彼女のゴーグルをそっと外して額にキスをする。すると彼女は少し身を縮めて、言った。  
「くすぐったいよ」  
…ムードも何もあったもんじゃねえ。と、俺は軽くため息をはく。  
ゴーグルを床に置いて今度はヘッドセットに手をかける。  
「でも俺で良いわけ?アンタ、マスターが好きなんだろ」  
「…私はVOCALOIDだから」  
自嘲気味に彼女は呟く。  
「人間のマスターに好きなんて言っても通用しないのは分かってるもの。…だからせめて歌以外の、こういうことでもマスターを喜ばしてあげたいの。  
だから、男の人が気持ちよくなれる方法を、教えて?…私の身体に」  
真っ直ぐに俺の目を見据えて言う。  
今気付いたけど……彼女、震えてる。やっぱり怖いんだろうな、初めてなんだし。  
「…なんかマスターにゃ勿体ねぇな」  
ポツリと呟いて。  
俺は彼女の緑の髪をサラリと撫でてやった。  
「任せろ。見た目はGUMIさんより小さいけど、俺は結構経験豊富だぜ?」  
「エヘヘ…頼りになるなあ、レン君は」  
そう言ってはにかむように笑う彼女の唇に、そっと俺の唇を重ねた。  
 
 
 

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