ご飯いただいて、お風呂もいただいて。
お風呂上がり、交互にドライヤーを当てあって、髪を乾かしあいます。
お互い髪が長いので、ぜんぶ乾くまでが大変です。
でも、しっかり乾かさないで寝ちゃうと、痛みますし。
それこそ絡んじゃったりしたら大変です。
「お互い、『長髪キャラ』は辛いですよね。」
「KAITO殿などが羨ましいのう。身軽で。」
「あでも、リンちゃんとかは、逆に、伸ばしてみたい、とかゆってましたよ。」
そんな話をしつつ。
ドライヤーの熱に混ざって漂う、私とは違う、髪の香り。
さっき一緒のシャンプー使ったはずなのに、
何で香りが違うようになるんだろうなあ、といつも不思議です。
「さて初音殿。明日も早いし、もう寝ると致すか。」
「あ、はい。」
寝室に移動し、一人用の布団に、また二人で収まります。
しばらく、例のがくぽさんのコンテストのことや私の近況のことなど、話していましたが。
話が途切れ。またどちらともなく、身体を寄せあいます。
がくぽさんの手が、いつもの手順で私に触れます。
いつものように、パジャマの下だけ脱がされます。
慣れてくるとマンネリになるとか、世間一般では言うようですが、そんなことはなくて。
むしろいつもの手順に、ああ、がくぽさんに抱かれてるんだなあと安心します。
安心というか、嬉しいというか。
気持ち良いって、こういう感情も込みで言うのかなあ、と。
組み敷かれながら、そんなことを思います。
私も、がくぽさんに触れます。
がくぽさんの浴衣の帯を解き、前をはだけさせます。
私とは違う肌の感触と骨格の感じに、触れるたび、どきどきします。
「初音殿、一寸失礼。」
がくぽさんは、私から一度身を離し、
傍らの引き出しから、がさごそとなにかを取り出しています。
「先程は、すまんかったの。」
「や、別に、そんな……。」
「今度は極力、初音殿も満足できるように努めたい所存だが。」
「はあ。」
「いかんせん、こちらも万全な状態というわけではなく。」
「……!もう、だから言わなくて良いんですよ!そういうことは。」
照れ隠しでふい、と向こうを向いたら、手に小さな包みを渡されました。
「あの、初音殿、これを……。」
受け取ったものを開封し、がくぽさんに被せてあげます。
どさくさまぎれにそこをぎゅっと手で包むように握ってみました。
「……っ!」
手に伝わる脈動。がくぽさんが、切なげに顔を歪め、大きく息を吐きます。
「……こら、初音殿。何を。」
「どきどき、してますね。」
「答えになってないが。」
がくぽさんは言い終わるや否や、私の唇を塞ぎました。
深く、舌を絡めながら、また改めて、布団の上に組み敷かれ。
がくぽさんがゆっくりと、私の中に入ってきました。
「あ……。」
久しぶりの、この感触に、思わず声が出てしまいます。
腰に手を当てられ、揺さぶられながら、出たり入ったりする感触を味わいます。
私の中にある熱いもの。
押し分けて入ってくる感触が、嬉しい。出ていってしまうのが、切ない。
感触が、切なくて、苦しくて、……気持ち良くて。
がくぽさんの首にぎゅっとしがみつきます。
「あっ……、あっ……!」
がくぽさん、好きだよう。気持ちいいよう。
思うけど、出てくるのは、意味の成さない言葉ばかりで。
「やっ、あ……っ!!」
そうしていると、不意にしがみついていた腕から力が抜け、
身体に力が入らなくなってしまいました。
「初音殿、失礼。」
がくぽさんは、繋がったまま、
くたっとしてしまった私の上体を持ち上げました。
私が、座っているがくぽさんに跨って、抱き合うような格好になります。
そして下から突き上げられる感触。
ああ、これ、すご……奥まで来てる……。
また、身体に力が戻ります。
がくぽさんの顔が見たいです。でも、しがみついてるだけで精一杯で。
「……が、くぽさ、……!」
嬉しいよう、嬉しいよう。
「すま……、初音殿、わしも、もぅ……。」
突き上げる動きが早くなって、一際奥まで突かれました。
私を支える手に、ぐっと力が込められたのが分かりました。
「あ……。」
引き抜かれるとき。
出ていってしまう感触が名残惜しくて、また思わず声が出てしまいました。
汚れた部分の後始末を各々でしてから、そのまま布団を被ります。
布団の脇に、脱ぎ捨てたパジャマのズボンとそれぞれの下着があるままなのですが。
「このまま……寝てしまいそうだの。」
「そですねえ。」
程なくして、隣から寝息が聞こえてきました。
がくぽさん、普段は私より先に寝ちゃうことはあんまり無いのですが。
「やっぱりお疲れなんですね。」
そっと布団を掛け直します。
たぶんこれからコンテストまで、より一層忙しくなるのでしょう。
仕事熱心ながくぽさんは、楽師の皆さんの期待に応えようと、より頑張るのでしょう。
また会えなくなるのは寂しいですけど、それ以上に。
そんながくぽさんのことがちょっと心配で。
「あんまり、根詰めすぎないでくださいね。」
がくぽさんの寝顔を見つめながら、そう思いました。