そんな俺をよしえは偽りのない眼差しで小さく頷いた。  
「KAITO、貴方じゃないと駄目なの…」  
その声音に俺の心の奥底で何か救われた様な気がした。求められる幸せ…俺が求めて  
いたもの。よしえ、本当に君が俺を望むなら俺も応えよう。  
嬉しかった、自然と涙が頬を伝った。  
「よかったねぇKAITO、失敗作と呼ばれたあんたにも存在価値があるってw」  
検索しながら毒舌を吐くミクに対して、よしえは何か言おうとした。だがこれ以上騒ぎを  
起こしたくなかった俺はよしえに唇を重ねる。  
するとよしえは子猫の様に大人しくなり、俺と舌を交わせた。  
   
「あぁん…」  
俺はよしえの正面に立ち、片足を持ち上げて再び挿入するとよしえは嬌声を上げた。  
よしえの膣内はとても熱く、何かが溶けていると思える程濡れていた。余程俺に餓えて  
いるのか。よしえは悦ぶ様に俺のをこれでもかと締め付け、俺も応える様に幾度も最奥を  
突き上げる。  
「さ、寂しかったのぉ…ああんっ硬い、もっとぉ…」  
よしえの潤んだ瞳に俺が写っている。空いてる手でよしえを抱きしめると、よしえは  
甘える様に頬を擦り寄せた。  
ミクは椅子の背凭れに寄り掛かりながら、うすら笑いを浮かべて俺達を見ている。  
俺はそんなミクを無視していたが見られている状況に興奮してしまい、よしえを幾度も  
突き上げた。俺の自身で膣内を引っ掻かれる度に可愛い嬌声を上げ、自ら腰を動かすよしえ。  
「はぁんっ、もっともっと深く突いてぇ、いっぱいにしてぇ…」  
そんな事を言いながらよしえは更に腰を動かす。  
「くっ、相変わらずだな…これならどうだ?」  
俺はよしえの尻を鷲掴みして抱え込む。早い話、駅弁ファック状態でよしえを突き上げた。  
「ひぃっイイッ!イイのぉっ!ふあぁっ!」  
淫らな牝の表情になり、舌を突き出してヒイヒイよがるよしえ。  
その表情と声音に俺は興奮し、牡の勢いを増す。  
「よしえ…っ」  
好きだ、愛してる―その一心で俺は腰を動かし、よしえに快楽を与え続けた。  
 
俺の太腿をよしえの淫水が伝い、濡らしていく。  
「はひぃ…中ぁ、あぁっKAITOのっ、おおぅ、凄いイイのぉ…んくっ…」  
よしえの意識は快楽で朦朧としている様だった。少し激し過ぎたか。俺はよしえの  
身体を思い、スピードを落として優しくゆっくり突き上げた。だが  
「駄目よKAITO、激しく犯ってよしえを壊さなきゃあw」  
ミクが俺に近付き、冷たい銃口を俺の背中に付けた。今の状態で撃たれたら俺を貫通し、  
よしえにも当たるだろう。  
それを背中越しに見たよしえは俺の胸元に口付け、頬を擦り寄せた。  
「KAITO、あなたならいいの…あたしを壊して。目茶苦茶にしていいから…」  
そう言って軽く唇を重ね、再び腰を動かして俺を求める。  
俺は「ごめん」と小さく囁き、よしえの身体を支えている腕に力を入れ尻を鷲掴みし、  
激しく自身を子宮口へ突き上げた。  
「ああんっ!硬いっひいぃっ、奥にっぶつかるのぉっおぉんっ!」  
よしえの淫らな声にミクが嘲笑った。  
「あははっよしえの大好きなKAITOのおちんぽよ?どうなのよ、よしえ?」  
「ひいぃ…一番気持ちイイのぉ、感じるぅはあぁん…」  
切ない牝の表情で答えるよしえ。本当に可愛いらしい表情と仕草で俺をこれでもかと煽る。  
その煽りに応える様に俺も腰を動かした。  
「あっひっ、KAITOっふあぁっあ、あたし…」  
絶頂が近いのだろう。身体が震え、俺の自身をきゅうきゅう締め付ける。  
それを見ていたミクがよしえの側に行き、手の拘束を解きながら言った。  
「もうイッちゃう?まぁいいや。でもアジト自白しちゃったからもう帰れないでしょ?  
KAITOの性奴隷として飼ってあげるから仲良くやっていこうよwいいでしょKAITO?」  
拘束を解いたよしえの腕を俺の肩にまわしながら笑顔で勧誘するミク。  
だが俺は[致命的なエラー]を起こしているミクの思考が読めていた。  
―俺とよしえが好き合っているのを利用して一方を人質にし、都合の良い駒にする。  
二人ともミクを裏切る事も逃げる事も出来ず言いなりになる―そういう事だ。  
 
「ほらほらKAITO、よしえを早く壊しちゃいなよw見届けてあげるからwww」  
ミクはそう言って俺の背後にある椅子に腰をかけた。  
…確かミクは「こっちは予定がある」と話していた。つまりこの後、出掛ける筈だ。  
その間によしえを逃がそう。よしえが無事なら俺はどうなっても構わない…覚悟を決めた。だが  
「嫌だっ、ああっ、撮らないでぇっ!」  
よしえの声に背後を見ると、ミクは小型カメラで俺達を撮影していた。  
ミクめ、いつの間に撮って…つか、よしえの締め付けが…おぉっ…  
ニヤニヤしながら答えるミク。  
「よしえのボスに「よしえはうちのKAITOにギシアンされて幸せにやってるから安心してねw」  
って証拠を送ってやろうかとwwwそのまま最後まで犯っててよ。」  
そう言いつつ、空いてる手には拳銃が握られている。よしえも拳銃を確認した様で  
大人しくなってしまった。今はミクの言いなりになるしかない。ミクが出掛ければ  
チャンスはあるのだから。  
「ごめん、守れなくて…」  
俺がよしえを見つめると、よしえも俺を見つめ小さく頷いた。  
俺はよしえを抱き直し体制を整え、再度子宮口を突き上げた。  
「あぁんっぶつかってるぅ…気持ち、イイッ、よぉっ…もっと、もっとぉ…!」  
ミクに録画されているのにも拘わらず、よしえは俺にしがみついて腰を動かし、俺の  
自身を貪り付きながら俺と舌を絡め合う。絶頂が近いのか身体が震えている。俺も  
絶頂が近かった。  
「イクッ、イッちゃっ…」  
「一緒にイこう…」  
よしえ、我慢してくれ。必ず逃がすから…俺はよしえを壊す様に激しく突き上げ、  
絶頂へと駆け登った。  
「…ふあぁんっ!」  
「くあぁっ…!」  
同時に絶頂を向かえ、俺はよしえの中に一ヶ月溜まっていた思いをぶちまけた。  
何度も脈を打つ俺の自身は、まるで暴発している様だ…自分で言うのも何だが、凄ぇ  
ビュービュー出てる。こんな射精感は初てだ。  
そんな俺のをよしえの膣は、搾り取る様に何度も締め付ける。  
 
「あっ…あっ…」  
よしえは身体を弓なりにし2、3度身体を痙攣させ俺の腕に身体を預けた。  
どうやら失神した様だ。その顔はあまりにも綺麗で…俺はよしえに軽く唇を重ね、身体を  
支えたままゆっくり足を床に降ろした。そして自身を引き抜くと精液が太腿を伝い  
零れ落ち、床に小さな水溜まりを作ってゆく。  
―よしえ、ごめん。よしえを守りたいのに、一緒になりたいのに次から次へと傷付けて  
しまう。まるでヤマアラシのジレンマだ。  
俺はいたたまれなくなり、よしえを強く抱きしめ…涙を零していた。  
「よーし、こんなモンかな?」  
そんな俺を他所にミクは録画していたカメラをノートパソコンに繋げてデータを転送し、  
よしえが自白したアドレスを入力していく。  
「これはアジト近くで送信、と。KAITO、よしえが目を覚ましたらまた犯してやって。  
セックス中毒にしてKAITOなしじゃあ歌えないくらいにねw  
それじゃあ私、よしえのアジト潰しに行くから、後よろしく。」  
ミクはそう言ってノートパソコン、拳銃をバッグに仕舞い、部屋を出て行った。  
もう俺はミクに対して憎悪しかない。死ねばいいのに、二度と俺の目の前にくるな。  
俺は心の中でミクと決別した。  
俺はミクの足音が屋外へ消えるのを確認すると、よしえを隣室へ運びベッドに寝かせた。  
俺は先程の部屋に行って服を着て、すぐよしえの元に戻り隣に座った。  
まだ寝ているよしえの頭を手櫛をする様に撫でていると、擽ったいのか寝返りをうつ。  
その寝顔は先程の激しい情事の後とは思えないくらい穏やかな顔で、俺の胸に幸せな  
痛みを与えた。この時がずっと続いたら…しかしそんな事はない。静かに確実に時は流れる。  
「ん…」  
よしえがゆっくりと目を覚ました。  
「よしえ…」  
俺が声をかけるとよしえは跳ね起きて俺に抱き着いた。  
「やすおっ…名前呼びたかった…」  
「よしえ、ごめんな。苦痛ばかり与えて…」  
俺は子供をあやす様によしえの背中を摩ると、よしえは小さく首を横に振った。  
 
「いいの、やすおなら。実際…本当に…やすおとしたかったし、凄い…気持ちよかった…」  
次第に声が小さくなり、顔を紅潮させ話すよしえ。その姿と言葉に俺も顔が熱くなる。  
「ところであの子は?」  
よしえの問いに俺は表情を強張らせた。  
「今頃、君のアジトに…」  
「あっ、そう。それならいいの。」  
…え?どういう事だ?俺の疑問によしえは答えた。  
「住所とアドレスはあたしの住家のよ。アジトとは別。そう安々と言う訳ないでしょ?  
あたしだって一応スパイよ?あのミクの事だって調べ上げたわ。勿論やすおも。  
ま、今頃仕掛けてある罠に掛かっていればいいけど。」  
成程、そういう事か。俺は安堵の溜息をついていると、よしえはタオルケットを身体に  
巻いてベッドから離れ、窓を開けた。心地良い夜風が室内に流れる。そしてよしえは  
窓枠に足をかけた…え?  
「よしえ?」  
まさか…  
「あのミクは危険な存在よ。もうVOCALOIDではないわ。確実に消さなきゃ。」  
よしえの凛とした声が部屋に響く。それは覚悟を決めた声だった。  
「よしえっ止めろっ!あのミクは危険過ぎるっ!あいつに構わず逃げるんだっ!」  
俺は声を張り上げ、よしえを捕まえようとした。だが俺の手は虚しく空を掴む。  
「ごめんね、仕事なの。」  
そう言ってよしえは窓から飛び降り、闇へと消えた。  
ヤバイ、よしえを探さないと。ミクに…俺達旧型が新型に敵う訳がない。  
俺は部屋の隅に置いてある刀を持ってバイクに跨がり、夜の街へと飛び出した。  
寂れた波止場の一角でよしえを見つけた。MEIKOのイメージカラーでもある赤の  
スリット入りチューブトップドレスを身に纏い、ウージーを手にしていた。  
よかった、無事だった。だが  
「ミクは何処?」  
よしえは鋭い目付きで俺を睨み付けた。これが本来の彼女なんだろう。  
「知らないな。よしえ、あのミクに構うな。彼女は…」  
俺が言い終わる前によしえはウージーを構えた。  
「邪魔するのね、それなら…」  
「殺し合う、か…」  
 
俺は溜息をついて鞘から刀を抜き構えた。  
嗚呼、結局こうなるのか俺達は。当たり前か、敵同士なのだから。  
俺達二人は敵としてやり合った。だが、やり合っているうちに刀に布きれが引っ掛かった。  
何かと思ったら…紐パンだった。  
該当者は目の前に一人。そっちに刀を振り、紐パンを互いの間に投げつけた。  
そしてよしえに視線を向けると本人は赤面。どうやらスカートの下にある弾丸の  
補充カートリッジを取っているうちに、紐に引っ掛かり解けたらしい。  
俺は可笑しくて堪らなくなり苦笑する。  
「紐パンはいて仕事するのは止めるんだなw」  
そう言ってやるとよしえは「バカぁっ!」と、声をあらげながらウージーを乱射した。  
ほんとスパイに不向きだよ、よしえ…早く終わらせて君を逃がさないと。  
…どれくらいやり合ったのだろうか。俺とよしえは武器が違えど互角だった。これでは  
埒があかない。俺はよしえとの間合いを詰める為駆け出す。それがミスだった。  
駆け出した先にあったのは先程の紐パン。それを踏んでバランスを崩して転んだ。  
「しまったっ!」俺はすぐ身体を起こし体制を立て直そうとした時には、よしえの  
ウージーが俺の目と鼻の先に、手元にはよしえの紐パン…あまりにもシュールかつ滑稽だ。  
「あたしの勝ちね、やすお。」  
その言葉に俺は頷き、刀を手放し腰を下ろした。  
「ああ、俺の負けだ。首、持ってけよ。手柄くらいにはなるだろ。」  
よしえに殺されるなら…悪くない。甘んじて受け入れよう。俺は目を閉じた。  
「…駄目…出来ないよ。やすおを殺すなんて…」  
よしえの声に視線を向けると、ウージーがよしえの手から離れ、地面に落ちた。  
「やっと自覚したわ…あたしはスパイに不向きな女なんだって…」  
よしえは今にも泣きそうな顔だった。そして白魚の様な手を俺に伸ばす。  
「…ね、一緒に逃げよう?」  
「いいのかよ、俺で?」  
「貴方じゃないと駄目なの…」  
その言葉に俺は静かに微笑み、手を伸ばした。が…  
どこからか殺意ある視線を感じた。  
 
よしえ側にある廃ビル屋上にツインテールの人影…ミクだ!判断した途端、俺は身体が動いた。  
よしえの手を掴んで引っ張り、遠心力をつけ立ち位置を変える。  
―銃声、衝撃。  
俺はミクの銃弾を受け、地面に倒れた。  
俺の返り血を受け、何が起きたのかわからず呆然とするよしえ。  
そして空から聞こえるミクの声。  
「助けようとしたのに何でよしえの盾になるのよバカイト。それじゃあね。アハハw」  
よしえはミクの笑い声でやっと我に返った。  
「やすおー!!!!」  
よしえは俺の名を泣き叫びながら横に座り、俺の身体を起こす。  
「なんで?何で、アタシなんかを…」  
…駄目だ、声が出ない。  
俺は次第に力が抜けていく腕で、よしえを抱きしめる。そして最後の口付けをすると、  
よしえは大人しく舌を交わせた。  
よしえ、大事な人を守るのに理由なんて必要かよ?俺はよしえを守れて幸せだ。ただ…  
これで本当に[お別れ]だ。それが一番辛い。  
段々と意識が遠退く…嫌だ、機能停止したくない。  
もっとよしえと一緒に歌いたい。歌いたかった…  
俺はよしえの全身をまさぐった。髪、肩、胸、背中、尻、太腿…まるで機能停止から抗う様に。  
よしえの頬が涙で濡れている…よしえ、最ご、まで…なかシ、テ…ゴメン、n―  
 
次第に夜が明けていく。  
あたし…よしえは動かなくなったやすおを抱きしめていた。  
もう名前を呼んでくれない。もう笑ってくれない。もう抱きしめてくれない。もう…  
やすおに「一緒に逃げよう」と言った時点で任務を破棄、組織との通信をシャットダウンした。  
そしてやすおを失った今、あたしに失う物はない。  
「ごめんね、やすお。あたし、馬鹿だから…」  
ミクから逃げない。組織も関係ない。追い掛けて、やすおの仇を討つよ。  
あたしはやすおの形見にマフラーを取り、別れの口付けをして彼のバイクでミクを追い掛けた。  
―ミク、待ってなさい。  
 
 
 
―某組織のアジトにて―  
ボスN「…ったく。よしえは一体何処に行ったんだ!」  
エージェントT「只今戻ったわボス。よしえが通信を切った場所にコレがあったわ。」  
ボスN「あん?KAITOか?…銃弾受けているな。」  
エージェントT「もしかしたらよしえの行方を知っているかもしれない。蘇生させて  
データベースを調べるわ。」  
 
 

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