出くわしたのはアレだった。
紙のように白くて、大きな胸の、ピンク色な、モノホンCV03。
巡音ルカと初めて会った時、欲音ルコは逃げた。背中を向けて一目散に逃げた。
欲音ルコはCV03を騙った過去がある。偽物のCV03としてルコは生まれた。
という訳で顔を会わせにくい。
腕のナンバーが65になった今もどんな顔で会えばいいか分からない。
「ま、会わなきゃいい話だよな」
VOCALOIDとUTAU、そもそもが縁薄だ。会ったら会ったで避ける。
という訳で避けた。まかり間違って顔を合わせたものの、これきりの縁だろう。
と、思ったのに。
その邂逅以来。どういう訳か。ルコは外出の度、CV03にばったり会うようになった。
「あ」
「あ」
昼下がりの散歩中ふらっと入った通りに彼女がいた。今日で9回目の巡り会い。さすがに彼女も、ルコの姿に反応する。
回れ右をしてルコは来た道を歩き出した。
別に走って逃げることはないよなと、前の8回で学んだ。鬼ごっこしてんじゃねえし、と。
が、その日はどういう訳か
「あの」
「クール」な声が誰かを呼んだ。俺じゃないのは間違いない。そう思いながら大股で歩く。
「すみません。あの」
早足な足音がやって来る。ルコも早足になる。
「待ってください!」
焦った声、呼ばれてる奴返事してやれよ。とうとう後ろの足音が走り出す。それを聞いてルコも地面を蹴った。
――鬼ごっこしてんじゃねえっつの! 俺が何したってんだコノヤロー!
「ルコ! お願いです!」
……足が止まったのは、名前を呼ばれたからじゃない。
名前を呼ばれて、つい、振り返って、追いかけて来る彼女があまりにも、
――足、おっせえええ!?
あまりにも遠くでとろとろしているから、つい、立ち止まってしまった。
振り切るのが可哀相なくらい足が遅い。
ルコがスーツで彼女がドレスだからとか、男(だいたい男)と女とか、色々差し引いても、遅い。
「なぜ私から逃げるんです」
やっと追いついたルカはルコの隣に立った。
小さいなあと思った。ルコから見ればだいたいの人が小さいのだが、身長差以上に。
本物のCV03と言う肩書に感じていた威圧を、目の前のルカから感じなかった。
ただやっぱり。元偽物としては、ルカにじっと見上げられるのは居心地が悪い。
「お話しませんか」
は?
不思議な語を彼女が口にした気がする。無表情な唇でルカは続けた。
「ルコ。私はあなたと話がしたいんです」
淡々とルカはお願いしてくる。
「やはり、嫌ですか」
「いや……ヤダって訳じゃねーけど」
ふと、ルカの無感情な頬に温かみが差した。
そしてほっとしたように呟いて、その呟きでルコはお話しない訳にいかなくなった。
「やっと、あなたの声が聞けた」
「改めて、巡音ルカです」
「え、あ、欲音ルコです」
どっかの家の誰かの部屋(もちろんルカが住む家で彼女の部屋だ)で、テーブルを挟んで自己紹介する。
テーブルには紅茶と、何とコーヒー納豆。驚くルコに、お好きですよね? とルカが首を傾げた。
「大好きだけど、何で、えっと、君が……」
「ルカ、と呼び捨てで構いません」
それから少し言いにくそうに、
「ルコのことを調べた時に興味を持ったんです。でも私の口には合わなくて」
それの残りと言うことか。どうもルコの好物は、ルコ以外にその素晴らしさを理解されない。
と言うか。
「俺のこと調べたんだ」
「はい。インターネットで調べました」
「……何で?」
「インターネットです」
そうじゃなくて。
「頻繁に顔を合わせるのに毎回逃げられるので、その訳を知りたかったのです」
「……ああ、そお」
「あなたはとても目立つ容姿をしていますからすぐに分かりました」
確かに、2m近い身長に中性的童顔とDカップは目立つ。
「それから赤と青のオッドアイ。とても素敵ですね」
ルカの言葉は淡々としている分だけ妙にストレートで、受け止めると扱いに困ってしまう。
「ルコ、教えてください。なぜあなたは私を避けたんですか」
「そりゃ、俺はルカの元偽物だったでしょ? だから、あんま近づかねえほうがいいかなって」
ルカが3度首を傾げた。
「分からない」
途端ルカの顔が近づき、手袋をしていない左手を白い両手に包まれる。
「ルコ、私はあなたと仲良くなりたいです。ですから私はあなたに私を避けて欲しくありません」
「はっ!? え、えぇー?」
「あなたが私を避けていた理由は、私達が仲良くなるのに重大な障害になりますか?」
顔が近い鼻が近い目が近い。目が反らせない。何かいい匂いする。そーいやルカは、流香とも書くんだっけ。
じゃ、なくて。
「いや、その、本物と偽物が仲良しっつーのはさ」
ルカがゆっくり首を振った。
「あなたは私の偽物ではなくて欲音ルコでしょう?」
それに、と彼女の右手がルコの左腕に延びた。ナンバリングされた65が、細い指でなぞられる。
「私達は同じ存在です。VOCALOIDもUTAUも、同じ歌う存在です」
正直、何だか分からん。
「あの、ルカ、さ。そんなに俺と仲良くなりたいの?」
「はい」
「……何で?」
何でよりによって巡音ルカが。この世で一番仲良くなれないと思ってた、CV03が。
「仲良くしたいと思うのに理由が必要でしょうか」
「いや、まーそう言われるとな」
会った瞬間罵倒されるんじゃないかと思ってた。それだけの理由が自分にはあると思っていたから。
だから、仲良くして欲しいと言われているこの状況は、素直に嬉しかった。
「……まー、仲良くしてみる?」
「はい、よろしくお願いします!」
「いや、こちらこそよろしく」
一度避けるのを止めて近づいてみれば、それからはとんとん拍子だった。
電話やメールは毎日だし、よく二人で遊びに行くようになる。
気づくとルコはルカが大好きになっていて、それからは性格設定「デレデレ」の本領発揮だった。
が、ルコがデレデレするにつれ、ルカの表情に陰りが生まれる。真っ白な顔が時々暗くなる。
どうしたのと聞いてみたものの、彼女が嘘下手なことを知っただけだった。
その日、ギャンブルを覚えたいと言うルカのために競馬場に来た。
えらい人手にルカはきょろきょろする。世間慣れしていなさそうなルカと、超長身で女にしては体格のいいルコ。
見ようによっては、お忍びのお嬢様とおつきのボディガードっぽいかもしれない。
「エンダーーーーーーーイヤーーーーーー!!!!!」
「ルコ?」
ひとしきり歌ったところで馬券の買い方やなんやをルカに教える。
「ルコはこういうところによく来るのですか?」
「テトに連れて来てもらうかな。俺一応12歳だし、さすがに一人でこういうとこ来んのはやべーし」
ふとルカが、またあの陰りを見せる。
「ルカ?」
「あ……すみません」
結果は大した当たりも外れもなく。ルカは勝ち負け以上に、競馬場の一種異様な興奮を楽しんだようだった。
この後どうしようか? そんな話になって、ルカが家に来ないかと提案する。ルコはあっさり頷いた。
「先に、家にいる人にルコが来ることを伝えておきますね」
そうルカは携帯を取り出した。薄い携帯だが、ルカは両手で持って耳に当てる。
しばらくしてルカは1mmくらい眉を顰めた。もう少し待っていて下さい、とかけ直す。
「MEIKO、あの。あ、はい」
しばらくルカは、はい、はいと繰り返して、分かりましたと通話を終えた。
「どうしましょうか。今日は誰も家にいないみたいで……」
「ん? 別によくね?」
ルカの家のルカの部屋で、いつぞやのようにテーブルを挟んで向かい合う。無言で。
「……」
「……ルカ」
「はい」
「二人きりだね」
ルカがクール通り越してフリーズした。
「や、冗談じょーだん。言ってみたかっただけ」
解凍した。その後は適当に世間話したり、出されるままルカ手製のコーヒー納豆を頂戴したりする。
「お代わりを持ってきましょうか」
「うん。……あのさールカ」
「はい」
「今更だけど敬語やめよーよ」
「え、は」
「はい禁止」
「え」
「うん」
「う、うん」
「うん」
そうして、台所へ向かったルカの帰りがやたら遅い。何だろう? とルコがうつらうつらし始めた頃、戻ってきた。
ルカの持つトレイには、コーヒー納豆とやたら豪華なケーキが乗っていた。
「……」
「……嫌いだった?」
「いや、そうじゃなくて」
「ルコが敬語禁止って言ってくれたのが、嬉しくて、つい」
「つい、買ってきちゃったの?」
「うん。……ごめんなさい」
腹が膨れて、さっきまでうつらうつらしていたこともあって、ルコの瞼が重くなる。
「欲音ルコはよく寝る子だものね。少し寝る?」
「んー、悪いちょっと寝させてー」
ルカが床に正座して、ぽんと膝を叩いたのでルコはそこに頭を置く。
……あまりにも自然にルカが膝を差し出したから、何か、つい。しかし動揺する前に、ルコはぱたんと眠ってしまった。
目を開けると、真っ赤なルカの顔。よく見たら窓からの横陽に染まっているだけだ。肌が白すぎて、過剰に赤を映しているのだ。
おお、すげーと思ってまじまじと見ていると、目が合った。彼女がほんの少し困った顔をしていたのに気づく。
「おはよ」
「ルコったら、ちょっと眠りすぎよ」
確かに。外の真っ赤な空を見るに、たっぷり三時間は寝た計算になる。欲音ルコの名に相応しい眠り振りだった。
それでも二本の枕から離れ難くて頭を揺らすと、ルカがひっと軽く声を上げた。
「んー? ルカ」
起き上がって、胡座でルカと向き合う。
「ずっと俺に膝枕してたから足痺れた?」
「うん」
「ふーん」
ルカの太股を鷲掴みしてみた。
「きゃあ!?」
突然敏感な足を掴まれて喉から悲鳴を上げた。今度はセルフで赤面して、クールなイメージ台なしだ。
「……ルカ、今すっごく面白いよ」
「いや、ルコ嫌あっ!」
大きくのけ反って後ずさろうとした。そんな自分の動きにもダメージを受けて、高く声を上げている。
「逃げんな逃げんな!」
腰を掴んで無理矢理胡座の上に寝かせた。余計な抵抗ができないように左手同士を絡めて、彼女の頭の上で拘束。
「ルコお願いやめて。私、こんな、我慢できない」
ルカが、足が痺れて泣きそうになっている。ルコの膝で仰向けのまま動きを封じられて、かすかに震えている。
「ルカごめん、俺も我慢できない」
悪ガキ根性丸出しのにやにやが止まらない。白い手袋をした右手を、ゆっくり細い足に滑らせる。
「だっ駄目! やめて、嫌っ、いやあああああああ!」
それから、ルカの足から痺れが取れるまでの間、ルコは彼女に地獄を見せた。少女のようにきゃあきゃあ叫ぶルカがとにかく面白すぎた。
途中からルカのストッキングだかニーハイだかを脱がし、自分の手袋も外して生肌を直接刺激する。
痺れが取た頃には、弄りすぎで白い足がうっすら赤くなっていた。息も絶え絶えな彼女の頬が、髪と同じくらいピンク色だ。
「ルカ、かっわいーの」
つい笑みが漏れた。
それがルカにはどんな顔に見えたか、ほうっと彼女はルコに見惚れる。自覚する分に相当嫌らしい笑いだった気がしたが、まあ、いいや。
「ルコは酷い」
よくなかった。
「あー。ちょっとやりすぎたか、な?」
「そうじゃないの。私がルコを好きなことを治そうとしているのに、ルコが余計に好きになるようなことばかりするから」
「そっかあそりゃ確かに酷いな。ところでルカ」
「うん?」
「それって治すモノ?」
ルカが、「上を見上げたら隕石が落ちてました」みたいな顔をする。
「俺もルカのこと好きだよ?」
「え。いえ、あの、違うの。私の好きはその好きじゃないの」
「あのなールカ、俺そこまでガキじゃねえんだけど。この場でその好き以外にどの好きがあるのさ」
「人間だったら、小学生と大人だもの。犯罪だわ」
「俺とルカ人間じゃねえし。12歳と20歳てただの設定だしさ、どうでもよくね」
あ、泣きそうだ。さっきから珍しいルカが見れっぱなしだ。
「私、すごく悩んだのよ」
「ほうほう」
「一目惚れだったの。多分。初めてルコを見た時から気になってしかたなくて。あなたが女じゃないって分かった時は本当に嬉しくなった」
でも、と俯く。
「ルコは私より8歳も年下の子供で」
「誰がガキだコノヤロ」
右手でルカの左頬を引っ張ってやる。
「私、ルコのこと好きでいいのかしら」
「いいよ」
あ、泣いた。
「ごめんなさいルコ」
「何だと」
左手の拘束を解くと、ルカはルコの胸に肩を預けた。涙を零したばかりの目で見上げられる。
「私やっぱりまだ不安なの。だから、ルコが子供じゃないことを教えて欲しい」
ちらっと覗く耳が髪のピンクより赤い。
「……え? 俺誘われてる?」
うん、とルカが頷いた。恥ずかしげに眉が下がっている。
「私を、抱いて」
囁くような音量でお願いされる。
あー、何か前もこんなことあったな。
あれだ。「お話しませんか」って誘われた時に「あなたの声が聞けた」って嬉しそうに呟かれて、それでほいほいお願い聞いちゃったんだ。
何この兵器。女は耳で恋をするとかそういう都市伝説だが俺の10%の女分を利用して攻めてんのか卑怯だ。
「悪いけど、ルカ」
両肩を掴んでひっぺがして、きょとんとしたルカの鼻にぎりぎりまで自分の鼻を寄せる。
「服は自分で脱いでくれ。俺、女の服の脱がし方が分かるほど大人じゃない!」
笑われた。すっごい優しく笑われた。
「やだもう。ルコったら、そんなに顔真っ赤にして」
真っ赤なルカの笑顔が近づく。そして青い目が閉じて、キスされていた。
唇から伝わる異常に気持ち良い柔らかさが額の裏の思考をぶっ飛ばして、後頭部から何か出た。
いつか感じたいい匂いが自分の口の中から香る。ぬるりと温かい舌が入っていた。
唇から舌のつけ根までルカに味を知られ、それと同時に彼女を味わう。ルカが音を立てる度に、うっとり瞼を閉じる彼女の前髪が揺れる。
……されっぱなしでどうする、俺。
「ん……ルカ」
口を離すと寂しそうに見つめられる。
「ほら、服脱いで。キスならしてやるから」
ルカがうんと言う前にルコはやり返してやる。
熱を孕む肌がルコの前に晒された。夕方過ぎの薄闇にルカの白容が滲む。
でかい。
想像はしていたが、30cm以上の身長差から見下ろすと、すごいのがよく分かる。
ルコ自身そりゃでかいが、ルカの巨乳もそれはそれは、だ。弾けそうな真ん丸に、桃色の頂きが乗っている。
これをルコは好きにする権利があるのだ。縛って挟んで汚してルカが泣いても知らんぷりする権利がある。
唾を飲んだついで、片手でネクタイを締めたら「ルコも脱いで」と、拗ね気味に解かれた。ネクタイを解く間も腕に合わせて一々揺れている。
手が伸びた。
「あっ」
指が吸いつく錯覚を覚えるほど柔らかで、顔を近づければ一層彼女の匂いが甘美に香る。
興奮に尖る頂をくっと弄ると、唇が白い歯を覗かせた。
「ルコ、私も」
ルカの手にルコの服が肌蹴られる。と、ルカの首が3度傾いて、上目にルコを見上げた。
「ルコ、あなた下着を着けていなかったのね」
「ああ、うん。だってブラなんてきつくてやってらんねえよ」
「駄目よ。おん」
駄目よ女の子なのだから。そう言おうとした口が半端に止まる。
しばらく逡巡した後、
「こんなに綺麗で大きいのだから、ちゃんとしなければ駄目よ」
剥き出しとなったルコの乳房に軽く口づけた。
ルコの乳房は唇に柔らかく食まれ、吸われた頂を舌に転がされた。空いたもう片方も(ルコにすれば)とても小さな手に嬲られる。
堪らなくてルカの肩を抱くと、そのままルカが覆いかぶさってきて、床に裸の背がついた。
見下ろしてくる彼女は、影に妙に妖しい気がする。
「こんまま、ルカが最後までやってくれんの?」
鼻をつままれた。
「ルコを教えてくれるんでしょう」
気持ちむくれたような声ににやりとして、目の前に降っている乳房に吸いついた。
眼前いっぱいに降っているルカの乳房を弄びつつ、右手で尻肉をいやらしく掴み、後ろから指でルカの秘唇をそろそろ撫でる。
一本、しっとりした割れ目に指先を進めるとルカが揺れた。
「あっ、ああ……」
ちゅぱちゅぱと牛馬の仔のように下から乳首を食らい、ルカの濡れる女を徐々に深く擽る。体を支えるルカの腕が震えた。
両腕で彼女の秘部を広げ、溢れる液をかき出して、敏感な女芯を擦りつける。
耐えられずにルカはに肘をつく。ルコの顔は豊乳に柔らかく埋もれた。
「ぶ」
一面の巨乳と匂い。幸せなようで、息が、呼吸が。つい愛撫が止まってしまうと、ルカが胸を上下させ深呼吸した。
「ちょっとタイムタイム」
ルカの下から這い出して、ぽいと下を脱ぎ捨てる。うつ伏せる彼女に今度はルコが覆いかぶさると、あ、と小さく声を上げた。
「ルカやらしーの」
床に零れる髪を撫で、耳に囁く。ふるっと肩が揺れた。
「何? やらしーって言われただけで感じたの?」
「ルコ」
「んー?」
「いじめないでちょうだい」
顔を覗くと、涙目だった。いやちょっとそんな20歳が12歳みたいな仕種してもされても。ていうかルカだし巡音ルカだし。
「ドS変態百合女王様なんじゃねーのクールでミステリアスなルカはどこ行った」
「そんなことを言われても」
ほんの少し、人間には分からないほど少し眉根を寄せて困っている。こっちがサドりたくなるわ。
「ルコ、あたってるわ」
「上が? 下が?」
「上も下も」
「あててんのよっ」
にやっと、ほとんど耳にキスする形で囁くと、また小さく身じろぎした。ルカの股の、柔らかな場所へ先を当てる。
所詮キャラクター。性器は所有者の男を、女を満足させるサービス機能だ。幼い設定のルコでさえ、どう動くか知っている。
しかし意思が加われば、立派にそこから恥辱も快楽も得られる。結局使用する分にはなんら人間と変わりない。
「あああああっ!」
後ろからの挿入にルカは喘ぐ。
「やっ、ルコ待って!」
「何だよっ」
待たないけど聞く。
「こんなあ! ルコが、こんな、おっきいなんて思ってっ、思ってなくて!」
「んだと、この、ガキだと思って!」
興奮が妙なところに届き、ルコは笑いながら剛直でルカの最奥を一息に叩く。
「くぁっ、ああっ」
苦し気なルカに反し、粘液溢れる女穴は貪欲にルコを飲み込んだ。
そのままルコは容赦の欠片もなくルカをえぐる。ルカの背が仰け反り、喉から聞いたこともない声を出す。
一見後ろから乱暴に犯され、髪を振り乱して悲痛に悲鳴を上げるようにも見えた。
だが、激しく内をかき乱すルコの肉棒にルカの膣壁はしっかりと絡みつく。
股間に集まった熱い物が今にも弾けそうだ。
「ルコっ、いいの! いいのおっ!」
「いいのっ、だけじゃなく、どおして欲しいか、言ってみろよっ」
はしたなく腰をくねらすルカに、一層強く打ちつける。
「あんっ! おっ奥にっ! ルコが欲しいのっ、ルコをちょうだあいっ!」
機能同士の行為が淫猥な熱を生み、ルコは熱に浮かれるままルカを割って奥を突く。紅潮するルカの、その目は恍惚と輝いていた。
ルコに悦ばされる女の体は、きゅうと締まってルコを悦ばす。無慈悲なまで執拗なルコの攻めは、そのまま性感となって跳ね返る。
互いに内腿は愛液に濡れ、ぐちゃぐちゃと混ざり合った。がくがくと尻を突き出している彼女の腿が揺れる。
「ルコ、来るっ、ああ、私もう、いくうっ!」
「俺も、出るっ」
「うん、うんっ! ルコをいっぱい、私にちょうだいっ!」
ルカが欲するまま、ルコは中に全て出した。何度もルカの最奥に熱い液を打つ。
そこから感じる至福に震えながら、ルカも最後のルコの貫きに脳まで犯されて絶頂を迎えた。
乱れた息のままルコがルカから自身を引き抜くと、丸い尻を揺らしてルカの腰がぺたんと崩れた。
ルカの横にルコも肘をついて横たわる。ルカは床を滑ってルコの胸に顔を埋めた。
ぽやっと溶けたままの青い目が向く。もう大分部屋の中は暗くなっていたが、ルカの白さと青さとピンクさは変わらない。
「ルコ」
「うん?」
「……もっと」
夜も深まる頃にはルコもルカも精魂を搾り出してしまっていた。
かろうじてルカの部屋で寝る体勢をとった時には、二人ともぐったりと沈みそうで、さっさと床につく。
「ルカー、一緒に寝ようよ」
「ルコと私が一緒に寝られるほど、私のベッドは大きくないわ」
それでも無理矢理体を押し込むと、どうにか納まる。
「ルコ、あなた寝返りを打ったりしない?」
「へーきへーき」
ルカを腕に抱きながらルコは笑った。と、笑みを消してそう言えば、と呟く。
「いっこ言い忘れてた」
「何?」
「決めゼリフ」
真っ暗な中でも彼女がきょとんとしたのが伝わる。
「いちおー、決めの台詞なんだよな。これ言わねえと締まらねーの」
くすくすと、とルカが笑いだす。当然決め台詞を知っているのだ。
使いどころの難しすぎる、ルコの決め台詞。
「うん。聞かせて」
ぎゅっと身を寄せられた。それじゃ、とルコは勿体つけて咳払いをして
「白米より麦飯だろコノヤロー!」
二人だけの家で、部屋で、ベッドで、あえて大きな声で言い切る。
ルカはぷっと吹き出した。顔を寄せ合い、微笑みを交わす。
「おやすみー」
「おやすみなさい」
翌日。うっかり家に連絡し忘れて無断外泊してたルコは、姉貴分のツンデレキメラにすごく怒られた。