とある夏の一日
「あーうー。お兄ちゃん、クーラー点けようよー……」
「ダーメ。マスターに点けちゃいけない、って言われてるだろ?」
「お兄ちゃんのバカー」
ベッドの上でスカートを掴み、バッサバサやって風を内部に送り込んでいる女としてはあまりにもだらしないミクを、できるだけ視界から外しつつ、うちわを放る。
「これでも使えばどうかな?」
「こんな真夏なのにマフラーして、しかも長袖でよく暑くないね」
送り物が好ましくなかったのか、汗で湿った髪を額に貼り付けながらこちらを睨んでいる。
じゃあミクは僕より薄着なのにどうして暑がっているんだい? そんな疑問を飲み込みつつ、代わりに別の話題を口にする。
「じゃあ下へ行っておいで。冷凍庫に僕のアイスがあるから、食べてもいいよ」
「はーい」
ノロノロと緩慢なうごきで降りるなり、おぼつかない足取りで下へ向かうミクを見送る。ってスカート捲れてパンツが見えてる。
告げようにも、そそくさと足早に一階へと降りてしまったため、言えなかった。
この後、大慌てで戻ってきたのは言うまでもない。
水色のストライプ柄は、いかにも清涼感溢れる夏にはうってつけの模様だった。
とりあえず、ごちそうさまでし――うぼぁぁぁぁああああああああああ。
「だから、見てn――ちょ、ネギはダメ、やめt、あっはあああああああああん!」