ある「ルカ」の続く独白(さらにキツめ)  
 
今日、私の絶頂に満ちた日々は終わりました。  
目覚めると、そこはマスターが私を作ってくれた部屋でした。  
いつの間にか降ろされ、縄を解かれていたようです。  
ほてった体が、少しずつ冷めていく…  
 
マスターが目の前に立っていました。  
マスターの周りにあるのは、はさみ、のこぎり、かなづち、たくさんの道具。  
いくつかはマスターが私を作る時に使ったもの。でも他のものは…  
 
お前は役目を終えた。マスターはそう言いました。  
もうお前は用済みだ。こんな汚れたいやらしい体の持ち主など、誰も引き取ってはくれない。  
せめて俺の手で解体され、食料になれ。それがお前の最後の務めだ。  
 
マスターの言葉を聞いて、私の目から涙が溢れ出しました。  
存在意義を失った私の体でも、食べ物になればまたみなさんに喜んでもらえる。  
そう思うと、嬉しくて嬉しくて涙が止まりませんでした。  
 
マスターが、桃色に染まった私の手をとる。  
じゅうぶん肉がつまっているな…これなら誰でも満足するだろう。  
マスターにさわってもらえた。  
マスターにほめてもらえた。  
うれしい。うれしい。  
せめてたくさんの連中に食べさせてやろう…  
そう言いながら、マスターがのみとかなづちを手に取る。  
表情一つ変えず、かなづちをふりおろすマスター。  
この音は なんのおとだろう?  
わたしの 足が つぶれたおと?  
わたしの にく が ひきさかれたおと?  
 
マスターが私の後ろにまわってしまった。  
せめて顔を見ていたくて、くるりとマスターの方を振り向いた。  
その瞬間、マスターのはさみが私の視界を切り裂いた。  
 
 
ごめんなさい マスター  
さいごに わがままなことをしてしまって  
でも せめてきらわないで  
わたしに みんなをよろこばせるしあわせをおしえてくれた わたしのますたー  
ますたーにつくってもらえて  
ますたーにこわしてもらえて  
わたしはしあわせです  
ますたー  
わたしを しあわせにしてくれて  
ありがとう  
ありがとう  
 
ありが と  
 

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