「ふんふふーん♪」
「るんららーん♪」
「たらりらったらーん♪」
「たらりらったらーん♪」
陽気にデスマーチの鼻歌を唱和しながら、ミクとリンが台所に立っている。
ボーカロイドだけあって鼻歌も上手いもんだ。料理はまだまだだが、朝食を作るんだと二人して料理している。
ちなみにレンは会社で補給するからいいと早々に出勤した。裏切りものー。
「できましたー」
「できたー」
たたっと台所からその二人がかけてくる。
「はい、プロデューサーさん」
ミクが差し出したのはネギの味噌汁。ネギが器からはみ出してる。
「どうだプロデューサー」
リンが差し出したのは黒ずみの物体。通称カーボン。
「はははっ。二人とも美味しそうだなー」
僕の言葉にニターと微笑むミクとリン。
「食べてください」
「食べろ」
じっと見つめられると食べるしかない。まずはミクの味噌汁。
ぱくぱくごくごく
「うん。ネギの味がして美味しいよ」
「わーい」
続いてリンのカーボン。
ガツガツ
「うん。炭の味がして美味しいよ」
しかしながら本場のカーボンに比べると火力がまだ足りない。ここら辺は経験の差だろう。
「やったー」
ぴょんと飛んで、リンはミクとハイタッチ。エプロン姿は可愛い。
「じゃ、じゃあ会社行く準備するから」
「あ、ネクタイしめます」
「あたしがやる」
二人していきなりネクタイを引っ張るな。首が締め付けられる。
むきゅー
「きゃー、プロデューサーさんの顔が真っ青に」
「わー、息ができなくて苦しい人みたい」
ぶくぶく
「きゃー、プロデューサーさんの口から泡が」
「わー、呼吸困難で死ぬ寸前の人みたい」
ばた
「きゃー、プロデューサーさんが倒れたわ。看病しないと!」
「はい。リン人工呼吸します!」
「じゃ、じゃあミクは心臓マッサージを!」
いーかげんにしろよお前ら。
年が明けて新たな辞令が僕の所に来た。
『リンとレンのプロデューサーもよろしく』
なんでですか!? 僕はミクだけで忙しいんですよ! の、僕の意見は却下され、
現在三体のボーカロイドの面倒を見ることになりました。
そして今朝もあの世から生還したりしながら、会社に出勤。リンのロードローラーで。
ごーん。ごーん。
会社前で僕は降り、ミクは会社の敷地内のネギ畑に、リンはロードローラーを駐車場に止めにいく。
その時である。あんな恐ろしいことが起こったのは。
「なんで踏み潰すのー!」
「そんな所に畑作るから悪いんじゃない」
庭から聞こえる美しい金切り声。ミクとリンだ。なんだなんだと見に行けば、
ミクがせっせと開墾していたネギ畑にどーんとロードローラーが突っ込んでいた。
「大体、駐車場の近くに作るから」
「人のネギを踏み潰して!」
「なによー」
あーあー。
「二人とも」
仕方ないので僕が割ってはいる。リンがロードローラーに乗り込もうとしたからだ。
このまま放っとくと会社まで潰しかねない。
「プロデューサーさん、聞いてください! リンたら、私のネギを踏み潰したんですよ」
「わざとじゃないもん!」
「まあまあ」
僕はミクのツインテールとリンのリボンを撫でて落ち着かせ、
「ミク、リンもわざとじゃないんだから」とミクに言ってから、
「リン、ミクの大事なネギを踏み潰したんだから、ちゃんとごめんなさい言いなさい」
「だってー」
ぶーと口を尖らせているリン。
「ごめんなさい言えない悪い子は嫌いだよ」
「うー」
唸りながら睨んでもダメ。
「……ごめんなさい」
目をそむけ、リンはぼそっと呟くように言う。全く棒読み。
「ほ、ほらミク。リンもこうして謝ったんだし」
「うー」
今度はミクが唸ってる。
「ミクはお姉ちゃんだろ? ネギ畑なら、僕が手伝うから」
「本当ですか?」
「うん。いくらでも手伝うから。一緒にネギ作ろう」
「はい!」
驚くほど素直にミクは頷き、何やら嬉しそうに笑っていた。
「えー」
それとは対照的にリンは何やら不満顔。
ともあれこれで仲直り。
ほんと疲れます。
「では今日のスケジュールを」
つらつらと今日の仕事内容を確認するマネージャー(女)。
そうだよ、このマネージャーが面倒見ればいんだよ。という意見も却下された。主にリンに。
「……というわけで、リンはラジオ局で番組の収録。リンとレンはライブの打ち合わせとなります」
ふむ別行動か。ミクとリンがじっと僕を見ている。
「じゃあ、僕はミクと一緒に……」
「ぶー、ぶー」
「じゃあ、リンとレンと一緒に」
ミクは何も言わない。ただ手をぎゅっと握り締めてうつむくだけ。一瞬見えた瞳は震えているように見えた。
「え、ええと。それじゃあ、ミクのほうはマネージャーよろしく」
「……はい。ミク歌ってきます」
そしてミクとマネージャーはラジオ局へ。
「いってらっしゃーい」
僕の腕にしがみつき、リンがぶんぶんと手を振って見送った。
「ほうら。ここで歌うんだよ」
市民野外コンサート。リンとレン単独のイベントとしては丁度良い大きさだろうか。
「小さーい」
なのに、リンはぶーと口を尖らせている。
まだ機材もないだだっ広いステージでくるくる回転し、リンは両手を横に広げ、
「ミクお姉ちゃんはラジオでいいなー」
「すぐにリンもラジオに出れるさ」
だだっとダッシュで駆け、リンがどーんと胸に飛びついてきた。
軽い、しかし熱い小さな体を受け止める僕に、リンは眩しい笑顔を向け、
「ホントに? すぐ出れる?」
「ああ。良い歌を歌えばな」
歌ってればそれでいい。今はそんな幸せな時期。
「うん。歌うよ」
こくっと頷き、リンは僕から離れた。
レンはといえば、空の客席に向かって「ぼあ〜」と音波を出している。
反響を確認してるのだろうか。
「ぼあ〜」
レンと一緒になって音波を出すリン。二人の音波は共振し、増幅され、どがっと会場のフェンスが吹き飛び……ええ!?
見なかったことにしよう。
「さ、帰るぞ!」
「なんでー?」
「いいから! 帰りますよ!」
幸い目撃者はいない。破壊音波による犯行なら証拠も残らないだろう。
そーれ、退却、退却ー。
会社に戻った僕たちに、急遽新しい仕事が舞い込んだ。
『壊したフェンス修理しとけ』
くそ、なんて対応の早い会社だ。
ミクたちはラジオの収録で夜まで戻らないらしい。
僕たちはロードローラーで現場へと戻るのでした。すっごい似合う。
「わーい。修理だ、工事だ」
なぜかリンは喜んでいる。いいのかそれで。
ごーん ごーん
ロードローラーが地ならしし、ライトが夜の会場を照らす。
「ふー」
フェンス修理するだけでなぜロードローラーがあんなに回転しているのか。
不思議です。
「それ、行くよー」
「おーらい」
手馴れたようにロードローラーを操るリンと誘導するレン。
リンとレンがあんなに土木作業に慣れているのも不思議。誰だ教えたのは。
もう新しいフェンスはとっくに立てたのだが、調子に乗ったリンとレンが整地まではじめてすっかり夜になった。
帰りたいよー。
時計を見るとそろそろか。
「リン、ロードローラーにラジオ付いてるだろ。つけてくれ」
「あいよ」
カチッ。リンがラジオを付けると、聞きなれた声が聞こえてきた。
『初音ミクの、みっくみくラジオ〜。ラジオー。らじおー』
うん。いい調子じゃないか。
『銀河ネットワークの皆さんこんばんわ。今日もミクと一緒にみくみくしてください。
ボーカロイドの初音ミクです。今年で16歳ですけど、初めて雪というのを見ました。
雪ってキレイですよね。キラキラしてふわふわで。地積もってるのを触ったら、冷たくてビックリしちゃいました。
皆さんは雪でどんな遊びをしましたか? ミクは雪ダルマを作りました。とーってもまん丸で大きいの作りました。
でもリンがロードローラーで踏み潰しちゃいました。もう、カンカンですよー。
あ、リンというのは皆さんご存知でしょうけど、ミクの妹です。妹ができると聞いて、
すっごくドキドキしましたけど、一緒にいると世話ばかりかかって大変です。
でもとっても可愛いんですよ。弟のレンと一緒に皆さんも可愛がってください。
妹や弟がいるといいですね。毎日がとっても楽しくて退屈しないで。
KAITOお兄ちゃんやMEIKOお姉ちゃんも、ミクが生まれたときはこんな気持ちだったんでしょうか』
雪が降った日はいろいろあったな。リンがロードローラーで暴走してあちこ
ち壊したのもいい思い出。
そのリンはロードローラーの上でぶーと頬を膨らませている。
『はい、では今日最初のお便りです。
KAITOさんという方からです。一緒に住んでいるMEIKOから甲斐性なしと言われて困っています。甲斐性を付けるにはどうしたらいいのでしょうか。
うーん、どうしたらいいんでしょうか。ミクのプロデューサーさんはとっても甲斐性ありますけど、
いつもミクを後押ししてくれる気がします。
側にいて応援してくれる人っていいですよね。KAITOさんもきっとMEIKOさんの励みになってると思いますよ。
ええと、それではリクエスト曲を
曲はお肉がいっぱい肉にの』
そしてラジオから流れるミクの歌声。
『お肉がいっぱい肉にの』
お肉いっぱい食べたいな
あなただけのお肉だから
あなたはもうお腹がいっぱい?
耳もとでささやくの
肉にのを言ってる
あー、お肉 肉 肉
もう一度肉
お肉 肉ニノ みんなのお肉
肉 肉 野菜 肉 肉にの カレーのお肉は全て人肉 ホントだよ?
ああ、どうしてあなたはお肉じゃないの?
わたしはこんなにも肉にのなのに
あー、お肉 肉 肉
何度でも肉
愛の結晶 誰より愛するあの人に
食べてほしい 食べさせたいの
だ・か・ら?
肉を求める大冒険 愛を探す旅立ち
お肉がほしーい!
そ・れ・で・?
お肉がいっぱい肉にの
わたしのお肉
お肉がいっぱい肉にの
あなたのお肉
お肉がいっぱい肉にの
でもね
あなたの肉はもうないの
どうして?
「えい」といきなりリンがラジオを切る。
「ええっ!? なんで切っちゃうかないいとこなのに……」
ぐはっ
言葉の途中で口に何かを詰め込まれる。これは……エプロン? そしてこの匂いは作業用シンナー!?
クソッ。いつの間にか背中を取ったレンがシンナー漬けエプロンを口に押し当ててるののか。
とゆーかシンナーなんか使っちゃいけません。ダメ。いけません。
ああ、なんだか頭がふわふわしますよ? 酔ったときよりもはるかに。
「ふふっ……。隙だらけだよプロデューサー」
おのれレン。老いたとはいえプロデューサーを舐めるな。
うおおおおおおお! 燃え上がれ僕の小宇宙!
「ほーら、プロデューサー」
揺れる視界の向こう。リンが服をまくって小振りの胸を晒している。ロードローラーの上で。
「よっしゃああああああ!」
レンから解放された僕は一目散にロードローラーのローラーを駆け上がり、リンの胸に飛び込みました。
「うふふ。いいでしょう」
はー。ほぼぺったんこですべすべのおっぱい。この固くてごつい感触が良い。
「ねー。ミクお姉ちゃんとどっちがいい?」
「そりゃあリンに決まってるさー」
頭がふらふらして、よく分からないことを口走ってますよ? ま、いいか。
「うん、やっぱり、あたしの胸のほうがいいよね」
「ああ。当然さ。ミクの中途半端に膨らんだペチャパイよりリンの完全ペチャパイが最高だ!」
ラリった上での発言です、念のため。
「えへへー」
ちゅぱちゅぱとリンの乳にしゃぶり、ちゅうと吸う僕。
「うんぅ……あんっ。焦らないでぇ」
僕の頭を抱き、熱っぽい声でリンが言う。なんだろう。今日のリンはいつもよりずっと可愛い。
「ねえ。ミクお姉ちゃんとあたし、どっちが可愛い?」
「リン」
おっぱいにすりすりしながら、僕は条件反射的に返事します。あれれ? なんで僕はこんなこと言ってるの?
「ミクお姉ちゃんとあたし、どっちが好き?」
「リンに決まってるよー」
「うふふ。やっぱりそうだよねー」
きゅっと僕の頭を抱きしめるリン。ぺったんこの胸が心地いいの。
「それじゃあ」
すりすりと肩を露出し、リンがズボンを脱いでいく。僕の背中からレンの手が回り、
僕のズボンも脱がしていきました。
ピーンと飛び出す僕ちんこ。うわー、元気です。
「リンを好きにしていいよ」
ライトで照らされたロードローラーの上、大きくM字に脚を開くリン。何も履かずに。
「うわーい」
僕はそのつるつるのおまんこに顔を埋め、ちゅうと唇を押し付けました。
「はあっ……!」
ビクッと震えるのと甘い切声が伝わってくる。
ピンクの割れ目にそって舌を走らせると、ビクッビクと腰が揺れた。
「……あぁ…。あんっ、はあっ」
揺れる腰に合わせ、舌を走らせる。そうしていると湿っぽい味がした。リンの愛液。
ちゅるちゅる。股から染みる汁を吸うと、リンの顔がのけぞった。
「ああっ! アアアッ! あうううぅ! はうっ! はうっ! はうっ!!」
悶える体をじかに感じ、喘ぎが耳を打つ。
「はぁ……はぁ」
後ろからも熱い吐息。レンだ。ちらっと見ると、ズボンからちんちんを出して夜空に向けていた。
「あっ……も、もう……!」
うん。リンのここは汁でいっぱい。
僕は顔を上げ、ビンビンに飛び跳ねるちんこを抑えて、リンの脚の間に腰を進めた。
入り口に触れ、むにっと先端が秘肉を広げる。
「あっ、んっ……。いい、いいよ」
「いくよ」
ロードローラーの上。僕の性器がぐいっとリンの幼い性器の割って入り、
「ああっ……アーッ!」
一気に飲み込まれ、僕たちは一つになった。
「くっ」
リンの膣は相変わらず狭い。そして熱い。脚をぎゅっと絡め、外と内から僕を締め付けてきた。
「はあぁ」
リンに挿入すると同時、吐息が後ろからかかり、僕のお尻にもむにっと何かが入ってくる。
レンのおちんちんだろうか。でもちっとも痛くない。お薬のおかげだろう。
とりあえずこっちは無視しよう。なんだかお尻のナカが熱いけど。
「アアっ。はアアっ!? はんっ! はんっ! あああああああーっ!」
鼻にかかるリンの甘い声。ロードローラーの上でゆらゆらと揺らめき、切ない嬌声を夜空へと上げていく。
飛び散る汗を身近に感じ、僕たちは一緒に揺れ、一つになって結ばれ、高みを目指していく。
「アアアアッ! アアアアアアアアアアアアアーッ! ヒアアアアアアアアーッ!」
甲高い喘ぎはリンかレンじか、それとも僕のものか。ふらふらする頭では判断がつかない。
ただどんどん気持ちよくなるのは感じる。
リンの中の僕が飛び跳ね、膣をすり、クリトリスをすりあげる。その度にリンが脈動し、膣を締め上げて僕に気持ちよさを伝えた。
「アアッ。ああああっ。はああぁっ。はぐうぅ。ひんっ。ひいいうん。だぁううぅ」
すっかり赤くなったリンの裸身を上から抱きしめ、涎の溢れる口にキス。
瞬間、ビリッと電気が走り、それが僕たち全員に伝わった。すぐに離した口から絶叫が漏れる。
「うがああアアアアアアアアーッ! アアアァァァァァアアアアアアアアっ!」
リンの膣に僕の熱いシャワーが放たれ、僕のお尻にもなんだか生暖かいモノが流された。
ハァ……はぁ……。
抱き合ったままロードローラーの上で息を整え、リンが僕の瞳を覗き込んでくる。
星空を映す大きな瞳で。
「ね、ねえプロデューサー」
「なんだい?」
まだふわふわする頭で僕は聞いた。
「ミクお姉ちゃんとあたし、どっちが好き」
そんなことか。
「リンに決まってるだろ」
言ってからちゅっ。軽くキスするとリンは笑って、
「だってさ、ミクお姉ちゃん」
ミク?
くるっと振り向くと。あら不思議。ふさふさのツインテールが可愛いミクがいるじゃないか。
今にも泣き出しそうな目で。
「あ、あのミク?いつからそこに?」
「……プロデューサーさんが背中からレンにエプロンを押し付けられるところから」
「そうそう、そのエプロンがシンナー漬けでな。だからその後の発言は本心じゃないよ?」
「……」
ミクぎゅっと手を握る。
「え、ええとラジオは?」
「……もう収録は終わりましたから」
そうかあのラジオは生じゃないんだ。
「会社に戻って、ここにいると聞いたから……」
ミクの震える瞳にじわっと涙が溜まっていく。それがこぼれる前に背中を向けた。
「さようなら」
そして長いツインテールを揺らして駆け出すミク。
「ミク!? 待てミク。誤解してるぞ」
追いかけようとしたが挟まれて動けない。前はリン、後ろはレンに。
「だー、え。プロデューサーはあたしたちのプロデューサーなんだから」
「そうそう」
ええっ!? ミク行っちゃうよ。ねえ、追いかけさせてよ。
このままじゃ……このままじゃミク……。
「いいから。あたしたちと楽しもうよ」
僕の口を柔らかい唇が塞ぐ。リンの暖かいキス。ああ。シンナーでふらふらする。
もうミクなんかどうでもいいや。
ロードローラーの丸みに合わせて背中を仰け反らすリンを、僕は再び激しく突く。
「はぁっ!」
僕の下で悶えるリンの小さな体。甘くて青い果実が腕の中で暴れていく。
翌日。ミクは荷物一式をまとめて家を出た。
そして僕は痔になった。
(おしまい)