団の中に入って、私も寝ました。
正直、……ちょっとお酒臭かったです。
翌朝。
案の定、がくぽさんは昨晩の一連を何も覚えてなかったり、
でも、勢いでそのまましちゃったり、
帰ったらリンちゃん達から「どう?昨晩はお楽しみ?」って冷やかされたり、
いろいろありましたが。
そのへんの詳細は割愛、ということにさせてください。