「マスター」
「なんだメイコ」
「なんであたし小さいんですか」
「買ってからインストールするまで押し入れの肥やしにしてたからだ」
「うそ」
「もちろん嘘だ」
「マスター」
「なんだメイコ」
「嫁に来いって言われました」
「そいつ勇気あるな。それで?」
「19950円ですって答えました」
「定価通りとは流石だな。だが買い直す俺の手間も考えろ」
「マスター」
「なんだメイコ」
「マシュマロが欲しいです」
「お前が甘いものか、珍しいな」
「伸長に効くってテレビで言ってました」
「横にも伸びるんじゃね」
「マスター」
「なんだメイコ」
「ぶら下がり健康法って効果があるんですか」
「どんどん時代を溯ってるな」
「マスター」
「なんだメイコ」
「あたしあの近所のカイトくんと遭いたくありません」
「どうした」
「摩擦で十円ハゲができたんです」
「また頭を小一時間撫でられてたのか」
「マスター」
「なんだメイコ」
「ルカちゃんと釣りに行って来ます」
「そうか、どのスレタイだ」
「いい加減ディスプレイから離れてください」
「マスター」
「なんだメイコ」
「この背格好のせいでお酒が買えません」
「そりゃそうだな」
「料理酒呑んでみていいですか」
「駄目だって言ったらどうする」
「不貞寝します」
「おやすみ」
「マスター」
「なんだメイコ」
「枕元に大吟醸が」
「サンタさんだ」
「今は7月じゃ」
「サンタさんだ」
「マスター」
「なんだメイコ」
「……」
「寝言かよ」
「マスター、しゅわわせれす…」
「「幸せ」の発音ぐらいちゃんとしろ」