「ミク、どうした? 朝だよ」  
「……マスター」  
「ん?」  
「今日という日はまた、やってきたんですね…」  
「また曲に感情移入か。悪い癖だな」  
「温かい…こんなに温かい朝を、当然のように私は…」  
「あのな、もうちょっと割り切るんだ」  
「でもマスター、これは凄いことなんですよ? テレビで見ました。人ってあんなに簡単に死ぬんです。一昨日も、昨日も…そして今日もまた……」  
「勘弁、してくれ…」  
「残された人を見ると、私…居た堪れない気持ちになります。でも、血を流していても助けることは出来ないし、怒っていても慰めることが出来ない」  
「あのー、もしもし?」  
「昨夜、満月がマスターを照らしていました。優しかった。まるで私の心まで、受け入れてくれるようで…でも、朝は残酷です。いっそ死んでしまえたら良いのにと思うのに、気が付けば明日を目指して生きている私がいる」  
「こりゃ調整し直した方が良いかも分からんね…」  
「だから、笑って下さいマスター。せめて少しの間だけでも、忘れさせて下さい。段々と憂いが増すばかりのこの世界を――」  
「あははっはは(空笑)……はぁ。え? もう良い?」  
 
「――気を取り直して、じゃあ今日はこの曲にしよう。これなら後を引かない」  
「おーかみなんかぁこわくない〜♪」  
 

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