日本独特の湿気を含んだ暑さは嫌になる。  
汗で服や髪が肌にはりついてイライラする。  
こんな時、男はいいなぁ、と思う。  
坊主に出来るからね。  
 
学校から帰ってすぐ制服を脱いでタンクトップとショートパンツになった。  
あー涼しー。  
台所に行って、数日前に買ったみかんゼリーを探す。  
確か上から2段目に置いた筈…。  
無い。  
私のみかんゼリーが無い。  
「何で!?」  
半泣きになりながら階段を駆け上がってノックなしでレンの部屋に飛び込んだ。  
あたしのものを食べるのは大概レンだ。  
今までの経験からして絶対そうだ。  
 
「レン!!」  
 
レンは突然入ってきたあたしにびっくりして持ってたPSP落としてた。  
何かクエストがどーのこーのとか言ってるけどそんなん知ったこっちゃない。  
「あたしのみかんゼリー食べたでしょ!」  
「はぁ?食ってねーよ」  
レンは怪訝な顔で言った。  
「ウソウソウソ!だって1ヶ月前にあたしのシュークリーム食べたのも、3ヶ月前にあたしのクッキー食べたのも、半年前にあたしのチョコ食べたのも全部レンだったじゃん!」  
レンは呆れたように  
「記憶力良すぎてきめぇ…」  
と呟いた。  
あーあ、この記憶力が勉強に活かされればいいのにな。  
「なら俺も言わせて貰うけどな…」  
 
レンは今まで座ってたベッドから立ち上がった。  
あれ、何かこめかみヒクヒクしててちょっとやばい?  
「1ヶ月前に俺のコーラ飲んだのも、3ヶ月前に俺のワッフル食べたのも、半年前に俺のポテチ食べたのも全部リンだよな?」  
何よ、レンだって覚えてるじゃない。  
あたしは自分のことを棚に上げてこう言った。  
「過去のこと気にしてたらモテないわよ、チビ」  
レンはあたしより身長が(5mm程)小さいのを気にしてる。  
レンは明らかに怒っていて、こめかみと口角をヒクヒクさせていた。  
「言ってくれんじゃねーか。このド貧乳」  
あ、こいつ地雷踏みやがった。  
「その貧乳触れて喜んでたのは誰ですか〜、この粗チンが」  
「その粗チン突っ込まれて喘いでるのは誰ですか〜」  
「あれはアンタに気ィ使ってんの!あんまり無反応だったら可哀想だと思って…」  
「へー、とてもそうには見えないけどなー」  
「そーゆーアンタこそあたしにフェラされてあっという間にイッたじゃん!はー、早漏過ぎてヤんなっちゃう」  
「アンタ達うっさい!!」  
…メイコ姉の拳骨痛い。  
 
 

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