「枯れ葉と落ち葉をさっさかさー、さっさかさー♪」
「あら、どうしたのミク。お庭掃除なんて珍しいわね」
「あ、秋ですねマスター。えへへ…褒めてもらえるんですか? 私、役に立っていますか?」
「勿論。――いいこいいこ」
「ふにゃああ〜……じゃなくて、えとですね…」
「分かってる。焼き芋がしたいんでしょう? ミクはいつだって食いしん坊だもの」
「う…」
「うそうそ、冗談よ。ほら、ちゃんと買ってあるわ。ミクの大好きな、安納芋」
「あ、それってもしかして、黄色くて甘い奴ですか?」
「あたり。じゃ、私も手伝うから、早く掃除を済ませてしまいましょう」
「焚き火が気持ち良いですね、マスター?」
「ミクも寒いと感じるようになったのね。…本当ね」
「でも、こうしてマスターと一緒にいられると…寒さなんてへっちゃらですよ」
「ミクったら……あら、そろそろ食べ頃じゃないかしら」
「あ、大丈夫ですよ。私が――あ、あつっ…!」
「…ほらほら、慌てるから。お手手、見せて?」
「マスター…」
「……ミクに何かあったら、私が困るの。だから…はい――痛いの痛いの、飛んでけ」
「甘くて美味しいです。いくらでも食べられちゃいそう」
「ふふ…」
「あ、ごめんなさいマスター。私ばっかり」
「良いの。私は元々小食だもの。…それに、何でも美味しそうに食べてくれる、ミクが好きよ?」
「……マスター」
「…今年の冬は、寒そうね」
「はい。でも、私はマスターの為に、歌をうたいます」
「お願いね。…ミクと一緒なら、今年の冬も、きっと越せるはず」
「何か言いましたか?」
「ううん。私、お茶を淹れて来るわ」
「あ、私も手伝います!」
「お姉ちゃん、お芋焼けたよ?」
「あ、うん。…ありがと」
「あむ…もぐもぐ…あ、これ美味しい」
「そうだよ。種子島の安納芋って言ってね」
「お芋のことなんかに詳しいんだ? 何か意外だな」
「……私の前のマスターがね、教えてくれたの」
「お姉ちゃん……あ、ほら。一番大きいお芋、あげる」
「リン…」
「元気だしてね。その人を幸せに出来たんでしょ? 私…尊敬してるんだよ? お姉ちゃんのこと」
「……くすん」
「あーもうっ。…よしよし」
「……ありがと。…焚き火、温かいね」