年末。大晦日。  
「今年ももうすぐ終わりだねーミク」  
「そうですねープロデューサーさん」  
「お餅でも喉につまらせながら、今年を振り返ってみようか」  
 
 思い出される数々の超絶死闘。それはミクが生まれてからの修羅の道。  
 
「ぐはぁ!(吐血)」  
「思い出したらダメですよプロデューサーさん! てこれ前回の使い回し!」  
「ふー。血が出た、血が出た」  
「はい口ふいて」  
「すまないのうリン。僕がこんな体で」  
「それは言わない約束でしょう」  
 そのリンの横ではレンが黙々とみかんを食べている。ぱくぱく。  
 一緒のこたつに入ってぼやーんと大晦日を過ごす、僕とミクとリンとレンでした。  
「て、なんでリンとレンがいるのかなー?」  
 ここは僕(ミクのプロデューサー)のマンション。なぜかミクも住み着いてる。  
「えー。だって会社に誰もいないし」  
 リンの言葉にレンもうんうん頷いてる。大晦日と正月はさすがに会社も休み。  
「だからって家に来なくても。お前らのプロデューサーはどうした」  
 するとリンとレンは僕を指差してくる。え、俺?  
「いやいや待て。僕はミクのプロデューサーで忙しいし」  
「じゃあ、あたしのプロデューサーになって」  
 身を乗り出してリン。  
「なんですと?」  
「ほら。あたし、ミクお姉ちゃんより胸ちっさいよ?」  
と僕の手を取り、リンが自分の胸に当てる。うん、確かにミクより小さい。  
「歌だって……お肉の歌だって上手く歌えるんだから」  
 膝の上に乗り、潤んだ瞳で僕を見上げるリン。何? 何が起こってるの?  
「だから……ちょうだいよ。歌も、プロデューサーも」  
「え、ええと」  
 ちらっと横を見ると、ミクはTVを見てて、レンは黙々とみかんをたべている。  
 そのTVでは丁度ボーカロイドのCMを映していた。  
 
 
 
 ここボーカロイド開発室では、新型ボーカロイドの最終テストが着々と行われていた。  
 ボーカロイド脅威の技術力!  
 きゅいーん きゅいーん  
 鏡音リン/レンの開発は成功した。  
 新たな展開を迎えたボーカロイドの運命は!?  
 ずぎゅーん!  
 
 
 
「ほ、ほらリン。お前らのCMやってるぞ」  
と言った瞬間、ミクがチャンネルを変えた。ええっ、なんでそうなるかな。  
「あ、プロデューサーさん。紅白ですよ」  
 膝の上にリンを乗せた僕は見ようともせずミク。もうそんな時間か。  
「ミクも紅白出たいなー」  
 そして唐突にそんなことを言い出す。  
「はは、一体何を言い出すんだい」  
 
「リンも出たーい」  
 リンまで。  
「こ、紅白なんか出なくても君たちは大人気じゃないか」  
「出たいです」「出たーい」  
 唱和するミクとリン。こら声を合わせるな。  
「そ、そうだ。ボーカロイドだけ集めて紅白すればいいじゃない。KAITOとMEIKOも呼んで」  
 あの二人ずっと同居してんだぜ。  
「ぶー」「ぶー、ぶー」  
「そんなに歌いたければここで歌えばいいんだよー」  
「はーい」  
と、ようやく僕の膝の上から離れたリンが手を上げて立ち上がり、  
「一番。鏡音リン歌いまーす」  
 そう。今日は大晦日。僕たちだけの紅白。  
 
 
 
 
 
  『お肉がいっぱい肉にの』  
 
  お肉いっぱい食べたいな  
  あなただけのお肉だから  
  あなたはもうお腹がいっぱい?  
  耳もとでささやくの  
  肉にのを言ってる  
  あー、お肉 肉 肉   
  もう一度肉  
 
  お肉 肉ニノ みんなのお肉  
  肉 肉 野菜 肉 肉にの カレーのお肉は全て人肉 ホントだよ?  
  ああ、どうしてあなたはお肉じゃないの?  
  わたしはこんなにも肉にのなのに  
 
  あー、お肉 肉 肉  
  何度でも肉  
 
  愛の結晶 誰より愛するあの人に  
  食べてほしい 食べさせたいの  
  だ・か・ら?  
  肉を求める大冒険 愛を探す旅立ち  
  お肉がほしーい!  
  そ・れ・で・?  
  お肉がいっぱい肉にの  
  わたしのお肉  
  お肉がいっぱい肉にの  
  あなたのお肉  
  お肉がいっぱい肉にの  
 
  でもね  
  あなたの肉はもうないの  
  どうして?  
 
 
 歌い終わったリンはきゃっと小さくジャンプし、  
「ね、やっぱりミクお姉ちゃんより上手いでしょ?」  
「うーん」  
 これは個人の好みでしかないからなぁ。ぶっちゃけ声が違うだけで決定的な性能差はないし。  
「だから」  
 つつっと僕に近付いて、再び膝の上にごろんと座る。  
「あたしのものにしていいでしょ? 歌も、プロデューサーも」  
 僕は何も言わず、リンの頭のリボンを撫でてやる。ミクをちらっと見ると、もうTVの紅白に見入っていた。  
 はー。  
「ねえ」  
 首にぎゅっと抱きついてくるリン。ふわっと甘い香りが鼻腔をくすぐる。  
お日様の匂い。  
「ほーら」  
 僕はリンに抱きつかれたまま立ち上がり、そのまま抱っこしてやる。  
「軽いなぁリンは。ミクより一kg重いけど」  
「重いとか言うなぁ!」  
 徹底的にミクが軽量化されてるだけでリンが重いわけではない。  
「はは。軽い軽ーい」  
 抱っこしたままぐるぐる回ると、リンはきゃーと喜んでくれる。本当に無邪気な笑顔。  
 ぐるぐる回って、すとんとリンを降ろし、  
「リンは僕にプロデューサーになってほしいのかな?」  
「うん」  
 はにかむような笑顔。こっちが照れる。  
「レンは?」  
「リンがいいなら」  
とレンはあっさり言う。  
「じゃあ脱げ」と僕はレンに言った。  
「で、でも俺、男の子だよ?」  
「やだなぁ」僕は両手をびしっと上げ、「男の子だからいいんじゃないか」  
「う、うん」  
「ほら。ズボン脱いで」  
 躊躇いがちにレンは立ち上がる。僕はその前に膝をつき、ズボンのベルトを外してやった。  
「や、やだ……」  
「怖がらない」  
 パンツまで一気に脱がすと、ぷるるんと小振りのちんこが揺れている。ぷにぷにちんこー。  
「ふふ。皮がだぶだぶして」  
 指でぴんと弾くと、レンは「うっ」と呻き、腰が勝手に反応した。  
「すぐに暖めてやるから……」  
「はぁ!」「きえー!」  
 言葉の途中でガツンと殴られた。これは……ミクのネギとリンのロードローラー!?  
 
 ぶらっくあうと。  
 
 
「はっ」  
と気がつくと寝室で寝ていた。ベッドに寝かされていたらしい。  
「いたた」  
 後頭部が痛い。そうか。レンを試食しようと思ったら殴られたんだ。  
 で、その犯人二人は今、僕の横に寝ている。目をぱっちり開けて。  
「あ、プロデューサーさん起きました?」「起きた」  
 
 お前らがやっておいてよく言う。ていうか、なんでミクもリンも裸なの?  
「もう紅白終わっちゃいましたよー」  
 右にいるミクがにこにこ笑顔で言う。全裸で。ツインテールはそのまま。  
「あともう少しで今年も終わりだよー」  
 左にいるリンもにこにこ笑顔。全裸で。頭のリボンはそのまま。  
「あー、レンは?」  
 びっと指差す二人。ベッドの脇にはレンがごろんと寝そべっていた。全裸で。  
なぜか幸せそうな顔。  
「プロデューサーさん」「プロデューサー」  
 左右から呼びかけられ、僕はぐるぐると頭を回し、  
「で、なんで僕も裸なのかな?」  
「あ、パンツはここにありますよ」  
と僕のパンツを手に取ったミクがやおらくんくん匂いを嗅ぎ、  
「わぁ……。プロデューサーさんの匂い」  
 やめろよ目の前で。羞恥プレイか。  
「それじゃあ、リンはこっち」  
 僕の腕を取り、リンがきゅっと頬を寄せてくる。  
「うん……」  
 紅い顔で頷き、リンがベッドから降りる。そして部屋の隅でくんくんとパンツを嗅いでいた。  
「えーと……」  
 どうしよう。僕がずっとミクを見ていると、  
「もう。こっち見てよ」  
 リンが僕の顔を自分に向けさせる。そしてちゅっと口を重ねてきた。  
「……ん」  
 小さな唇はとても甘くて爽やかで。みかんの味がした。  
 僕は裸のリンの背中に手を回して抱き寄せると、舌を伸ばして彼女の口の中に入れていく。  
「!」  
 一瞬リンの目が驚きに丸くなり、すぐに閉じて、頬が紅く染まる。舌を拒むことなく受け入れるとくちゅくちゅと淫らな音が響いた。  
 僕の舌がリンの口の中を舐め、舐められる。熱い。リンの口の中はとても扱った。舌が溶けちゃいそう。  
「ん、んっ」  
 くちゅくちゅと舌を絡ませながら、リンが身を摺り寄せてくる。あったかい。  
肌にぴったり触れるリンの素肌はとても暖かくてすべすべで。胸のわずかな膨らみもとても小さくて心地いい。  
「……ぷはぁ」  
 十分に口内をを味わい、僕から口を離すとだらっと涎が垂れる。お互いに。そして糸になって結んでいた。  
「ふふっ」  
 リンが瞳を開けると潤んでいた。その瞳で上目遣いに見上げるのだから、胸がきゅんと切なくなる。  
 キスの余韻に浸りながら、僕はリンの手を取り、股間へと導いた。  
「きゃっ」  
 リンの手が触れるとびくんっと股間のモノが反応する。もういっぱいに肥大化していた。  
「もう……こんなに…」  
「リンがしたんだよ」  
「ふふ」  
 小さく嬉しそうにはにかむリン。それから下を向いて紅い顔をさらに紅くする。  
 ビク、ビクと飛び跳ねるちんこを直視したから。レンの未成熟なちんことは違う一皮向けた大人ちんこ。  
「わぁ……すごい……」  
 ごくっと唾を飲み込む音が聞こえる。  
 
「ほら」  
 僕は優しくリンをベッドに寝かせて、上から見下ろした。小さな乳房も上を向き、乳首がツンと立っている。  
そのピンクの果実を指で挟んでしこらせると、リンが「あっ」と声を上げた。  
「あ……あっ……」  
 もう片方も指でしごいていくと、小さく「あっ、あっ」喘ぐリン。最初は小さく段々大きく。  
「あっ……はあっ……あっ……あっ、あ…。あ……ア……アァ…」  
 切ない声を上げながらリンは指を口に含んで吸う。声とともに胸の振動も大きくなっていった。  
でも小さな乳房はほとんど揺れない。うん。やっぱり小さいおっぱいは最高だ。  
ミクよりもさらに小さいリンの乳房。乳首だけでなく、手の平全体で丹念に揉んでいく。  
「ああぁ……はぁっ……!」  
 僕の体の下でリンが身悶えし、太ももがせわしなく摺り合わされる。  
「感じてる?」  
 胸から手を離し、体重をかけないようにそっと上に覆いかぶさると、口を重ねた。  
今度は唇を合わせただけのキス。でもとっても濃い味がした。涎と、官能の味。  
 すぐに口を離すと、「はぁ」という熱い吐息が耳を打つ。  
「リン」  
「ん……」  
 リボンに指を絡ませ、そのまま髪を撫でる。  
「ねえ……。あたしの、プロデューサーになって……」  
 またキスで口を塞ぎ、それ以上は言わさない。  
 そのまま下に口を這わせ、白い首筋に吸い付く。  
「はぁっ……」  
 ビクッと跳ね上がるリンの小柄な体。全力で抱きしめると壊れそうな脆い感触。  
でもその中にはとっても熱いエネルギーが秘めているのを僕は知ってる。  
「はあぁっ!」  
 下に、下に。僕の口がリンの白い裸身を舐めながら下に進み、かぷっと乳首に噛み付いた。甘く。  
そのまましゃぶるように味わう。リンのミルクの味がするおっぱいを。  
「はっ……ああぅ」  
 小さく蠢くリン。僕の手が太ももに伸びる。薄い肉の感触。細い脚を伝わり、  
手が付け根まで触れた。  
「あぐうぅ!」  
 直接そこに触れられ、リンの股間が跳ね上がり、落ちる。そこはもうしっとりと濡れていた。  
そして毛の感触はない。指で形を確かめるようにかきまぜていく。  
「リンのここ……あったかいよ」  
「もう……ばかぁ」  
 熱い吐息と精一杯の反抗が耳に心地良い。そして甘い喘ぎが。  
 指で割れ目を摺りながら、口で乳首を吸う。  
「はあぁう。あううぅ!」  
 上と下を同時に責められ、リンの小柄な肢体が飛び跳ねた。僕も一緒に揺られ、ベッドがギシギシとなった。  
「アァ……はああぁっ!」  
 リンの目から涙が溢れるのを見た。胸をしゃぶりながらちらっと横を見ると、ミクがこっちを見ている。  
僕のパンツを握り締めながら。ミクもまた瞳を潤ませていた。  
「んぅ!」  
 喘ぎ悶えながら、リンが僕の頭を両手で包み、上を向かせる。こっちを見て、  
と言うように。  
 胸から口を離した僕は、手で股間をまさぐる。  
 
「は、ううぅん!」  
 たまらずリンの手が僕から離れ、ベッドのシーツをぎゅっと握った。  
 股間の中心にぎゅっと指を押し込むと、固い肉の感触が跳ね返る。  
「んんぅぅぅ!」  
 びくっ、ビクっとリンの腰が上がり、僕の手から逃れた。  
「はー。はー」  
 そして目を閉じて息を整え、脚もぴったりと閉じる。これ以上はさせないようにと。  
「リン」  
 僕はリンの頭を撫でながら、涙の伝う頬に何度もキスして舐め取ってやる。  
「うぅ」  
 息を整えたリンが目を開けて僕を見上げる。  
「いい、よ……」  
 ふっと力を抜き、わずかながら脚が開いた。  
「ミクお姉ちゃんよりも……上手にやるから……」  
「リンはリンだよ」  
 ちゅっとキスし、彼女の股間に視線を移した。恐る恐る開かれた脚の中心には、ピンクの花園が色づいている。  
「ハー、やぁ……」  
 やっぱり恥ずかしいのだろう。リンの脚が止まっている。  
「やめる?」  
「ダメェ……」  
 ぐったりと脱力したようにリンの脚が開き、僕に満開の肉園を見せてくれた。  
しっかりと濡れたまだほとんど毛の無い肉の割れ目。薄く開いたその向こうには桃色の膣肉が蠢いている。  
「よく出来てる」  
 僕はリンの腰に手を添えて、ぐいっと引き寄せた。  
「きゃうっ」  
 怯えたような声音を出すリン。実際小さく震えていた。  
「……あ」  
 横から霞んだ声。ミクだ。僕のパンツを握り締めたままぎゅっと固まっている。  
僕は安心させるようにミクに笑いかけ、そしてリンにも同じ笑みを向けた。  
「いくよ」  
「う、うん……」  
 
 ぎゅっ  
 
 遠慮も躊躇もなく。僕は幼いリンの膣に、己の分身を差し込んでいく。  
「ひっ……!」  
 きゅっと固くなるリン。先端に触れる割れ目も固くなったが僕は構わず進んだ。  
「ひぎっ……アッ、アアアッ……」  
 リンの口がぱくぱくと開き、ずっずっと肉棒が奥に埋まっていく。  
「ふー」  
 リンの中は狭く、そして熱い。まだ全部は入っていないが、僕は固い肉の感触に包まれながら腰を止めた。  
「あ……アァ……はぁ」  
 リンの口からホッとしたような安堵の息が漏れ、そして涙が頬を伝う。  
「プ、プロデューサー」  
「ん?」  
 僕は上半身を曲げて、リンの背中を抱きしめてやった。リンも僕の背中に手を回して抱きついてくる。  
「あ、ああぁ」  
 そして熱い吐息。繋がったままじっと動かないが、それだけでリンにはいっぱいなのだろう。  
 
「……はぁ、ああぁ。プロデューサー……」  
「リン。リン」  
 一つになってもなおお互いを呼び、求める。とリンの腰ががくっと浮かんだ。  
「はぐっ!」  
 刺さったままの肉棒膣肉を抉り、刺激を与える。それでもリンは腰をガクガクと揺らし続け、僕のモノを締め付けた。  
「く、うぅ」  
 さすがにキツい。ただでさえ狭いリンの膣を抉り、固い肉とぶつかっているのだ。  
「……はぁ。ああぁ……。お、お願い……遠慮しなくて……いいから」  
 潤んだ瞳で懇願してくる。リンはこの小柄な体で精一杯、僕を満足させようとしていた。  
「プロデューサー……」  
 ビクンッ! と僕の身体の根元から熱い衝動が迸り、肉棒を伝わって、リンの胎内に注がれていった。  
「は、ああっ!」  
 汗にまみれた体が密着し、リンの脚が僕の腰にしがみつく。  
 ドクドクと注がれる射精を受け、リンが達した。僕も。  
「アアアーッ! うがああーっ!」  
 ケモノみたいな声を上げ、リンの手が僕の背中を掻き毟る。でも気にはならない。  
それ以上の快感が僕を包み、リンにぶつかっていくから。  
「アアアアアーッ!!……アァ……あうぅ……」  
 リンに最後の一滴まで注ぎ、僕はがくっと脱力した。リンを下に感じ、ベッドに沈み込み、慌てて横に回転する。  
 ずるっと幼い膣から肉棒が引き抜かれ、白い精液が太ももまで伝っていった。「はぁ……。ふー」  
 額に汗を浮かべるリンに腕枕して胸元に抱き寄せ、口を合わせて軽くキス。  
「どうだった?」  
「うん……。すごかった」  
 思い出したように紅くなるリン。そして、  
「プロデューサーは……気持ちよかった?」  
「ああ」  
「ミクお姉ちゃんよりも」  
 僕は何も言わず、彼女の頭で揺れるリボンを撫でる。その向こうでは立ち上がったミクが僕のパンツを噛んでいた。全裸で。  
「ほら。ミクもおいで」  
「だめっ!」  
 今度はミクの番。と思ったら、リンが僕に抱きついて制止する。  
「きょ、今日は……あたしのなんだから」  
 
 ごーん ごーん  
 
 リンが言ったと同時、どこから除夜の鐘が聞こえてきた。  
「あけましておめでとう」と僕。  
「「お、おめでとう」  
 腕の中でリンがなぜか恥ずかしそうに言う。ミクからは返事もない。  
「ほら。もう年も明けたよ。ミクもいいだろ?」  
「うー」  
 腕の中で唸るリン。  
「いいです私」  
 唐突にミクから断る。僕のパンツを落とし、気絶したままのレンを引きずって寝室を出て行った。全裸で。  
「じゃ、おやすみなさい」  
「おやすみー」  
 きゃーと僕に抱きつくリン。僕は……呆然と見送るだけだった。全裸で。  
 
 それからは何もする気がなく、ただリンと裸で抱き合ったまま眠りに就いた。  
それでもリンはとても幸せそうな寝顔で。ずっと僕に抱きついていた。全裸で。  
 
 朝になってミクと顔を合わせても  
「あー。太陽が黄色い」 、彼女はただ「おはようございます」としか言わなかった。  
 窓から差し込む初日の出を見ながら、僕は呟く。後ろには三人のボーカロイド、ミクとリンとレン。  
「ほーら、お年玉だよー」  
「「「わーい」」」  
 無邪気に受け取る三人。  
「お餅でも食べながら新年の抱負でも語るか」  
 僕は初日の出を見ながら、腕を振り上げていった。  
「さあ、みんな。今年も後ろ向きに行こう!」  
「「「おー!!!」」」  
 
(おしまい)  
 

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