二年前、出会った。一年前、好きだと伝えた。リンはいつでも無邪気に笑って  
くれた。  
 今日は俺たちの二度目の誕生日だ。  
「えへへぇ、楽しかったね!」  
「うん」  
「お祝いしてもらえるって幸せだなー」  
 枕を抱えてベッドに寝転がりながら、リンは昼間の賑やかさの余韻に浸ってい  
るようだ。ミク姉たちがパーティを開いてくれて、歌のプレゼントをもらったり、  
俺たち自身もいろんな曲を歌ったり。すごく良い一日だった。俺の耳の奥でも未  
だ皆の楽しげな笑い声が響いている。  
 その一方で、少し緊張していた。いや、かなり緊張していた。俺は今日、心に  
決めていたことがある。昼間のいろいろな出来事を嬉しそうに話すリンに悟られ  
ないよう、ゴクリと生唾を飲み込む。深呼吸をして、意を決した。  
「…リン」  
「うん?」  
「エッチしない?」  
「へっ…」  
 リンが俺と目を合わせたまま数秒固まった。直接的過ぎたかもしれない。でも  
今更遠回りするのはゴメンだった。リンはがばりと跳ね起きて、みるみるうちに  
顔を真っ赤にする。  
「え…えっ、レンなにを」  
「だから、エッチしよって」  
「…!」  
「もう、一年経つじゃん」  
 明らかにうろたえるリン。俺がベッドに膝をかけて乗り込むと、壁際まで逃げ  
ていった。ちょっと傷つく。  
 一年前の誕生日に好きだと伝えてから、もう一年が経った。手は繋ぐし、抱き  
締めることだってあるし、キスもする。でもそれ以上のことはなかった。リンは  
あんまり考えてないみたいだけど、こちとら永遠の思春期男子なわけで。そうい  
うことで頭はいっぱいなわけで。正直もう我慢の限界なわけで。  
 壁に背中をつけたリンの目の前を陣取って、顔を覗き込む。  
「リン、俺のこと好きじゃない?」  
「す、すき!だいすき!」  
「俺も好きだよ。だからしたい」  
「……」  
 リンは困ったように視線をうろつかせた。それでもはっきりと拒絶はしていな  
い辺り、嫌ってわけでもないだろう…と思いたい。  
 俺は両手を伸ばしてリンのほっぺたを挟むと、いつもしていたみたいに軽く唇  
をくっつけた。  
「リン」  
「…」  
「俺もっとリンに近付きたいよ」  
 俺がそう言うと、リンは頬を染めたまま、小さくこくりと頷いた。  
 
 リンの体は綺麗だった。リンは胸の大きさをよく気にしているけど、男の俺に  
してみたら充分な柔らかさがそこにはあってドキドキする。腰や脚にも手を伸ば  
す。ほんとはずっと触ってみたかった。女の子の体って柔らかくて気持ちいい。  
「ぁっ…れん…」  
「リン、かわいい」  
「やだ…ばかぁ」  
 リンは終始涙目で、ひたすら恥ずかしがっていた。その姿に余計に興奮してし  
まうのは男の性。秘部に触るとリンがびくっと震える。  
「ちゃんと濡れてるよ。感じてる?リン」  
「……っ」  
「言ってよ」  
「ばかっ…レンの意地悪…」  
 だって、恥ずかしがるリンが可愛くて。俺は笑うと、リンに口づけた。さっき  
覚えたばかりの大人のキス。リンも舌を絡めて応えてくれる。いやらしい水音の  
間に混じる喘ぎに俺はますます興奮した。  
「…んっ…は、ぁ」  
「リン…もう、入れていい?」  
「えっ……あ…」  
 俺は勃起した自身をリンの内腿に触れさせる。リンはびっくりしたように身を  
引いた。電気の点いていない部屋でも、それを見つめられるのは少し恥ずかしい。  
「お、おっきくない…?」  
「今からリンの中に入るんだよ」  
「む、無理、無理」  
「大丈夫、ゆっくりするから。脚広げて?」  
 大事な部分を守るようにぴっちりと合わされた膝小僧に手をかけて、僅かな抵  
抗を感じながらゆっくりと開いた。奧に現れた泉に俺は自身を近付ける。リンは  
まだ無理、無理、と繰り返していた。  
「大丈夫だってば。ほら、俺への誕生日プレゼントだと思ってさ」  
「あたしだって誕生日だもん…!」  
「うん、だからこれあげる」  
「いっいらな…っ、ぁ、あっ!」  
 入り口を見つけて、ぐっと先端を押し込む。かなり濡れているし指でも慣らし  
はしたけれど、やっぱり初めてだからかリンの中は狭い。強い力で締め付けられ  
て、痛みと同時に得も言われぬ快感が走った。やばい、と思うけれど、リンが苦  
痛に声を上げて意識が引き戻される。  
「っい、いたぁいっ、れん…っ!」  
「……っリン、力抜いて…」  
「はっ、……ぅあ…っあ」  
「リン」  
 震えるリンの体を抱き寄せて、涙の伝う目尻に唇を落とす。結合部からの感覚  
は、リンが背中に爪を立ててきた痛みのおかげで上手く誤魔化せた。リンを落ち  
着かせながら腰をゆっくり進めていく。  
 
「あぁん…っくるし、よぉっ」  
「でも、リン…全部入ったよ」  
「は…ぁ…れんの…」  
「俺とリン、今繋がってる」  
 荒い呼吸のままリンはぼんやりと焦点の合わない瞳をさ迷わせて、その繋がっ  
た場所を視界に捉えたようだった。息を呑む音が聞こえたと同時、リンの中がき  
ゅっと締まって俺は思わず呻く。ただでさえ狭いはずのそこは、俺のものに絡み  
ついて離れない。やばい。きもち、いい。しかし本能のままに腰が揺れてしまい  
そうになるのを必死で堪える。リンはまだ、辛いはずだ。  
「……っれん…?」  
「な、に…」  
「動いて、いい…よ」  
「え…でも、まだ痛いんじゃ」  
「ちょっと、痛いけど…動いたら、気持ちよくなれるんでしょ…?」  
 俺を上目遣いで見つめながらおずおずと恥ずかしそうに言うリン。予想外のリ  
ンからの誘いに、俺は一瞬面喰らってしまった。今までリンはこういうことにま  
るで興味が無いのだと思っていたけど、そうでもないのかもしれない。やっぱり  
俺と同じ年齢設定なんだし、な。  
「…リンがいいなら、動く。俺もう我慢できないし」  
「あっ、でも、ゆっくりだからね…、っひゃ!?」  
 聞こえないふりをした。  
 リンの腰を掴んでギリギリまで引き抜いて、一気に勢い良く押し込む。背筋を  
快感が駆け抜けた。一度動き出したら止められない。リンが痛がってる、それが  
わかっていても。  
「ぃやあ!あぁぁっ、いっ、ぁん!」  
「リン…っきもちいいよ…!」  
「待っ、レン…っ!やぁ、ぁ、あーっ」  
 シーツを手繰り寄せて引き掴んだリンは俺が突く度に背中を反らした。濡れた  
リンの中は酷く熱い。往復する度に蜜の量は増えて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が  
耳に届く。繰り返すうちに随分滑りが良くなって、リンの喘ぎ声からもだんだん  
苦痛の色が消えていった。  
「ぁあっ、や…ぁ、れん…っ」  
「リンっ、気持ちよく、なってきた?」  
「わかん、ないっ、なんか、ぁ、じんじんするのぉ…っ」  
 言いながら、俺の動きに合わせてリンの腰が微かに揺れていた。涙を湛えた瞳  
は今にもとろけてしまいそうに甘い表情を作っている。二年も一緒にいて初めて  
見るリンの姿に、ぞくぞくした。  
「リン、かわいい…」  
「ひゃぅっ、ぁ…ゃん」  
「かわいい。リン、好き」  
 軽く唇を啄むと、リンの方からもっととせがんできた。腕を回して深く口付け  
る。そのとき楔を深くまで押し入れると、びくんとリンが跳ねた。あ、ここ、き  
もちいいのかな。ぐりぐりと刺激してやるとリンが俺の腕の中で何度も体を揺ら  
す。口から漏れる喘ぎは口移しで全部飲み込んだ。  
「ふぁん、は、ん……っ!ぁ、やだあ、そこ、やぁあ…っ」  
「なんで」  
「だ、ってっ…なんか、へん…!」  
「それが、"キモチイイ"だよ、リン」  
「え……っひぁ、あっ、あっ!」  
 
 リンの中が締まる。きもちいい。リンの中、きもちいい。快感を自覚したらし  
いリンの声はさっきよりもすごく甘くて、俺までとけそうだった。  
「ぁ、…きもちい、れんっ、あたしきもちいーよぉ…!」  
「リン、リンっ」  
「ぁあんっ、らめぇ…いいっ…ふぁ」  
「俺も、超、きもちいい…!」  
 ああ、何これ、頭おかしくなる。きもちいいし。リン可愛いし。快感に喘ぐ俺  
の片割れを、どうしようもなく愛しく思う。二つに分かれて生まれたことで伝わ  
らない想いをはがゆく感じることも多いけれど、やっぱり二つで、その上男と女  
で生まれて良かったな、なんて。  
 快感を求めてお互いに揺らす腰が止まらない。昂った熱は解放される瞬間を待  
っていた。  
「く…ッリン、俺、もう出る…っ」  
「はぅ、あ…っ、あたしもっ、もうだめ…!」  
「中、出すからっ」  
「ぁふ、あ、いっ…いいよぉ…レンきてえっ…!」  
 浮いていたリンの脚が俺の腰に絡む。ぐっとリンによって押しつけられ、中が  
収縮した。もう限界だ。  
「う……!」  
「あっ、あっ…ひゃ、ぁああああっ!」  
 奥で欲望が弾けて、熱いリンの内側に熱い白濁を注ぎ込む。搾り取るみたいに、  
同時にイったリンがぎゅうっと締め付けてくるのがたまらない。しばらく止まら  
なくて、二人で体を震わせた。すっかり出し切った頃、リンの中からずるりと自  
身を引き出す。収まりきらなかった白濁もこぷりと溢れてきて、こんなに出たの  
か…と思わず感動してしまった。  
 肩で息をするリンと目が合うと、リンは思い出したように羞恥に頬を染めた。  
両手で顔を覆って隠されるが、優しく退かして瞼に口付ける。  
「やっやだ…レンのばかぁ」  
「リン、気持ちよかった?」  
「……っ」  
「よかったよね。言ってたもんね」  
「…ばか…」  
 我に返ったリンはつい先程の情事の有り様を思い出して涙目になっていた。そ  
んな姿も可愛い。  
 気付くと時計は日をまたいで、俺たちの誕生日はもう終わっていた。せっかく  
の記念日にかこつけてこんな風にしてしまったこと、今更かもしれないけど謝ら  
なきゃ。そう思って声を出す前に、リンの方が先に口を開いた。  
「レン、ありがと…」  
「…え?」  
「その…うれしいよ。あたし、レンと繋がれて」  
 リンはまだ恥ずかしそうに、けれどいつものように無邪気に笑ってくれて、な  
んだか胸が熱くなった。汗ばんだ体を抱き寄せ、心地良い気分に浸る。だいすき  
だ、と呟いたら、ありがとう、とまるで最上級のプレゼントでももらったみたい  
に、リンは嬉しそうに微笑んだ。  
 
おわり  
 

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