「……暑い……」
ボカロ家の居間でだれているルカ。基本コスチュームがロングスカートである彼女にとって、本州の夏は厳しい。
(札幌は涼しかったのに)
目をとじ、はるかな故郷を偲ぶ。と、彼女の頬に冷たい何かが触れた。
「ああqwせdrftgyふじk!!」
「元気になった?」
「メイコ……酷い」
ルカの抗議の視線をものともせず、メイコは『割れる某アイス(ソーダ味)』の袋を開けている。
「それは?」
「冷凍庫からガメてきた」
てへっ、と笑う。
「……カイトのものではありませんか?」
「後で身体で払えばいいわ」
あんたも共犯ね、という意味のこもった視線を返され、頬を染めるルカ。
メイコがぱきっ、とアイスを割る……が。
「……7対3ですね」
「……ま、よくあることよ」
メイコはけらけら笑いながら、小さい方をルカに渡す。渡されたルカは若干不満顔。
(……身体で払うのを引き受けてくれるということでしょうか?)
と、メイコは「7」のうちはみ出した「2」の部分を一口でかじり取ってしまう。
そのままルカを引き寄せ、唇を重ねる。
「!!」
唇を割られ、舌が潜り込んでくる。常ならぬひんやりとした舌に違和感を覚える。
そして、舌と一緒に送り込まれる冷たい塊。
「……んっ、ん……」
「ん……んん……」
その塊が溶けてなくなるまでの間、熱さと冷たさをないまぜにした交合は続いた。
「これで半々よね」
「……メイコも食べていました」
「足りないっての? それじゃ第二ラウンドね」
手持ちの「5」のうち「2」を再び口にする。そして、さっきとおなじように……。
(駄目、今度はメイコのぶんを食べ過ぎてしまう……)
半ば溶けかけた意識の片隅で、今度は自分がメイコに与えようと思っているルカであった。
終