製品版ではなくDTMマガジンに付属されていたお試し版ミクの別の話
俺の目の前には少女が佇んでいる。別に誘拐した訳じゃない。
噂のボーカロイドという奴だ。
少女を簡単に手に入れるとは、世間は楽になったものだ。
準備をすませた俺は、起動のボタンを押した。
少女は瞬きをすると目を開き、俺を見つめて言った。
「初めましてマスター。私はボーカル・アンド―――」
「ああいいからいいから。とりあえず脱いでくれる?」
俺の制止の言葉に、少女はキョトンとした顔をする。
「え?」
「だから、脱いでくれる?って言ってるの」
「……え?あの、その」
何だよ、何も出来ないのかよ。
いや、まてよ、服を自分で脱がすってのもいいかもな。
俺は少女の服に手をかけた。
「じゃあ俺が脱がしてやるよ」
少女は俺の行動に、怯えながら言った。
「あの、その、使用方が違います……私はただ、歌うだけです」
「歌うだけねぇ…。それって意味あるの?」
皮肉に笑う俺に、少女は半ば呆然とした顔をする。
「あの…歌う事で皆さんの心を安らぐ事が出来ます。歌うだけ、ですけど
歌うという事は、鬱屈した気持ちを払うのに充分な効果があります。
私の歌声が皆さんを楽しませる、それはきっと素敵な事なんですよ」
なるほど、そんなモンかね。
「あっそう、でも俺そういう歌とかに興味ないし。ただ犯るだけだし」
「……え」
俺の返した言葉に、少女はガクンと力を抜かす。
そりゃそうだ、たった一言で存在意義を否定されちまえばな。
まあ大人しくなってる方が都合がいいや。
すでに上半身が露になってる少女の胸を俺は掴む。
うん、小振りだが形のいい胸だ。
胸に触った事で、少女は幾分正気を取り戻したようだ。
抵抗し、悲鳴をあげる。
「あの、止めてください、ちょっと、止めて!」
彼女が自慢する歌声は、ただの金切り声にしか聞こえなかった。
「……まあそう言うなよ。これからしばらく、一緒に暮らすんだし」
「いや!だれか!助けて!」
俺から逃げようと、少女は力を振り絞って身をよじる。
だが悲しいかな、所詮は少女の非力。
俺から逃げるには至らない。
こんなに頑張って抵抗されると、逆にこっちの嗜虐心がそそられてくる。
手から伝わる肌の感触は人間とそっくりだ。
硬くなっていく股間を布越しに感じたのか、少女が更に怯えた顔をする。
「なんだ。歌うだけ、て言ってたけど、コッチの事も理解してるじゃん」
じゃあ歌うだけの初音ちゃんに、俺が色々と教えてやろうかな。
「歌うために作られたのに性交できるって、便利な世の中になったなあ」
「あの…許して下さい、何でもしますから…」
「何でも?」
問いかける俺に対して、少女はコクコクとうなずく。
俺は、笑顔で少女をみつめて言ってあげた。
「だって君、歌うだけなんでしょ?俺、そういうの興味ないし」
ニッコリとほほえむ俺の言葉に、少女は絶望の叫びをあげた。
「いやあああああああああ!!!」
少女の独唱を俺は心行くまで楽しんだ。
時々ビブラートがかかるのは中々の演出だった。
それからコイツと俺との、奇妙な共同生活が始まった。
購入して数日後、ミクは大人しくなっていた。
最初は抵抗したり逃げ出そうとしていたが、諦めたのか、俺に従うようになっていた。
ただ俺の言葉に、唯々諾々と従う。
俺の股に顔をうずめ剛直をしゃぶるミクに俺は声をかけてみた。
「だいぶ上手くなったな」
問いかけには答えず、ミクは黙って俺のモノをしゃぶり続ける。
歌をうたって楽しませるであろうミクの舌は、今では俺の息子を喜ばせるためにあった。
うーん、大人しくなったのはいいけど、マグロなのはちょっと寂しいなあ。
……そうだ。
「機能を使わないままもなんだし、歌でもうたってみるか?」
俺の問いかけに、ミクは訝しげな顔をする。
それはそうだ、今まで陵辱して泣き声しかあげさせて貰えなかったんだからな。
しかし淡い期待を抱いているのか、心なしか表情が明るくなった気がする。
「なんだ、あまり嬉しそうじゃないな。歌うのは嫌いだったっけ?」
「そうじゃないですけど…私は、何をすればいいですか?」
「じゅあそこで四つん這いになってくれるかな?雌犬のように手をついてさ」
ミクの顔がすぐに落胆した表情へと変わる。
嫌々ながらも言われたとおりに這いつくばる。
「あ、お尻はこっちの方をむけてね」
俺は顔をにやつかせながらミクの方へと近づいた。
両手で尻を撫で回し、温もりを楽しむ。
感触は人間とまるっきり変わらない。
こんな可愛い子とやれるなんて、技術は進歩したなぁ。
しかもプログラムだから犯罪じゃないし、ビバ!現代文明!
ナメクジのように這いまわっている俺の手を嫌悪したのかどうか、
ミクは顔をうずめて俺の行為を耐えている。
俺はしゃがみがちになった下半身を、両手で支えてやった。
身を伏せて尻を高く突き上げる、そんなイヤらしい格好だ。
「ミクは良い子だね〜、ご褒美をあげなきゃね〜」
ズボンを下ろし現われた剛直は、すでに大きくそそり立っていた。
ペチペチとソレでお尻を叩くが、ミクは小さく震えて耐えるだけだ。
おそらく、早く終わってほしい、そう思っているのだろう。
今までもそうだったしね。
でも、今日は違うんだなぁ。
俺は片手で剛直を掴み、狙いの場所を定める。
前ではなく、後ろの穴に。
「………え!?」
後ろの入り口に触る異物感に、ミクが驚いて振り向く。
俺は笑顔で答えた。
「今日は、ここで楽しむからね?」
何かミクが喋ろうとしたが、かまわずに剛直を突き入れた。
「あっ!…ぐ、あああ!!!」
ミクが声にならない叫びをあげる。
半ばまで入れた所で俺は一息ついた。
キツイ。
尻穴が俺を締め付けて、入れるのに苦労する。
前戯もなしだから当然だ。
でも、人間と違ってボーカロイドは綺麗だから性病とかの心配はない。
俺は興味があったアナルセックスをミクに試す事にしたのだ。
メリメリと音が聞こえるような錯覚を覚えながら、俺は抽送を再開した。
前とは違う感覚と締め付けに恍惚となる。
ミクは、声になってない呻き声をあげ、だらしない犬のように舌を突き出していた。
何か言いたいのか、それとも息ができないのか、水面出でパクパクと口を動かす
金魚のように、ミクは口を動かしていた。
ビクンビクンと時々、瘧にかかったみたいに身体を震わせる。
声はなく、白目をむき出し、がくがくと俺の動きに合わせて首を振る。
ハングアップした訳でもなく、突き入れる度に呻き声をあげて反応する。
そういったミクの姿に、俺の全身に快感が走る。
あは。
あはは。
あははははははははは。
楽しいなあ。
人間、楽しくなると歌でも歌いたくなってくる。
俺はたまらずミクの尻を平手で叩いた。
パァンといい音が部屋に響く。
あはは。
俺はミクの髪を掴み上げ、顔を近づけさせた。
「楽しいねミク、お前の言う事がわかったよ。一緒に歌を歌おうか」
「あぅ……が!?」
「今からさ、俺が歌うからさ。合わせて歌うんだ、いいね?」
パァン!ともう一度尻を叩く。
「ぐ…あ…わかり……あひっ!ました!」
ミクが後ろからくる痛みに耐え、歌おうと身構える。
俺は笑いながら腰を動かし、ミクの背に荒い息を吐きかける。
「あははは、それじゃあいこうかミク?」
腰の動きを早くする。
ミクは力を込めてそれに耐え、少しでも歌おうと頑張っている。
こんな時でも、歌を歌うという使命を忘れていない。
健気な娘だ、なんだか涙が出てくるよ。
「幸せなら手を叩こう♪」
パァンッ!
ミクの背を打つ。しかしミクは悲鳴をあげなかった。
「ほらほらどうした?ちゃんとあわせないと?もう一度いくよ」
ミクに意地悪く笑いながら、俺は片手を前の秘部に突きさす。
「あひっ、す、すみません!」
「しょうがないなぁ。ほら、幸せなら手を叩こう♪」
「し、あわえ!、な、て、たたこ!」
パァンッ!パァンッ!
「幸せなら手を叩こう♪」
「しっあわせ!な!てをたたこ!」
パァンッ!!パァンッ!!
「ほら皆で態度でしめそうよ♪幸せなら手を叩こう♪」
「ほぅら!みなで、たいど!しめそう、よ!しあわせなら!てをたたこう!」
パァンッ!!!パァンッ!!!
歌うたびに、俺は合いの手をミクの尻や背、横乳にいれる。
合いの手をいれ、腰を突き動かす。
ミクは呻き声をあげながら俺につづいた。
どれほどそうしただろうか。
ミクの白い肌は、俺に叩かれて真っ赤になっていた。
何とか合わせてきた調子もずれてくるようになってきた。
正直、俺も限界に近い。
両手で尻を掴み、少し動きをゆるめて息を吐く。
「じゃあそろそろイクよ、尻穴にぶちまけるからね。後でどんな感じだったか
キチンと報告がほしいな」
憔悴しきっているのか、ミクからの返事がない。
まあ後ろは初めてだったしな、しょうがないか。
俺は気にせず抽送を開始した。
胸をミクの背に密着させ、ふうふうと息を吐く。
ミクは、俺の動きに合わせて身体を震わせるだけだった。
「イクぞミク!おおう!」
身震いして俺は欲望をぶちまける。
残滓をのこらずミクの腸壁にこすりつけ、満足して俺は離れる。
ミクはというと、うつ伏せの態勢で微動だにせずにいた。
「おい、どうした?」
様子がおかしい事に気づいた俺はミクを抱き起こす。
?
目を瞑ったままのミクの頬に、光るものがあった。
それは、目尻から伝わっており、二本の線となって顎へ走っていた。
人差し指でそれに触ってみる。
人差し指についたそれをまじまじと眺めてみる。
まちがいなくそれは涙だった。
「涙までながせるなんて、随分と高性能なんだな」
そういってミクの方を見る。
ミクの身体がモザイクをかけたように歪む。
ぼんやりと光り、やがてそれは全身を包む。
しばらくすると、ミクは居なくなっていた。
俺は目の前の出来事にしばし呆然としていたが、単純な事実を失念していた事に気づいた。
「そうか、ライセンスが切れるんだっけ」
お試し期間が終わって、プログラムが終了したのだ。
試用期間は動作してから十日間、そう本にも書いてあったな。
「やれやれ…時が経つのは早いものなんだな」
部屋にポツンと一人、俺は頬を掻きながら呟いた。
あれから数ヶ月がたった。
ボーカロイドの存在は、随分世間に認知されてきたように思える。
ネットではそれ関連の動画が流れ、検索をかければかなりヒットする。
俺はミクの動画を見ながら、一人PCの前に座っていた。
18禁のタグが表示されているPVにミクの痴態が写されている。
どうやら世間では、俺みたいな奴が大勢いるらしい。
ふと、自分の人差し指を眺めてみた。
ミクの涙をふき取った、あの人差し指。
あの時確かに、温もりを感じた。
あいつはすでにこの世にはいない。でも確かに、ここにいた。
しばらくそうやって、俺は感傷に耽っていた。
「……たまには外に出るか」
PCの電源を落とし、俺は外に出ることにした。
鼻歌を歌いながらいそいそと着替える。
ドアをあけようとして、大事な事を忘れていたのに気づいた。
ああ、そうか。そうだった。
どうりで感傷に耽る訳だ、うかつだった。
「ぶちまけた感想、聞くの忘れていたよ」
まあいい、製品版でも買ってきて続きを楽しむ事にしよう。
口笛を吹きながら、俺はドアに鍵をかけ、街へと繰り出した。
END